とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

法令遵守よりも組織の問題

 「悪い人間なんていないよ。人間は悪いことをするときがあるんだ」。かなり前に、大竹まことTVタックルでつぶやいた言葉だ。不正経理問題に職員の不祥事が続き、すいぶんと評判を落とした自治体がある。
 コンプライアンスの欠如という言葉がよく使われるが、法令を遵守してさえいれば良い訳ではない。「公務員、休まず、遅れず、働かず」ではやはり困る。本当は、法令に少し目をつむっても、国民のためになる働きをしてほしい。郷原信郎の『「法令遵守」が日本を滅ぼす』では、『私は、コンプライアンスを「組織が社会的要請に適応すること」と定義しています』と書かれている。法令を遵守するだけではコンプライアンスとは言わない。
 痴漢や万引きで捕まる職員に対しても、コンプライアンスの欠如という言葉が使われることがあるが、これはおかしい。ちなみに、殺人を禁止する法律はない。あくまで法令に書かれているのは、殺人をしたら死刑等に処するという刑罰の規定だけである。痴漢も同様ではないか。
 殺人をしない、痴漢をしないというのは、社会道徳である。それを知りつつ抑止できないのは、人間性に問題がある。人間性が壊れている。自然に壊れていくこともあるだろうが、多くの場合、社会や環境が人間を壊すと言っていい。若しくは壊れた人間を作っている。
 社会道徳犯罪が多発する組織は、組織自体が所属する人間を壊している可能性を疑った方がよい。日本の社会自体が日本人を壊しているように。