とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第15節 ガンバ大阪対浦和レッズ

 かつてともにACLチャンピオンになったこともある両チーム。だが今季はガンバ16位、レッズ13位と低迷している。ガンバはクルピ監督を迎え、サッカーがどんなに変わるかと期待したが、ファンウィジョがひとり気を吐いているだけで、他に目立った変化はわからない。このゲームでは長身FW長沢を起用し、ファンウィジョとの2トップ。中盤はマテウスと遠藤のダブルボランチで、両SHは右SH藤本、左SH倉田。イマイチ若さは感じられないが、それでも一時の低迷からは脱して、現在ホームでは4連勝中だ。対するレッズは大槻暫定監督に代わって3連勝を飾ったが、オリベイラ監督が就任してからは1勝1分3敗。この間、失点は3に抑えているが、ゴールも2点と得点力が課題だ。このゲームでは武藤と興梠の2トップ。青木をアンカーに柏木と長澤のIH。左右のWBには右WB橋岡、左WB宇賀神が入った。

 開始4分、左SH倉田がミドルシュート。さらに5分には左SB藤春のクロスをFW長沢が落として、右SH藤本がシュート。序盤はホームのガンバが積極的に攻めていく。しかしレッズもしっかりとした守備からパスをつないで、大きなサイドチェンジを交えて反撃する。19分、左IH柏木のサイドチェンジからFW武藤がミドルシュート。だがお互い守備が堅い。ガンバは27分、CH遠藤保仁のフィードにFWファンウィジョが走り込み、左に流して左SH倉田がシュート。32分には右SB米倉がミドルシュートを放つと、34分、左SH倉田のスルーパスのはね返りを右SH藤本がクロス。FW長沢がヘディングシュートを放つが、GK西川がキャッチした。

 お互い攻めるも守備が堅く、ラストパスが通らない。36分、左WB宇賀神のクロスにFW興梠がシュート。しかしいったん動き直したGK東口がファインセーブ。直後の38分には、左SH倉田のクロスをFW長沢がフリック。右SH藤本がシュートを放つが、GK西川がファインセーブ。お互い両GKがファインセーブでゴールを許さない。40分には左IH柏木のスルーパスに抜け出したFW武藤がFW興梠めがけてクロス。だがGK東口が飛び出してナイスセーブ。はね返りを左IH柏木がシュートするが、枠を捉えられない。前半はスコアレスで折り返した。

 後半もお互い攻めるが、守備の方が安定している。7分、右SH藤本のパスからFWファンウィジョがスルーパス。藤本が走り込んで、クロスを左SH倉田がシュートするも、枠を外す。10分にはCH遠藤保仁のFKからCB三浦がヘディングシュート。レッズも11分、左IH柏木のサイドチェンジをFW武藤がヘディングで落とし、FW興梠が胸を突き出すが、当たらない。ヘディングで狙えばよかった。

 すると26分、ガンバはFWファンウィジョに代えて右SH食野を投入。藤本をトップ下に移して4-2-3-1。長沢のワントップに変える。一方、レッズも左WB宇賀神に代えてFWマルティノスを投入。武藤を左WBに回す。さらに31分には柏木を下げてCH阿部を投入。2ボランチに長澤がトップ下。34分、FWマルティノスがドリブルで持ち込み、最後は自らシュート。だがGK東口がキャッチ。さらにその直後、右CB遠藤航のクロスにFW興梠がシュート。だがGK東口がナイスセーブ。37分には右WB橋岡のクロスにFW興梠がヘディングシュート。しかしこれも枠に入らない。

 終盤はガンバが攻勢をかける。39分、左SH倉田のクロスから右SH食野がシュート。しかしGK西川がファインセーブ。42分、右SB米倉のクロスにCF長沢がヘディングシュートを放つが、これもGK西川がファインセーブ。43分、CHマテウスミドルシュートは枠を外した。結局、最後まで両チームともゴールならず。スコアレスのままドロー、少しでも順位を上げていきたい両チームではあったが、お互い勝ち点1にとどまった。

 お互い守備はしっかりしたが、攻撃に意外性がない。決定力もない。これでレッズはルヴァン杯も含めて公式戦4ゲーム無失点。でもリーグ戦では2戦連続のスコアレスドロー。リーグ前半戦は下位のまま、中断を迎えることになった。お互い代表選手がそれほど多くはない中で、この中断期間にしっかりと攻撃のバリエーションを増やし、決定力を身に付けていきたい。さもないとこのままズルズルと行ってしまいそう。お互い中断期間に向けて課題の残ったゲームだった。

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 直木賞作家・西可奈子を初めて読んだ。本書は昨年の本屋大賞にノミネートされて、紹介されていた。結果的に7位だったけれど、10位までに読んだことのある本は1冊もないので、評価が適切だったかどうかわからない。書評などを読んで、これは読みたいと思った。読み終えた感想は・・・もっともっと書き込めたんじゃないかな、という感じ。

 アイはアメリカ人と日本人の両親のもとにもらわれてきたシリア人の養子。しかも裕福で、成績もいい。そんな恵まれた状況だからこそ、どうして自分が選ばれたのか。自分は本当にこの世に存在していいんだろうか。家族の誰とも血のつながりのない、ファミリーツリーから一人浮遊した自分の存在に不安感を持つ。そして数学の先生が何気なく言った一言、「この世界にアイは存在しません」。

 この場合のアイは「i」、虚数。だがアイは「I」でもあり、「愛」でもある。アイの親友のミナは「皆」、結婚相手のユウは「You」かな?という書評を「Bookarium」のニシマツさんが書いていたけど、そうかもしれない。この一言に強い衝撃を受けたアイは、自分の「存在」について考えていく。

 妊娠し、これでようやく世界とつながる、存在理由を見つけたと思ったのに、流産で流してしまう。一方でミナは、アイの初恋の人と一夜限りのセックスで身ごもり、堕胎したいと話す。強いショックと混乱の中で自暴自棄になるアイだったが、ミナのメールとユウの支えを得て立ち直り、ロスアンゼルスに住むミナに会いに行く。

 それにしても、ミナといい、ユウといい、そして両親も、皆いい人ばかり。その中でどうしてここまで自己否定するのだろう。もちろん、シリア人で養子という孤独はわからないでもない。私の父も養子で、最後まで実の両親はわからないままだったが、父は父なりに、乗り越えてきた。それはやはり母と結婚したのが大きかったのだろうか。人とのつながりの中で、人は自分の存在感を確認し、承認していく。それは養子だろうが、愛溢れた家庭に育とうが、関係ないような気がする。愛溢れる家庭で育っても、孤独な人は孤独。もちろん、育った環境は大きく性格を左右するけれど、結局最後は一人ひとりの気の持ちようであり、人に囲まれて初めて自己承認感を得るのではないかな。

 ということで、本書は「自己承認」を巡る小説。虚数「i」が、多くの愛に包まれて、「I」となる話である。

 

i(アイ)

i(アイ)

 

 

○私も彼らも日本にいなかったし、地震の被害にも、原発の事故にも遭わなかった。でも、じゃあ私たちに祈る権利はないって、アイは思う?」・・・「思わない。」/「誰かのことを思って苦しいのなら、どれだけ自分が非力でも苦しむべきだと、私は思う。その苦しみを、大切にすべきだって。」(P157)

○自分がいるのは、見たことのない世界だった。男が、女が、子どもたちが、国を変えるために全力で声を出している。大声を出している。/アイの体に、新しい血液が流れたようだった。それは命の、家族の血液ではなかったが、アイはここにいる皆と、大きなへその緒で繋がっているような、そんな気がした。アイは皆と一緒だった。皆と声をあげ、皆と拳をあげた。(P169)

○アイは自身の生まれた理由を知りたかった。ずっと知りたかった。誰かの幸福を踏みにじり、押しのけてまで自分が生まれた理由を知りたかった。その理由がここにある。まだ数センチにも満たない命の始まりが、私がこの世界にいるための証なのだ。/私はこの世界にいていいのだ!/アイはそれから、何度も何度も腹を撫でた。アイの掌は、まだ見ぬ生きものの気配を、しっかりととらえていた。(P204)

○「会いたいという気持ちと、理解出来ないという気持ちのふたつがあるなら、僕は会いたいという気持ちを優先させるべきだと思う。・・・ちゃんと顔を見て、話し合うことを選ぶべきだ。」/命が脅かされることのないこの夜は、紛れもなく奇跡だ。/「理解出来なくても、愛し合うことは出来ると、僕は思う。」(P273)

○両親に、ミナに、ユウに愛されたから私があるのではない。私はずっとあった。ずっと、ずっとあった。だから、私はここに、今ここにあるのだ。そして、そんな私を、この私を、両親が、ミナが、ユウが愛したのだ。先に私はあった。存在した。そして今も。/アイはここにある!/世界には間違いなく、アイが存在する!(P297)

 

プレミアリーグ第38節 トッテナム対レスター

 プレミアリーグ最終節。マンCは早々と優勝を決めて、CL出場圏の争いもトッテナムは前節で4位以上を決めた。あとは4位リバプールと5位チェルシーの争いだけど、まあリバプールは負けないだろう。それで、今季はあまり見ることのなかった岡崎のプレーでも観ようかと思ったけど、結局やっぱり最終節もケガでベンチ外。それでも5-4と壮絶な結果は観る価値があるかなと観戦を決めた。

 トッテナムはミッドウィークのゲームがあったため、サンチェスやアリをベンチに置いて、中盤はワニャマとシソコが先発。ケインをCFに左右SHにルーカスとラメラ。ゲーム直前、フェルトンゲンのケガで変更を余儀なくされたDF陣は、ダイアーとアルデルウェイレルトのCBに、右SBには若いウォーカーピータースが入った。対するレスターもケガ人が続出。FWはバーディーとイヘアナチョ。GKにはヤクポビッチが入った。

 開始4分、右SHマフレズのFKにFWバーディーがニアに走り込んでヘディングシュート。レスターが先制点を挙げる。しかし直後の7分、レスターの右SBシンプソンの縦パスを左SHルーカスがカットすると、こぼれ球をCFケインが拾って、ドリブルからシュート。すぐにトッテナムが同点に追い付いた。13分にはCBアルデルウェイレルトがミドルシュート。中盤がルーズに、派手な攻め合いが続く。そして16分、CHアドリアン・シウバからFWバーディーへのパスをカットしたこぼれ球を右SHマフレズがミドルシュート。レスターが勝ち越し点を挙げた。

 トッテナムも攻め返す。23分、OHエリクセンのCKにCBダイアーがニアに走り込んでヘディングシュート。GKヤクポビッチがナイスセーブ。レスターも26分、FWイヘアナチョのクロスをFWバーディーが落として、左SHグレイがシュート。GKロリスがファインセーブで弾き出す。30分には左SHグレイのCKからCBマグワイアがヘディングシュート。36分、FWバーディーがミドルシュートとレスターが攻めていく。トッテナムも41分、OHエリクセンのスルーパスにCHシソコが抜け出してシュートを放つが、CBマグワイアがブロックした。前半は序盤ゲームが動いたが、その後は両チーム守備の意識も高くなり、2-1。レスターのリードで折り返した。

 しかし後半に入ると急にゲームが動いた。後半2分、FWイヘアナチョがCHワニャマを振り切ってドリブルからシュート。3点目を挙げると、4分、今度はトッテナムが左SBローズのパスからSHラメラが落とし、CFケインが右に展開。右に回ったSHルーカスからさらに右SBウォーカーピータースに流して、クロスをラメラが押し込む。トッテナムがすぐに1点を返す。さらに8分、左SBローズのクロスを左SHルーカスが落とし、右SHラメラが仕掛けたこぼれ球が左SBフックスに当たってゴールに飛び込む。オウンゴールトッテナムが同点に追い付いた。レスターも11分、右SHマフレズのFKをCHイボーラがフリック。FWバーディーのクロスにCBマグワイアボレーシュート。しかし枠を捉えられない。すると15分、左SHルーカスから右に展開。左SHグレイに当たったボールはそのままいい感じで右サイドに流れ、右SBウォーカーピータースのクロスに右SHラメラがシュート。トッテナムがついに逆転ゴールを挙げた。

 レスターは11分、右SBチャウドリー。16分、左SHディアバテを投入。反撃。21分、右SHマフレズの戻しからFWイヘアナチョのミドルシュートは強烈だったが、GKロリスがファインセーブ。24分には右SHマフレズがミドルシュートを放つが、GKロリスがセーブした。そして28分、右SHマフレズのドリブルからスルーパスにFWバーディーが抜け出してシュート。4点目。レスターが同点に追い付いた。しかしまた直後の31分、CFケインが強烈なミドルシュートを決めて、再びトッテナムが突き放す。

 その後はトッテナムも29分にアリ。33分にはCBサンチェスを投入。3バックにして守備を固める。33分、FWイヘアナチョのシュート。アディショナルタイムにはFWバーディーのミドルシュートがあったが、ゴールはならず。そのまま守り切って、トッテナムが5-4で勝利した。

 これを壮絶と言っていいのか。お互い守備は甘く、攻め合ってのゴール合戦という感じ。2ゴールを挙げたケインだったが、サラーも1ゴールを挙げて、結局、得点王には追い付かなかった。でも30ゴールはすばらしい。最終節にふさわしい、サッカーの楽しさが満開といった感じのゲームだった。次はいよいよCL決勝だ。リバプールがレアル相手にどこまでやれるのか、どんな戦いを挑むのか。W杯の前に、まずはCL決勝を楽しみにしよう。