とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯グループD アルゼンチン対クロアチア

 アルゼンチンは初戦のアイスランドから明らかに不調だった。アイスランドのがんばりはもちろんあるけれど、メッシ以外に攻め手はなく、何より守備の不安定さが目立つ。対するクロアチアは初戦ナイジェリアに2-0で快勝。モドリッチを中心にいいパフォーマンスを見せていたと言う。対戦前からクロアチアの勝利を予想していたが、朝起きて見たら3-0。いったいどんなゲームだったのか。楽しみに録画を観始めた。

 アルゼンチンは3バックに代えて、右からメルカドオタメンディ、タリアフィコと並べる。中盤にはマスケラーノエンソ・ペレス。右WBにサルビオ、左WBアクーニャ。FWはアグエロをワントップにメサとメッシを並べる3-4-3。対するクロアチアは4-2-3-1。中盤にブロゾビッチとラキティッチを並べるが、ラキティッチは左サイドでやや高めのポジション。モドリッチがCFマンジュキッチとともにアルゼンチンのDFにプレスをかけていく。

 静かな立ち上がりから、5分、クロアチアの左SHペリシッチが切れ込んで、ミドルシュートを放つ。GKカバジェロがファインセーブ。アルゼンチンも12分、CHエンソ・ペレスのループ状の縦パスに右FWメッシが走り込む。が、わずかに届かず、GKスバシッチがキャッチ。13分には右FWメッシの縦パスに走り込んだ右WBサルビオのクロスからメッシがシュート。右SBブルサリコがナイスブロック。クロアチアも21分、OHモドリッチの落としからCHブロゾビッチがミドルシュートを放つ。

 クロアチアはメッシにブロゾビッチを付けて、しっかりとマーク。バランスの取れた守備は非常に安定している。攻撃陣は20分過ぎあたりからペリシッチとレビッチの左右を入れ替えた。30分、左CBタリアフィコのフィードに左WBアクーニャが走り込み、クロス。CBビダのクリアをCHエンソ・ペレスがシュート。だがポスト右に外れる。クロアチアも33分、右SBブルサリコのクロスにCFマンジュキッチがヘディングシュート。こちらもわずかにポストの左に外れる。アディショナルタイムにはOHモドリッチのサイドチェンジから左SHレビッチが切り返してシュート。前半は予想以上にアルゼンチンががんばっていた。互角のままスコアレスで折り返した。

 後半も序盤は膠着状態が続く。クロアチアの守備を崩せないアルゼンチン。一方、アルゼンチンも無理して攻めることはしない。8分、左CBタリアフィコのスルーパスに抜け出したCFアグエロがシュートを放つが、GKスバシッチが正面でセーブ。そしてその直後、右SBブルサリコからのフィードをCFマンジュキッチがDFと競って前に送ると、右CBメルカドがバックパス。これに左SHレビッチがプレスをかけると、焦ったGKカバジェロがキックミス。高く上がったボールを落ち着いてレビッチがGKの上を越えるシュート。クロアチアが先制点を挙げた。

 直後、アルゼンチンはCFアグエロに代えてイグアインを投入。11分には右WBサルビオに代えて右SHパボン。布陣もアクーニャを左SBに下げる4-2-3-1に変更する。クロアチアも12分、左SHレビッチに代えてクラマリッチを投入した。18分、CHマスケラーノのクロスをOHメッシが受けるが、持ち過ぎてシュート打てず。ダイレクトならシュートチャンスはあった? 19分にはCHエンソ・ペレスのスルーパスに走り込んだCFイグアインがクロス。右SHパボンがシュートを放つが、GKスバシッチがナイスセーブ。続くCKをCBオタメンディがヘディングシュートするも、枠を捉えられず。

 アルゼンチンは23分、エンソ・ペレスに代えてOHディバラを投入。メサをCHに下げて、メッシを右SH、パボンを左SHに回す。ゲーム後、サンパイオ監督が「メッシを生かす布陣が見つからない」と言っていたが、それを物語るように布陣を変更するたびにメッシの位置が変わる。26分、右SHメッシのクロスをCFイグアインが落とし、OHディバラがミドルシュートクロアチアの守備が堅く、なかなか決定機を作れない。そして35分、アルゼンチンがカウンター気味に攻め上がり、左サイドから中へ回したパスをOHモドリッチが1回・2回と切り返してCBオタメンディを揺すり、右サイドからきれいな弧を描いたミドルシュートがネットに突き刺さる。クロアチアが追加点を挙げた。

 すっかり気落ちするアルゼンチン。クロアチアは37分、右SHペリシッチに代えて左SHコバチッチを投入。マンジュキッチを右SHに下げた。39分、CFイグアインミドルシュートはGKスバシッチがキャッチ。41分にはCHラキティッチのFKがバーを叩く。アルゼンチンは再び3バックに戻して攻める。アディショナルタイム46分、CHメサのミドルシュートはCBビダがブロック。そして直後にカウンター。OHモドリッチを起点にCFクラマリッチが持ち上がり、CHラキティッチミドルシュート。GKカバジェロが一旦ははね返したが、左SHコバチッチが拾って戻したボールをラキティッチがシュート。ダメ押しの3点目を挙げて勝負を決めた。3-0。クロアチアが快勝。

 結局、アルゼンチンとクロアチアの差は守備。守備の不安定さが払拭できないアルゼンチンは攻撃もメッシがボールを持つとワンマンショーになってしまって、メッシをつぶせば続きはない。かと言って、メッシなしでは決定機を作れないし、結局メッシの存在がチームを壊している。一方、クロアチアは守備に攻撃に、実にバランスが取れている。これでフランス大会以来20年ぶりの決勝トーナメント進出。あの時は3位になった。今大会も同等以上の成績が見込める。それだけバランスのいい好チームに仕上がっている。