とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第17節 グランパス対ベルマーレ

 ついにJ2降格が決まってしまった。Jリーグが始まった頃、Niftyのフォーラムで一緒にチケットを取り合い、観戦した仲間と、20数年ぶりに一緒に瑞穂で観戦した。しかし結果は最悪。こんな予定ではなかった。中断明けの残り3節で勝ち点1しか取れなかった。その前のアビスパ戦の大勝で却って自らのポジションを見誤ってしまった感じ。ヴィッセル戦の前には「残り2試合で勝ち点4」とか、このゲームの前には「他チームの状況を見ながらゲームをコントロール」なんて新聞記事が出ていたが、そんな実力もなかった。慢心があったのではないか。

 ベルマーレはジネイをワントップにトップ下に山田直樹。アンドレ・バイアと坪井を並べる4-2-3-1の布陣。矢野がケガで出られないグランパスは左SBに高橋、右SBに古林を起用した。序盤、グランパスも攻め込むが、どこか動きが堅く、攻撃がつながらない。すると6分、CH三竿のドリブルから右に流して、OH山田が切れ込むと、左IH田口を簡単にかわしてミドルシュート。「詰めが甘―い」と叫んだが、シュートはきれいな弧線を描いてゴールに吸い込まれた。ベルマーレが先制する。ああー。

 グランパスも9分、左IH田口がミドルシュートを放つが、DFにブロックされる。グランパスは中盤の守備がルーズ。ボールを持ってもパスの出し処を探すうちに潰される。17分、CFジネイがドリブルで進むが、寄せる選手がいない。フリーのままミドルシュートを打たれる。やれやれ。それでも24分、左SB高橋のクロスのこぼれをCHイスンヒがミドルシュート。DFがブロック。これで得たCKから田口のCKに右IHハデソンがヘディング。ファーサイドで左SH永井がヘディングで押し込むが、サイドに外れる。あーあ。

 グランパスはとにかくプレスが甘い。そしてミスが多い。連携ミスも目立つ。中盤でボールを奪われてはベルマーレのカウンターを浴びる。そして36分、OH山田から右に展開。サイドに開いたCFジネイからのクロスに左SH高山が走り込む。シュート。ベルマーレが追加点を挙げた。ああー。

 37分には左IH田口がミドルシュート。42分、右SB小林のクロスをCFシモビッチがヘディングで落とし、右SH小川の落としに左IH田口がミドルシュート。しかし枠を外す。45分、右IHハデソンのクロスのこぼれから左IH田口がミドルシュート。前半、シュートを打つのは田口ばかり。他の選手はどうした。特にハデソンの動きが悪い。前半で2-0。他チームなんてどうでもいい。もっと積極的にプレーして、まずは1点を返してほしい。

 後半頭からハデソンに代えて右CB酒井を投入。永井をFWにあげて3-5-2の布陣に変更する。すると後半は左WB高橋が積極的。5分、高橋が左サイドを仕掛けて駆け上がると、これで得たCKにPA内でCB竹内がCB坪井に倒される。PK。シモビッチが思いっきり蹴り込んで、グランパスが1点を返した。ひょっとしてこれで行けるか。同点に追い付けば残留の可能性が出てくる。

 グランパスが勢い付いて攻めていく。7分、田口のCKにCB闘莉王がヘディングシュート。DFがブロック。8分、CB闘莉王がヘディングで落としたボールにCFシモビッチが仕掛けて、切り返しから狙い澄ましたミドルシュート。しかしわずかに曲がり切らない。ポスト右に外れる。11分、左IH田口の大きすぎたクロスにCB闘莉王が必死に追い付いてシュート。しかしサイドネットに外れる。必死に攻めるが、どうしてもゴールが遠い。

 すると15分、左SH高山からのフィードにOH山田が走り込む。CB闘莉王が先に追い付いたと思ったが、もつれて倒れると山田が抜け出す。そのままゴール前まで持ち上がり、狭い角度からCB竹内そしてGK楢崎のニアを抜くシュート。ああ! 決定的な追加点、3点目がベルマーレに入った。

 その後は必死に反撃するグランパス。16分、右WB古林のクロスをFW永井が落としてFWシモビッチがミドルシュート。しかしDFがブロック。20分、FW永井がCB坪井を抜いてドリブルで駆け上がり、クロスに右WB古林が何とか追い付いてシュートを放つが、大きく外す。23分、田口のCKにCB闘莉王がヘディングシュート。しかしGK梶川がナイスセーブ。ベルマーレはその直後、CB坪井に代えてCH菊地を投入。三竿を下げて、島村、アンドレ・バイアの3バックにする。

 そしてカウンターで攻め込んだベルマーレはOH山田がミドルシュート。またもバーを叩く。あわやハットトリック。聞けば山田はレッズ時代からグランパス・キラーでU18高松宮杯決勝ではグランパス相手にハットトリックを決めているとか。グランパスは30分、右WB古林に代えて川又を投入。トップ下にポジションを取り、小川を右WBに回す。ベルマーレも32分、藤田征也に代えて長谷川アーリアジャスール、43分には山田に代えてDF岡崎を投入した。

 3点目を取られて以降、なかなか攻められないグランパス。40分過ぎには闘莉王が前線に上がり、4トップ状態で前線に張り付く。44分、FWシモビッチのスルーパスにFW永井が抜け出してシュート。しかしポストにはね返される。この瞬間、降格を実感した。アディショナルタイムの47分、左IH田口から左に流して、左WB高橋がシュート。しかしGK梶川がナイスセーブで弾き出す。48分、小川のCKにOH川又がヘディングシュートを放つが、バーの上。そしてタイムアップ。3-1。ベルマーレが快勝。グランパスのJ2降格が決まった。

 今シーズンはリーグ序盤こそ期待を持たせるスタートを切ったが、次第に低迷。ジョロヴスキー監督に交代後、一時、持ち直したが、最後は1分2敗。ジュビロ戦の後半以降は動きが悪く、精神的な重圧に押しつぶされた感じだ。

 ゲーム後、シーズン終了のセレモニーが行われたが、久米社長に対して大きなブーイングが上がった。ジュブロフスキー監督には拍手。そして田口キャプテンに対してはどこか白けた雰囲気が漂った。場内を一周する選手たち、中でも闘莉王と楢崎には感謝の言葉がかかっていたように思う。

 その後、みんなで久しぶりに呑みに行ったが、イマイチ盛り上がらない。私はそれでも久しぶりに会う仲間たちに気持ちが高ぶっていたが、翌日になるとすっかり気持ちが落ち込んだ。来年J2開幕戦でまた会おうと約束したが、来シーズンの展望がまったく見えない。今朝の新聞ではジュロヴスキー監督の退任と久米社長の辞任記事が掲載されていたが、闘莉王はどうするのか。楢崎はどうなるのか。田口は? 永井は? 矢野は? 川又は? 小川は残留の意思を表明したが、後は誰が残るのか、まったく不明。そして誰が指揮を執るのか。みんなからは「あのサッカーではJ2は戦えない」という声が多かった。

 スタジアム入場時にユニフォームを提供しているルコックから「1992-2016 Thank you for 25 years」と書かれたファイルホルダーが配られた。これまで25年間の16種類のユニフォームが配されたデザインだ。でもこれではまるでJ1へ別れを告げるための記念品のようだ。反対側には1995シーズンと1999シーズンの天皇杯優勝、そして2010シーズンのJ1優勝時の選手全員写真が大きく掲載されている。再びこの喜びを味わう日は来るのか。

 J2へ降格した後、再びJ1に戻って優勝争いをするチームもあれば、そのままJ2から這い上がれないヴェルディやジェフの例もある。またJ3へ落ちたトリエンナーレも。みんなからは「グランパスはジェフ・コース」という悲観的な意見が多く聞かれた。もっと貪欲に走って、ボールを追う、若々しく元気のいいサッカーを観てみたい。そのためにはガラッとチームを変える必要がある。J2開幕まで4ヶ月。来季への展望や期待を持ってJ2開幕を待ちたい。グランパス・フロントはいったい来季に向けてどういう構想を描いているのだろうか。