とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

新しい分かり方☆

 メディアクリエーター。電通に入社して、「ドンタコス」など多くのCMを手掛け、独立後にはNHK教育の「ピタゴラスイッチ」の監修などに携わる。「だんご3兄弟」の作詞も行った。ということで、わかりやすく面白い映像表現にかけては第一人者の筆者が書いた本書は、6章まで、いくつかのテーマに分けて、主に写真とイラストで色々な分かり方の実例を挙げる。第7章に6編の随筆兼解説が掲載されて、終わり。ページをめくればあっという間に読了。でも内容の豊かさ、分かり方の多様さ、人間の認識の多様さなどを実例を持って実感する。常識に囚われ、それゆえに理解したり、間違ったり。それが面白い。

 加えて、随筆の文章も巧い。簡潔でわかりやすく、温かみを感じる。でも認識に関するかなり専門的な内容を綴ってもいる。読んでうれしくなる一冊である。

 

新しい分かり方

新しい分かり方

 

 

○旅行者やスポーツをやる方たちには、晴れはいい天気かもしれませんが、雨を望んでいる、農業をやっている方たちには、一概に、晴れはいい天気とは言えないんですね。・・・私は、そのスタジオが一瞬、静まったように感じた。その予報士の回答は、出演者や制作者たちの背筋まで一瞬伸ばしたようであった。・・・私たちは、受け手に自分と同じ解釈基準を期待して、情報を送っていることが多い。/しかし、基本的に、受け手の置かれている状況は自分とは異なり、別の解釈基準を持っている可能性は決して少なくない。それが、世の中に蔓延するディスコミュニケーションの要因であろう。(P212)