「ザイム真理教」は興味深かった。同じ三五社シンシャから発行された本書では、①ジャニーズの性加害問題、②ザイム真理教、に続いて、③日航123便の墜落に係る謎が書かれている。このうち、ジャニーズ問題については、特に目新しい事実が書かれているわけではなく、権力に弱いメディアの構造について書くことで、財務省には逆らわないというザイム真理教の問題につないでいる。
第2章の「ザイム真理教」も内容は前書とほぼ同じ。国民の生活はお構いなしに、財政破綻の危機を煽って、増税の必要を繰り返し、国税調査権を振り回すことで、メディアや有識者に沈黙を強いる財務省の横暴と欺瞞を再度指摘する。
本書が目新しいのは、第3章の「日航123便はなぜ墜落したのか」だ。もっともこの部分も、青山透子氏の一連の著書、及び、小田周二氏の著書に拠っている。ただ、その内容は衝撃的だ。すなわち、日航123便は、陸上自衛隊のミサイルまたは標的機とぶつかることで尾翼を失い、それでも何とか横田基地への緊急着陸やレタス畑への不時着を試みるも、許可されず、最後は自衛隊機により撃墜された。しかもその現場は火炎放射機により焼き払われ、証拠隠滅が図られた、というのだ。
そして、この弱みを米国に握られたことが、その後の日米構造協議や日米半導体協定での対米全面服従につながり、そこから日本経済の凋落が始まった、というのが筆者の推察だ。日航事故だけが経済凋落の原因なのかどうかはわからないが、何より日航事故の謎が興味深い。これは何としても、青山氏や小田氏の本を読まなくては、と思ったが、一方で、少し恐ろしくもある。
陰謀論ではないが、事実と思い込んでいる出来事の裏には意外に多くの謎が隠されているのかもしれない。ひょっとして「読んではいけない」ものを読んでしまったんだろうか。
○2020年度末で、国は1661兆円の負債を抱えている。しかし、国は同時に試算も1121兆円持っている。政府がこれだけ資産を持っている国は、日本以外にない。…両者の差額である540兆円が本当の日本政府が抱える借金となる。2020年度の名目GNPは527兆円なので、GDPと同額程度の借金ということになり、これは先進国ではごくふつうの水準だ。/さらに、日本政府は「通貨発行益」という巨大な財源を持っている。日銀が保有している国債は2023年3月末で576兆円に達している。…この通貨発行益も含めて考えれば、日本は現在、借金ゼロの状況になっているのだ。(P69)
○個人事業者の場合は生活を破綻させるほど、会社の場合は会社を倒産させるほどの追徴金を切ることができる権力を国税は持っている。それだけではない。財務調査だといって連日事務所に居座られると、業務そのものが立ちいかなくなってしまう。…だから“賢い”メディアや有識者は絶対に財務省を批判しない。…それが税務調査から身を守り、メディアに出続けるための必要条件だからだ。(P98)
○航空事故調査報告書自体が、尾翼に後ろから何かが追突して、それが尾翼の破壊につながった可能性が高いことを認めていたのだ。…それでは、尾翼に衝突したものはなんなのか。…青山氏は、この飛翔体について、当時開発中だった陸上自衛隊のSSM-1(88式地対艦誘導弾)である可能性を示している。つまりミサイルだ。…一方…航空自衛隊百里基地の稲吉司令官は…友人に電話でこう語っている。「えらいことした。標的機を民間機に当ててしまった。(P145)
○1986年9月の日米半導体協定が凋落のきっかけになったのは疑いようのない事実なのだ。/そして、これらの政策決定の背景には、日航123便の墜落事故があったとしか、私には考えられないのだ。/私の見立てが正しいとすると、日本政府は日航123便の墜落の責任をボーイング社に押し付けたことになる。…それだけではない。日本政府はそのことがバレたら、政権が確実に崩壊するほどの大きなウソをついてしまった。だから、アメリカに「123便のことをバラすぞ」と脅されたら、なんでも言うことを聞かざるをえなくなってしまったのだ。(P176)