とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

まさか、まさか、まさか、まさか、まさかの5失点。大会2日目で厳しい試練に追い込まれたスペイン。オランダはファンファール監督の作戦がばっちり決まった。

 前回大会決勝戦の再戦となったグループB、スペイン対オランダの一戦。終わってみればまさかこんなゲームになるとは思わなかった。オランダは、インディ、デフアイ、フラールの3バックに左WBブリント、右WBヤンマートが開く実質5バックの守り。中盤にはデヨングとデグズマンが睨みを利かせる。一方、スペインも守備に配慮した布陣。アンカーにブスケツを置いて、その前にシャビとシャビアロンソジエゴ・コスタをCFにイニエスタダビド・シルバが攻撃を作る。
 序盤、オランダが高いプレスを見せて厳しい中盤の攻防が繰り返される。8分、厳しいプレスの中で右SHロッベンが一瞬前を向くと、スルーパスに左SHスナイデルが走り込みシュート。GKカシージャスが右手1本で止める。対するスペインも10分、左SHイニエスタがドリブル突破からミドルシュートを放つ。18分にはオランダのパスミスを奪い、右SHダビド・シルバがスルーパス。CFジエゴ・コスタがシュート。この時間帯からスペインが次第にオランダ陣内に攻め込み、押し込んでいく。
 そして27分、CHシャビのスルーパスにCFジエゴ・コスタが走り込むと、切り返しにCBフラールの足がかかってしまう。PK。これをシャビアロンソが落ち着いて決めてスペインが先制した。その後もスペイン・ペース。43分、左SHイニエスタのスルーパスに右SHダビド・シルバが抜け出して、GKの上を抜くループシュート。しかしGKシレッセンがよく手を伸ばし、シュートをはね返す。ナイスセーブ。しかしこのプレーで流れが変わったように感じる。
 直後の44分、失点後ほとんどチャンスのなかったオランダがスーパープレーで同点に追い付いた。左WBブリントのアーリークロスにCFファンペルシーが走り込むと、GKの動きをよく見て押し出すようなダイビングヘッド。GKカシージャスの上を越えてゴールに放り込む。オランダが前半終了間際、同点に追い付いて前半を終えた。
 後半に入ると突然激しいスコールがピッチを襲う。この激しい雨もゲームに影響を与えただろうか。5分、左SHイニエスタミドルシュートはわずかに右に外れる。すると8分、CHデヨングから左に展開。左WBブリントのアーリークロスに右WGロッベンが走り込み、切り返してシュート。これが決まり、オランダが勝ち越した。15分には右WGロッベンのドリブルから右WBヤンマートが右に流し、CFファンペルシーがシュート。バーを叩く。
 リードされたスペインは17分、CFジエゴ・コスタをフェルナンド・トーレスに、CHシャビアロンソをペドロに交代して、イニエスタを中盤に下げる。オランダもCHデグズマンをワイナルドゥムに交代する。すると19分、微妙な判定で得たFKをスナイデルが蹴ると、飛び出したGKカシージャスとCFファンペルシーが競り合って倒れる。ファーサイドにCBデフライが詰めてヘディングシュート。ゴールに押し込んで、オランダが3点目を挙げた。GKカシージャスの必死の抗議も実らず、逆にイエローカードをもらってしまった。これでカシージャスは精神的に切れてしまったかもしれない。
 それでも必死に反撃するスペイン。22分、左SHペドロのクロスのクリアを右SHダビド・シルバがシュート。いったんはDFにクリアされたが、右SBアスピリクエタが拾ってクロス。左SHペドロがヘディングシュート。GKシレッセンが弾いたボールにD.シルバが詰めてゴールに押し込むが、D.シルバがオフサイド。スペインにゴールが遠い。24分にはCFファンペルシーがドリブルからミドルシュートを放つ。
 すると27分、CBセルヒオ・ラモスのバックパスをGKカシージャスがトラップ。これが長くなったところをCFファンペルシーに狙われる。奪われてシュート。オランダが4点目。33分にはオランダがCBデフライに代えてフェルトマン、さらにファンペルシーに代えてレンスを投入する。スペインも左SHダビド・シルバに代えてセスク・ファブリガス。
 だが35分、左SHスナイデルの長い斜めのスルーパスに右WGロッベンが走り込むと、CBセルヒオ・ラモスを振り切って、飛び出したGKカシージャスもかわして切り返しシュート。なんとオランダがスペイン相手に5点目を挙げた。
 その後も42分、左WBブリントのクロスにCHワイナルドゥムがシュート。さらに右WGロッベンがシュート。ここはGKカシージャスがナイスセーブ。44分、右WGロッベンのドリブルから左SHスナイデルミドルシュート。スペインはアディショナルタイム1分、右SHペドロがGKシレッセンをかわし、CFフェルナンド・トーレスが決定的なチャンスを迎えたが、CBフェルトマンがクリア。スペインは最後までゴールが遠かった。終わってみれば5-1。オランダが予想外の大差で前回優勝のスペインを一蹴した。
 オランダは前半からの守備がよかった。スペインはPKで1点は取ったものの、密着し身体を当てて厳しく守るオランダに対して、いつものようにワンタッチでパスを回す時間は少なく、特に後半はほとんどオランダ・ペースで終始してしまった。スペインは初戦にして予想外の大敗でグループリーグ突破に黄信号が灯った。次のチリ戦。絶対勝たないといけない。後半はベンチにも悲痛な表情が並んだスペイン。デスボラケ監督の下、短い期間で精神的な平静を取り戻せるか。前回王者が大会2日目にして厳しい試練に追い込まれた。