とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

みんなで盛り上げたナビスコ杯 でも、両チームの今シーズンを象徴するゲーム

 降格争い真っ只中のレッズ対今シーズンは6位に低迷するアントラーズ。それでもアントラーズはだいぶ安定感を取り戻して、第28節レイソル戦の敗戦はあるものの、それを除けば6月以降15戦でわずか1敗。最近6試合では1勝1敗4分となかなか勝ち切れないもののだいぶ調子を取り戻してきた。対して、レッズはついに前ペトロビッチ監督が退任。堀監督となってわずか10日目。両チームの調子は「明暗」とは言わないまでも「明るいグレー対漆黒」ほどの違いがある。その調子を如実に表したようなゲーム。
 11分、野澤のFKに興梠がヘディングシュート。だが味方同士でカブってしまう。レッズは14分、柏木がドリブルからクロスを入れるが、梅崎に合わない。アントラーズは両SBが非常に高い位置を取る。16分、新井場のクロスは大迫が届かない。
 20分、レッズは梅崎がドリブルからミドルシュート。レッズは梅崎、原口、エクスデロとドリブラーを揃えるが、パスミスが多く攻撃が単発的で形にならない。アントラーズの方がかっちりとフォーメーションを整えパスをつなぐが、興梠にキレがなく、遠藤、野澤もうまく噛み合わない。25分、大迫のドリブルから野澤がミドルシュート。GK加藤がナイスセーブ。
 30分、レッズが前半最大のチャンス。左SB平川のフィードを山田直輝が落とし、原口がエスクデロとパス交換しながら中へ。最後はエスクデロのスルーパスに梅崎がシュート。しかしわずかにポストの左。外してしまう。アントラーズも37分、大迫のポストに遠藤がシュートを放つが、宇宙開発。お互い少ないチャンスを逃し合って前半はスコアレスで終わった。
 後半早々、山田直輝が続けざまにファールを犯し、4分イエローカード2枚で退場。直後の7分には左からのサイドチェンジに梅崎がドリブル突破、シュートを見せるがサイドネット。だがこの後は一人多いアントラーズが一方的に攻め続ける。
 10分、大迫。12分、CKから中田のヘディングシュート。15分、野澤のFKがサイドネット。15分には遠藤に代えて田代を投入。20分、大迫がドリブルで抜け出しシュート。23分、小笠原のスルーパスに野澤がうまく身体を入れ替えシュート。25分、野澤のFKに大迫がヘディングシュート。
 後半32分、レッズは梅崎に代えて高橋峻希アントラーズフェリペ・ガブリエルを入れると、そのフェリペの縦パスを興梠が落として野澤がシュート。GK加藤が好セーブ。そして35分、原口が左サイドをドリブルで突破を図ると、CB青木が身体を寄せて併走しつつ戦う。と、原口が倒れたところで青木にイエローカード。2枚目。何とアントラーズも10人になってしまう。一人多くても得点できないアントラーズに対して、懲罰のようなレッドカード。10対10にして主審がゲームに変化を促した。だが90分はこのまま終了。延長戦突入。
 延長戦初めからアントラーズは小笠原に代えて増田、レッズは鈴木啓太に代えて小島を投入。アナウンサーが「両チームキャプテンを交代」と叫ぶ。TV局も盛り上げようと必死。10人同士になってようやく両チーム攻撃に流動性が出てきた。4分、大迫から増田のミドルシュート。だがGK加藤がナイスセーブ。6分、増田のスルーパスに大迫がヘディングシュート。レッズも12分、原口が中盤からドリブル、高橋とパス交換、最後は高橋がシュート。そして延長前半15分、興梠のクロスを田代が落とし、興梠がもう一度ファーサイドへクロス。これに大迫が飛び込みゴール。ついにアントラーズが勝ち越した。それにしても興梠に対する山田暢久の守備は軽すぎる。
 延長後半2分、その山田に代えて坪井投入。CB濱田を前線に上げて反撃を試みる。2分、原口のクロスに高橋が飛び込む。だがアントラーズも前掛かりのレッズの裏を取り、攻撃する。10分、柴崎のミドルシュートはバーを叩く。11分、CKから野澤が上げたクロスはGKがクリアミス。中田がヘディングシュート。14分、平川のクロスを原口がつなぎ、最後は濱田がヘディングシュート。ロスタイムには濱田のポストからエスクデロがシュート。結局、最後の抵抗をアントラーズが抑えきって、ナビスコ杯優勝を飾った。
 もともとナビスコ杯の意義がよくわからないが、まあオリヴェイラ監督が喜んでいるのならいいだろう。アントラーズのHPも優勝記念バージョンになっていた。アナウンサーも一生懸命盛り上げようとしていたしね。
 それはそれとして、私はもっぱら柴崎を中心に見ていた。やっぱりいい。小笠原に支えられている面もあるが、鋭い縦パスもいいし、攻撃時のポジショニングもいい。対してレッズはボランチの構成力で差がついた。鈴木啓太は守備一辺倒だし、柏木は運動量はあっても守備の安定感に乏しく、くさびのパスも刹那的。今度はU-22で柴崎を見てみたい。