とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

孤独死された大家さん

 今日聞いた先輩の話。
 懇意の不動産屋から親がマンションの1室を購入し、借家として貸していた。親の死亡に伴い相続してそのまま貸していたが、ある日、近所の入居者から異臭がすると連絡があり、駆けつけると確かにイヤな臭いがするので警察に通報した。
 警官が入ってくれるかと思ったら、近くの交番から駆けつけた警官は、「玄関前に待機しているので、先に入ってもらい、異常があったら声をかけてほしい」と言うので、仕方なしに恐る恐る鍵を開けて室内に入ると、予想どおり室内で入居者が死亡していた。
 すぐに警官に声をかけて、あとは不審死ということで警官が死体を運び出し、現場検証等をしたが、死後2週間程度経っていたとのこと。沖縄出身の近在に身寄りのない高齢者で入居後20年近く経っており、何とか神戸に住む身内に連絡がつき、葬儀などは対応してもらったが、住宅内に残された家財や死臭が染みこんだ畳の処分などで、50万円近くも持ち出しになってしまったそうだ。
 業界用語では「事故部屋」というそうだが、そんな部屋を再度リニューアルして貸し出すわけにもいかず、元々購入した不動産屋に掛け合って、わずか10万円で引き取ってもらった。親が購入した時は500万円だったそうで、結局、得だったか損だったかわからないと嘆いていた。
 大家というのは、一般的に面の皮の張った強突張りといった印象があったりするが、入居者とのトラブルやこうした問題を考えると、実は相当の慈善家ではないかなと思う。
 行政に対して孤独死対策を訴える社会活動家がいたりするが、孤独死で一番困るのは大家さんであり、そうでない外野が行政の怠慢をなじるのは違うよな、とつくづく思った。
 大家さんはつらいです。