とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J2リーグ第3節 ジェフユナイテッド千葉対名古屋グランパス

 グランパスがJ2に落ちて、TV放送がめっきり減りそう。でもDAZNの月1750円は高いなあと思っていたら、「DAZN for docomo」なら月980円(税抜)で観られると知り、思わず加入してしまった。最初の1月は無料なので、価値がないと思えば解約すればいいと思いつつ、まず視聴1本目はグランパスのゲームを観ることにした。

 前節はFC岐阜に対して終了間際に追い付くドロー。しかしあれはFC岐阜がよかった。ジェフ千葉なら大丈夫だろうと思ったが、豈計らんや、ジェフもFC岐阜に負けないいいサッカーを展開した。グランパスがまだ熟成していないせいだと思いたいが、早くもJ2の洗礼を浴びているようだ。

 グランパスは右FWに押谷が初先発。大武も右CBで初先発。宮原をCHに上げた3-4-3。対するジェフは3-5-2。ラリベイと船山の2トップ。アンカーにアランダが入ってゲームを作る。左WBはサリーナス。新外国人選手がしっかりチームになじんでいる。5分、左CB西野がミドルシュート。6分、右IH町田がミドルシュート。ジェフが序盤から積極的に攻めてくる。グランパスも9分、右WB杉森のフィードにFW永井が走り込み、クロスにCF佐藤が抜け出してシュートを放つが、わずかにポストの右に外した。

 ジェフのDFラインが高く、プレスも早い。19分、右WB杉森のパスを右IH町田がカットして、FW船山、FWラリベイ、CHアランダとつなぎ、町田のクロスにFWラリベイがヘディングシュート。GK楢崎がファインセーブで弾き出す。21分には右IH町田のミドルシュート。GK楢崎がセーブするが、ジェフのペースでゲームが進む。

 グランパスはなかなかうまくパスが繋がらない。23分、カウンターで右FW押谷がドリブル。右に流してFW永井のクロスに押谷が走り込む。しかしシュートは枠を外す。ジェフは次第に外国人たちが活躍し始める。28分、左WBサリーナスのクロスは右IH町田が走り込むが、わずかに届かない。31分、左WBサリーナスからFWラリベイとワンツー。サリーナスが駆け上がりシュートを放つ。

 グランパスの攻撃は単発。34分、左FW永井がドリブルからミドルシュートを放つが、枠を捉えられない。前半も終了間際の43分、左サイドから左WBサリーナスのクロスに左CB西野がドンピシャのヘディングシュート。これが決まり、ジェフが先制点を挙げた。直後のアディショナルタイムグランパスもCKから左WB和泉のクロスにCB大武がヘディングシュートを放つが、GK佐藤がナイスセーブ。前半は1-0で折り返した。

 後半頭、グランパスは右WB杉森に代えてCHワシントンを投入する。宮原を右WBに回す。しかし後半になってもジェフのプレスが衰えない。4分、カウンターからFWラリベイの落としに右IH町田がクロス。FW船山がシュートを放つが、うまく合わせられない。11分には左IH熊谷がミドルシュート。直後、熊谷を羽生に交代する。

 グランパスは13分、CF佐藤に代えて玉田を投入。しかし玉田もなかなかボールに触れない。16分、カウンターから左WBサリーナスのクロスにFW船山がシュート。GK楢崎がナイスセーブを見せる。中盤でことごとくボールを拾うのはジェフ。グランパスは中盤で数が足りない。ジェフは21分、FW船山に代えて清武を投入する。すると23分、FW清武のドリブルからクロスに左WBサリーナス。DFと競ったこぼれ球を右IH羽生がクロスを入れると、FWラリベイがボレーシュート。しかしDFがブロックした。

 グランパスは直後の22分、FW押谷に代えてフェリペ・ガルシアを投入する。ジェフは31分、左WBサリーナスに代えて左CB大久保を投入。西野を左WBに上げて守備を固める。34分、左IH羽生のスルーパスに右SH北爪が走り込み、クロスに右IH町田がミドルシュート。GK楢崎がナイスセーブで弾き返した。グランパスはワンタッチでパスを繋げない。出し先を探す間にジェフのプレスがかかり、有効なパスも出せない。38分、右WB宮原もボールを持つが、パスを出し先がなく、ミドルシュートを放つが、大きく枠を外した。

 45分にはCHワシントンのクロスにFWガルシアがヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。するとアディショナルタイム3分、グランパスのロングスローからボールを奪い、FW清武がドリブル。CB櫛引と競り合うと、右IH町田が抜け出してドリブルからクロス。清武が走り込みシュート。ダメ押し点。そしてタイムアップ。2-0でジェフが完勝した。

 ジェフもエスナイデル監督が新たに就任して新しいチームを作ったが、既に完成度は高い。前節のFC岐阜も大木新監督の下で、既にグランパスを上回る見事なパスサッカーを展開していた。それに対してグランパスはなかなか熟成してこない。解説の戸田和幸も風間監督が目指すサッカーは時間がかかると言っていたが、サポーターがいつまで我慢できるだろうか。既にゲーム後にはサポーターからブーイングが起こっていたという。次は水戸ホーリーホック。そろそろ可能性を見せてほしい。

アルガルベ杯順位決定戦 日本対オランダ

 5位・6位を決める順位決定戦。日本はノルウェイに勝利しグループBを2勝1敗。一方、オランダも中国、スウェーデン、オーストラリアという難しいグループを2勝1敗で通過してきた。一昨年12月にオランダで行われた親善試合以来の対戦だが、日本のメンバーは大きく変わった。当時は出場していなかった田中がFWに座り、途中出場だった横山も先発している。長谷川は今大会で最も結果を残した選手。CB中村楓も落ち着いた守備で存在感を示した。今大会最終戦で日本の先発は今回召集された中でのベストメンバーが並んだ。

 開始1分、CBファンデルフラフトのフィードに右SHファンデサンデンが走り込み、クロスにCFミーデマがシュート。DFがブロックしたが、右SHファンデサンデンの速さは脅威だ。日本も8分、CH阪口のスルーパスに抜け出したFW横山がシュート。DFのクリアを右SH中島が拾ってクロス。CBファンデルフラフトのクリアはあわやバーに当たる。11分には右SH中島のCKにCB熊谷がヘディングシュート。

 しかし先制点はオランダが挙げる。13分、CKにGK山下が飛び出したが触れず。ファーサイドにいたCH阪口に当たって中にこぼれたボールをCHデッケルがシュート。ネットを揺らした。GKが飛び出すなら、触らなければいけなかった。そして18分、右サイドのスローインからCFミーデマが縦にパス。右SHファンデサンデンがドリブルで抜け出し、クロスにOHマルテンスがシュート。オランダが追加点を挙げる。右SHファンデサンデンのスピードに右サイドが完全に崩された。

 しかし日本も29分、CH阪口の縦パスを左SH長谷川が下がって受けて縦に送ると、FW横山が思い切ったミドルシュート。これが決まり、日本が1点を返した。これで落ち着いたか、その後は日本がゲームのペースを握り、落ち着いて攻め出す。24分、右SH中島のCKからDFのクリアを左SH長谷川がミドルシュート。28分、FW横山の落としからCH川村のスルーパスに右SH中島が抜け出してシュート。サイドネットに突き刺さる。30分、CH阪口からの大きなサイドチェンジに走り込んだ右SH中島がゴール前にクロス。FW横山が走り込むが、シュートが打てない。

 31分にはCH阪口の長いスルーパスにFW横山が走り込むが、オフサイド。この大会を通してオフサイドの判定が厳しい。他の選手のポジションと混同してミスジャッジするケースも多い。日本が攻勢の時間帯を決めきれずにいると、33分、オランダはCKから左SHファンデドンクの落としにヒールシュートを打たれる。GK山下がナイスセーブ。直後のCKからヘディングシュートも打たれ、GK山下がキャッチ。やはりセットプレーは日本の課題だ。前半は2-1、オランダのリードで折り返す。

 後半頭から日本はCH川村に代えて宇津木、右SB高木に代えて佐々木を投入する。オランダはケガのCBファンデルフラフトに代えてCHフルーネンを投入。デッケルをCBに下げる。後半になるとCH宇津木が積極的につなぎ、日本が連動した攻撃を見せるようになってくる。しかし13分、右SHファンデサンデンの落としからOHマルテンスのパスにファンデサンデンが走り込む。クロスに左SHファンデドンクがシュート。枠は外したが、オランダの速い攻撃には前掛かりになった日本もなかなか付いていけない。

 16分、FW横山の縦パスを受けたFW田中がうまく反転して前を向く。たまらずCBファンデンベルフが倒してイエローカード。2枚目で退場となる。人数有利を生かして攻める日本。20分、左SH長谷川が左に流して、左SB鮫島のスルーパスにFW田中が走り込むと、クロスをファーサイドから右SH中島が戻すと、FW横山が走り込む。DFのクリアにCH宇津木がミドルシュート。しかし枠を外す。23分には左SB鮫島がDFを抜いて左サイドを駆け上がると、クロスにFW田中がDFを競ってターンをしてシュート。しかし枠を外す。FW田中は27分にもCH阪口のロングフィードに抜け出すが、GKフルツの飛び出しにわずかに届かない。

 オランダは23分、左SHファンデドンクをCBファンデンビュルフに交代。日本も29分、中島、長谷川の両SHに代えて右SH中里、左SH籾木を投入する。30分、CB中村のフィードを左SH籾木が落として、左SB鮫島が走り込む。ライン際までえぐって戻したパスにFW横山がミドルシュート。しかし枠を捉えられない。そして32分、CH宇津木から左に展開。左SH籾木のクロスにFW田中がヘディングシュート。しかしこれがうまく当たらず、CBファンデンビュルフに当たる。オウンゴール。日本がようやく同点に追い付いた。

 日本は37分、FW田中に代えて増矢を投入。直後FWミーデマがドリブルからミドルシュート。日本が勝ち越しを狙って攻め続ける。43分にはOH増矢の落としからFW横山がミドルシュート。しかしGKフルツがセーブする。そしてアディショナルタイム3分、FWミーデマが一人でドリブルを仕掛ける。止め切れない日本。最後はCB中村が抜かれてゴール前に走り込まれると、ミーデマのキックが滑り込んだCH宇津木の足に当たってゴールに転がり込む。オランダがゴール。そしてタイムアップ。オランダが3-2で勝利した。

 日本は2点ビハインドの後はゲームを支配しながら、同点に追い付いた末に最後は失点して敗戦。アルガルベ杯は12チーム中、6位という結果に終わった。ロングパスや速い攻撃に守備を崩され失点する場面もあったが、攻撃の連携も次第に取れてきた。田中美南に最後までゴールがなかったのは残念だが、田中自身のプレーは悪くなかったし、横山のシュート力もよかった。そして今大会一番の収穫が長谷川唯。早い攻守の切り替えで攻守に貢献。ゴールも2点取った。またベレーザのヤングコンビ、中里と籾木も気後れしないプレーを披露。この年代のレベルの高さを見せ付けた。しかし惜しむらくは体格がない。このゲームでは坂口と川村、宇津木がカバーしたが、若い年代で体格のいい中盤の選手が欲しい。GKは山下が積極的なプレーを見せたが、ミスも多い。中村や高木は落ち着いたプレーを見せたが、最後の場面など、やはり中村にはミーデマを止め切ってほしかった。

 色々と課題も見えたアルガルベ杯。結果は6位と満足いくものではなかったが、収穫の多い大会だった。TV席で解説をしていた岩清水もまだ老け込む年ではないし、若手では猶本や京川らも日本で待っている。さらに多くの選手を試して、じっくりと実力を高めていってほしい。そしてそのためにも今季のなでしこリーグに期待したい。ところで宮間はどうするのだろうか。まだまだがんばってもらいたいのだが。

統治新論

 本書が発行されたのは2015年1月。この対談で大竹弘二に触発されて、國分功一郎「近代政治哲学」を執筆したのか。もちろんそれ以前から政治哲学に対する関心はあったのだろうが・・・。

 最初は特定秘密保護法を巡る議論から。そして「解釈改憲」や「集団的自衛権」を考える中で、戦前ドイツのシュミットやベンヤミンの思想を考察する。続いて、ルソーやスピノザホッブズリヴァイアサンの図像などを考察する中で、主権概念について議論する。さらにオルド自由主義の考察と評価。ドラッカーに見る国家の役割と有効性。そして最終章では立憲主義と民主主義について考察する。

 刺激的な議論が続く。統治は憲法を乗り越えてしまうのか。それとも憲法自然権により制御されるのか。改憲論や共謀罪の議論が続く中で、政府とは、統治とはと考えてみることは、今こそ有効だ。もしかして現代は、主権国家から契約に基づく封建国家へ回帰していく途中かも知れない。そんな問題提起も面白い。今の日本において主権とは、いったいどこにあるのだろう。

 

統治新論  民主主義のマネジメント (atプラス叢書)

統治新論 民主主義のマネジメント (atプラス叢書)

 

 

〇統治行動が民間企業に外部委託されるようになると、行政国家ですらなくなってしまう。そのときには、単に行政権力が肥大化するというだけにとどまらず、統治が国家の決定する法やルールから完全に切り離されてしまうんじゃないかと。少なくとも、国家の行為であれば、不完全なものであれルールはあるわけです。国民がそれを決めて、チェックできる仕組みはある程度整っている。しかし、民営化されてしまうと、その活動をチェックすることすらもむずかしくなる。(P17)

〇もしかすると僕らが知っている近代国家の時代というのは、封建国家の時代と、グローバリゼーション下で国家主権が脅かされる時代とに挟まれた例外的な時代かもしれないとすら考えられるわけです。・・・あるときから無理して主権国家を維持していたけれども、もう一度封建的なものに回帰しているのかもしれない。(P53)

立憲主義と民主主義はもともとは別の原理です。ですからそこに矛盾も生まれます。権力行使が民主的な意思決定によってなされた場合でも、それは憲法によって制限されるべきなのか。もし憲法が主権者たる国民の意思をも制限するとしたら、それは民主主義とはいえないのではないか。このように民主主義と立憲主義とが齟齬をきたすことがあるわけです。(P85)

〇政府にはたしかに意思を決定するという役割がある。しかし、その決定を政府自身が実行に移そうとすれば、多大なコストと作業の不効率を招くことになる。多くの役割を担えば担うほど、政府はかえって弱体化する。だから、政府はむしろ意思決定だけに専念し、その実行を民間のアクターにゆだねることでこそ、強い政府であり続けることができる、と。ドラッカーは、国家を否定するのではなく、国家をもっと活力あるものにするためにこそ、国家の役割は限定されるべきだといっています。(P186)

〇構成的権力[=憲法制定権力]とは社会に内在するものとして維持されつつも、構成された権力[=立憲体制のもとでの法の運用]としての法が秩序を維持するということになる。そして各人の利益考慮を満足させている限りではその秩序は維持されるけれども、恣意的な運用などによって各人の不満が溜まれば、途端に構成的権力が発揮される、すなわち、自然権にもとづいた反抗が起こる、と。こんなふうに、統治される側とされる側の緊張関係を視野に収めているのがスピノザの政治論です(P243)