とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

年度末に老後を考える。

 今年は3月31日が日曜日になるので、来週月曜日から新年度が始まる。先週から今週にかけて、今年度で退職する方が数人あいさつに来られた。その中でお二人の方の退職後の身の振り方に興味が引かれた。

 一人目のKさんは、既に60歳で定年を迎え、その後は関連会社で役員を務めておられたが、任期を2年残して退職し、4月からは福島県富岡町へ行くと言う。福島県庁が震災及び原発災害からの復旧・復興のために募集をしていた任期付職員に応募・採用され、4月からは福島県からさらに富岡町へ出向となり、仕事をされるとのこと。

 Kさんは定年退職される前も岩手県に転勤となって、復興に関わる仕事をされていた。定年後は家族の住む愛知県に戻って3年ほど経つのだが、岩手県での経験が今回の行動につながったのだろうか。Kさんは土木技術者であり、専門知識を生かすことができる職種の応募があったとのことで、先週来られた時も、晴れやかでワクワクとした気分が隠し切れないようだった。

 もう一人のOさんは定年後も自社の役員として勤めてきたが、眼に病があって、以前から退職を希望していたところがようやく聞き入れてもらったとのこと。しばらくは顧問という肩書で引継ぎなどをするそうだが、それも数ヶ月のこと。その後は、生まれ育った町の城下町観光ガイドボランティアをする予定で、既に申し込みをしたと語っていた。

 Kさんは一学年上、Oさんは同学年。私もそろそろ退職後の生活について真剣に考えなくてはいけない齢になってきたのかもしれない。同い年で同期に退職した友人は、再任用で働きながら、最近は俳句サークルに入って楽しんでいる。「一緒にやらないか」と誘われたけど、俳句にそれほど興味はない。というか、そもそも趣味がない。かと言って、これから老後のために新たに趣味を作るというのも気乗りしない。

 それでは、このまま退職してしまえば、本当に家の中のお荷物、粗大ゴミになりかねない。だからと言って、いまさら楽しくもない、何の益もない趣味を始める気も起らない。図書館へ行くと、そんなおじさんが大勢、閲覧室にたむろしている。自分も数年後はあの仲間の一人になるのだろうか。

 必要なのは、自分の限界を知って、あきらめ、受け入れることなのかもしれない。まだその覚悟ができていない。でも、ただ老後を待つのではなく、彼らのように、自ら動いていく勇気と気力が必要だ。もう少し追い詰められればそんな気にもなるのだろうか。二人の先輩を見て、自分の老後をこれまで以上に実感の籠った事として感じてしまった。そう、今月には62歳の誕生日も過ぎてしまった。