とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジカップ 日本対コスタリカ

 北海道での地震の影響でチリ戦が中止となった代表戦。コスタリカ戦が森保ジャパンの初戦となった。ともにW杯ロシア大会に出場し、また若いメンバーを入れて新しいチーム作りを模索する国同士。と言ってもW杯でのコスタリカのゲームを全く見ていないので、誰がW杯メンバーで、誰が今回から代表選考された選手かは不明。しかし5バックの守りからのカウンターでブラジルを終了間際まで苦しめた実力は侮れない。FIFA順位も32位と日本を大きく上回っている。

 森保監督は先のアジア大会では3バックを採用。サンフレッチェ時代も3バックだったので、代表でも3バックかと思いきや4バック。4-4-2のオーソドックスな布陣を組んできた。FWは小林悠と代表で久しぶりに見る南野。左SHにはポルトガルで活躍する中島翔哉、右SHにはベルギーで結果を出している堂安というフレッシュな顔触れ。さらにボランチ遠藤航と青山。左SBにはサンフレッチェ佐々木翔。右SBは室屋。CBは槙野と三浦で組んで、GK東口。槙野以外はW杯のゲームに出場していない選手ばかりだ。一方のコスタリカは5-4-1。ちなみにメンバーは誰も知らない。

 開始1分、日本が積極的な入りからCH青山のスルーパスにFW小林が抜け出し、クロスを入れるが、DFがクリアする。8分、左SH中島のCKにCB三浦が飛び込むが、ヘディングは届かず。DFのクリアからFW南野がミドルシュートを狙う。コスタリカも12分、CBブラウンのヘディングから右SHレアルがドリブルで切り込んでミドルシュートを放つ。FW南野と両SHの中島、堂安が積極的に仕掛けていく姿が気持ちいい。また彼らにはテクニックがある。コスタリカの守備も粘り強いが、局面では華麗なターンやフェイントでコスタリカ選手を抜き去り、積極的に身体をこじ入れてマイボールにしていく。全体的に非常に溌剌として観ていてとても楽しい。そして16分、左SH中島のCKに左SB佐々木がヘディングシュート。これがコスタリカの左WBオビエドのヘディングでクリアしようとしてコースが変わり、ゴールに突き刺さった。日本が先制点を挙げた。

 22分には左SH中島がブレ球のミドルシュート。GKモレイラが何とかキャッチする。23分、右SH堂安の仕掛けからFW小林が抜け出し、クロスに左SH中島がミドルシュートコスタリカも29分、左WBオビエドがロングシュートを狙うが、GK東口がナイスセーブ。35分、CHグスマンのCHにCBドゥアルテがヘディングシュート。この時間帯、やや日本が押し込まれる時間が続く。だが37分、左SH中島の仕掛けからゴール前にクロス性のシュートが飛ぶと、39分、CH遠藤の縦パスをFW小林が落とし、FW南野がミドルシュート。決まったかと思ったが、GKモレイラがファインセーブ。これもゴールならず。しかし前半は日本が積極的に攻めて、選手間の連携もよく、1-0でリードして折り返した。

 後半頭にコスタリカはGKも含め3人の選手を交代する。すると交代選手も積極的に攻撃に絡み、コスタリカが攻めてくる。それでも日本は中盤からしっかりと守備をして、決定的な場面は作らせない。そして12分、左SH中島のクロスをFW南野がヘディングシュート。わずかに右に外れる。14分には左SH中島がDFを背負ってうまくターンして抜け出し、中へのパスにFW小林がスルーパス。右SH堂安が抜け出してGKをかわす浮き球のシュート。しかし代わったGKブリセーニュが顔に当てて、こぼれ球をDFがライン上でクリア。なかなか南野のシュートが決まらない。

 19分には右SH堂安が南野のポストプレーからシュートを放つが、これもポストの左に外れる。そして21分、左SH中島のスルーパスにCH遠藤が走り込み、クロスにFW南野がDFの股下を抜くシュート。日本が追加点を挙げた。南野にとっては代表初ゴール。このゲームのうちに結果が出てよかった。日本は23分、FW小林に代えて浅野を投入する。コスタリカも24分、CHグスマンが途中から浮かび上がっていくような強烈なミドルシュートを放つが、GK東口がキャッチする。28分には左SH中島が右SH堂安とのワンツーからシュート。DFのブロックに止められた。

 30分には左SH中島に代えてOH天野を投入。布陣も4-2-3-1にして、南野が左SHに下がる。さらに33分には左SB佐々木に代えて車屋を投入する。34分、右SH堂安のFKは壁に当たった。37分、右SB室屋が足を痛めて、フロンターレの今季1年目、守田を投入する。38分、CH青山のスルーパスにCF浅野が抜け出してシュート。しかしDFがブロックする。40分には右SH堂安に代えて伊東純也を投入。43分にはCH青山に代えて三竿を投入した。そしてアディショナルタイム48分、右SH伊東がドリブルで持ち上がり。DFをかわしてミドルシュートコスタリカ・ゴールに叩き込む。日本3点目。そしてタイムアップ。3-0。すばらしい内容で日本が完勝した。

 ここまでの内容のゲームになるとは思ってもいなかった。すばらしい。特に中島翔哉と南野のターンの技術と当たられても倒れない強さは海外での経験が生きている。これはW杯に出場した選手もうかうかできない。中島が止められた時はどうするかなどまだ課題はあると思うが、まずは森保ジャパンが順調な船出を飾ったことを喜びたい。来月のパナマ戦、ウルグアイ戦も今から楽しみになってきた。

玉村警部補の巡礼

 久しぶりに海堂尊を読んだ。今回は玉村警部補と加納警視正の四国巡礼珍道中を描くもの。もちろん巡礼中に勃発する事件を解決し、さらに遺体すり替え・人生ロンダリングの仕組みも暴いて解決していく。だが、海堂尊のミステリーは、あくまで明るく軽妙なのがいい。それでいてちゃんと専門家としての医療事象に対するしっかりとした骨格があり、しっかりとした医療ミステリーとなっている。だから楽しい。

 ということでたまには海堂尊で癒されたい。そういえばゲバラ・シリーズはどうなっているんだろう。こちらも早く続編を期待したい。

 

玉村警部補の巡礼

玉村警部補の巡礼

 

 

○「俺は成り行きで遍路を始めた、いわば成り行き遍路だ。空海坊主の助けなぞいらん。俺は俺のやり方で四国霊場八十八ヵ所を制覇してやるさ」/「ほな、あんさんは一体、何のためにお参りをなさっておるのどすか?」/老婦人の素朴な質問は加納の虚を衝いたようだ。しばらく黙っていたが、やがてきっぱり言う。/「俺が俺であり続けるために、かな」(P46)

○鑑真和尚が、弟子・慧雲に継がせた古刹をあっさり反古にして自分の寺を建立するとは、空海坊主はアバンギャルドすぎる。・・・僻地の四国に八十八ヵ所も寺を作り客を呼び込もうなんて、相当強気なイベント・プロデューサーだ。ひとつ間違えれば詐欺師だが、千二百年経った今となってはすべてが正当化されてしまう。一人殺せば人殺し、百人殺せば戦場の英雄という、あれと同じだな(P233)

○「人生はただ一度、歩ける道は一筋のみ。それはすべて一本につながっている。人生とは壮大な一筆書きで、遍路はそのほんの一部にすぎないのだぞ、タマ」(P269)

 

J2リーグ第32節 町田ゼルビア対水戸ホーリーホック

 週末のサッカー観戦J2リーグ2試合目は山雅を抑えて首位を走る町田ゼルビアのゲームを観戦した。相馬監督はどんなサッカーを展開しているのか。「Jリーグタイム」で平畠啓史が平戸選手を推奨しており、そのプレーぶりも見てみたかった。ゼルビアのゲームを観るのは初めて。ゼルビアは中島裕希鈴木孝司の2トップで平戸は右SH。土岐田がボランチに入り、昨季までグランパスにいた酒井がCBの一角を務めていた。対するホーリーホックも4-4-2。GK松井以外は初めて見る選手ばかりだが、前線のFWジェフェルソン・バイアーノが得点源らしい。

 密集してパスをつなぐゼルビアに対して、ホーリーホックは前線にロングボールを蹴り込んでバイアーノに競らせる作戦。お互い手の内がわかった同士、攻撃も自由にならない。ゼルビアはようやく17分、左SB奥山の落としからCH土岐田がミドルシュート。しかしDFに当たりGK松井が抑えた。23分にもホーリーホックの右SB田向の縦パスをカットした左SB奥山がドリブル。縦パスをFW鈴木が落とし、こぼれ球を左SH土居がミドルシュート。これもGK松井がキャッチした。その後もお互いの良さを消し合うようなゲームが続く。ホーリーホックは44分、右SB田向のクロスがゴール間に入るが、FWバイアーノに届かず。アディショナルタイム47分にも左SH木村のCKにCB伊藤槙人がヘディングシュートを放つが、GK高原がキャッチした。前半は見所の少ないゲームで終始した。

 後半に入るとホーリーホックが左SBジエゴを積極的に前に出し、攻めていく。9分、CH小島のクロスのこぼれをFW伊藤涼太郎がミドルシュート。12分にはCH前の縦パスに走り込んだ左SBジエゴがFW伊藤涼太郎とのワンツーでゴール前に入っていく。だがシュートは当たり損ね。GK高原が処理した。

 序盤のホーリーホックの攻勢をしのぐと、15分以降は次第にゼルビアが押し戻していく。18分、右SH平戸のCKにCB深津がヘディングシュート。24分、CH土岐田の縦パスをFW中島が落として、右SH平戸がミドルシュート。しかし枠を捉えられない。ホーリーホックは28分、FW伊藤涼太郎に代えてバティスタ、右SH茂木に代えて船谷を投入する。すると30分、CH小島のドリブルから右SH船谷が落として小島がシュート。しかしDFがブロックする。ゼルビアも35分、CH森村に代えて右SH吉濱を投入。平戸をCHに下げる。36分、CH平戸のCKに左SH土居がヘディングシュート。しかしGK松井がナイスセーブ。

 ここからゼルビアの攻勢が続く。連続してCKを得るが、毎回違った布陣で多彩なバリエーションを見せてくる。また、はね返りのルーズボールもゼルビアが回収。何度も攻め上がるが、ゴールが遠い。アディショナルタイム46分にはCH平戸のCKから右SH吉濱のミドルシュートがDFに当たってゴール前にこぼれる。CB酒井が詰めるが、シュートは枠を外した。その後はカウンターの応酬。最後はホーリーホックの右SB田向のクロスをFWバティスタがヘディングシュートしたが、枠に入らず。そしてタイムアップ。結局ゲームはスコアレスで終わった。

 ゼルビアの圧倒するゲームを観たかったが、ホーリーホックも強力外国人FWとそれを生かすロングボール主体の攻めでゼルビアのパスサッカーを分断。後半はややその片鱗も見えたが、首位を走るだけの内容には見えなかった。優勝してもJ1昇格のための基準を満たしていないゼルビア。町田市はスタジアムの改修に着手したが、完成までには時間がかかる。このゲームを観た限りでは、たとえJ1に昇格しても残留には相当に苦労するような気がする。それでも多彩なセットプレーや極端なまでの密集サッカーなど、興味深い部分もある。今度は気持ちよく快勝するゲームでゼルビアのサッカーを観てみたい。