とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第32節 清水エスパルス対名古屋グランパス

 Jリーグも残り2試合。火曜日のゲームでセレッソに勝利して何とか降格圏外の15位になったグランパス。とは言え、16位サガンとの勝ち点差はわずか1。前節はドローだったもののその前には3連勝、7位と好調のエスパルスを相手に何とか勝利がほしいところ。グランパスの布陣は3-4-3。和泉が左CBに下がって、右WBに青木、左WBには秋山。前線はジョーをワントップに、シャビエルと玉田がシャドーに入った。対するエスパルスは4-4-2。北川とドウグラスの2トップに、右SH石毛、左SH白崎。右に立田、左に松原と若いSBにCBはフレイレとファンソッコが入った。

 序盤からグランパスがパスをつないで攻めてくる。エスパルスは守ってカウンター。5分、CH河井の縦パスをFW北川が落とし、FWドウグラスがシュート。GKランゲラックがナイスセーブで弾き出す。その後もグランパスがパスをつないで攻めていくが、最後はミス。逆にエスパルスの方が最後までパスがつながる印象。選手相互の共通理解ができている。19分、CH河井のミドルシュートはポストの左。グランパスも21分、右FWシャビエルのミドルシュートはポストの右。

 それでも20分過ぎあたりからグランパスが押し込む展開が続くようになる。23分、FWシャビエルが横に流したパスに左CB和泉が走り込み、横パスをCFジョーがシュート。DFのこぼれ球をFW玉田が拾ってシュートを。だが枠を捉えられない。その後もグランパスが攻める。セレッソ戦同様、速い寄せ、厳しい球際。絶対勝ちたいという気力は伝わってくる。39分、CHエドゥアルド・ネットが早い出足でパスをカットすると、縦パスを受けたCFジョーがスルーパス。FW玉田がシュートを放つが、ポストの左。ゴールが遠い。前半はスコアレスのまま折り返した。

 後半もグランパスが攻めて、エスパルスがしっかりした守りからカウンターを狙う展開は変わらない。2分、カウンターで左SH白崎がドリブル。シュートを放つが枠は捉えられない。すると9分、エスパルスは右SH石毛に代えて金子を投入する。すると金子がよく走って、また収めて、グランパスの左サイドを抑え、エスパルスが右サイドで起点を作る。13分にはFW北川の落としからCH竹内がミドルシュート。これはGKランゲラックがファインセーブ。そして14分、エスパルスの右サイドでWB青木と右SH金子が競り合うと、こぼれ球を拾ったCH河井が右に展開。右SB立田がフリーで上がって、クロスにFW北川がきれいなヘディングシュート。これが決まり、エスパルスが先制点を挙げた。さすが日本代表。

 グランパスは18分、右WB青木に代えて前田を投入する。しかし20分、右SB立田のクロスにFWドウグラスがCB中谷の上から高さのあるヘディングシュート。追加点を挙げた。グランパスも24分、FW玉田から右に流して、右WB前田が切り返しからミドルシュート。だが枠を捉えられない。直後の25分には左FW玉田に代えて左SB金井を投入。布陣も4-4-2にして両SBを上げて攻めていく。和泉が右SB。

 30分、右SH前田のクロスをFWジョーが落として、左SH秋山がシュート。続くシャビエルのCKはGK六反が弾き返すが、CHエドゥアルド・ネットがヘディングシュート。これがネットを揺する。グランパスが1点を返した。・・・と思ったら、身体をよじってよけたCB丸山だったが、GK六反のセーブを妨げたということでオフサイドを取られてしまった。ゴールならず。33分にはCHエドゥアルド・ネットからのスルーパスに右SH前田が抜け出す。GKと一対一。だがシュートはGK六反がビッグセーブ。ゴールが入らないグランパス

 すると直後のCKをクリアしたエスパルスがそのままCBファンソッコがドリブル。左に流してSH金子がシュート。これはGKランゲラックがナイスセーブ。エスパルスは35分、FW北川に代えてミッチェル・デューク。さらに40分にはFWドウグラスに代えてチョンテセを投入する。すると43分、右SH金子から左に展開したパスをFWミッチェル・デュークのスルーパスに左SH白崎が抜け出して、GKと一対一。だがシュートはGKランゲラックがファインセーブ。グランパスは44分、左SH秋山に代えて新井を投入してパワープレー。だがこれも結局実らなかった。2-0。エスパルスが好調さを見せつけて勝利を飾った。

 今節のゲームで16位サガンヴィッセルと引き分けて勝ち点1を積み上げたため、グランパスは得失点差で16位、降格圏に転落した。J1との入替戦があるとはこれは厳しい。残り2試合。相手は2位サンフレッチェと14位ベルマーレサガンの相手も11位マリノスと3位アントラーズと厳しいが、サガンの上に行くためには最低でも勝ち点1以上を取らなければいけない。絶対負けられない戦い。まさにそんな2試合が待っている。

天上の葦☆

 この本を私は「決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA) ネタバレ注意:街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」を読んで知った。上下800ページ近い大部だ。内容は、公安により一人のジャーナリストが社会的に抹殺されようとするのを阻止する3人組の話。そこには報道の自由の重要性と、権力側がいかに報道機関をコントロールしているか、その危険性が太平洋戦争期の日本の姿とともに描かれている。戦争中の記述はほぼ事実。多くの新聞記事や官報などが引用され、当時の状況や東京大空襲の様子を書いた第15章は、まさに迫真の内容だ。そして現在、同様な事態が起きつつある。と、小説の中で作者は警告する。

 渋谷交差点の真只中で上空を指し示しながら死んでいった一人の老人。彼が指差していたものがまさか現実に存在したモノだったとは! 最後の謎解きだが、この大部の作品の中には、実に多くの伏線が編み込まれ、それらが縺れながら繋がり、最後は大きな作品として姿を現す。こうした作品はどうやったら書くことができるのだろうか。その力量に感心する。実に多くのストーリー。縦糸と横糸。それらが最後には見事に大きな絵として立ち上がる。

 これをどこまで真実として読めばいいのか。どこまでを非現実として捨て去っていいのか。その境目がわからなくなる。ただ、作者の真摯なメッセージは受け取った。作者のHP

によれば新作小説を執筆中という。それまでの間、旧作品を読むことにしよう。遅ればせながら、今年最大の発見でした。

 

天上の葦 上

天上の葦 上

 

 

○政治家は、他人に本当に何かをやらせたい時、それを口に出したりしない。相手に自分の意向を忖度させる。それが彼らの流儀なのだ。(上P294)

○大きな影響力を持つジャーナリストが時の権力にとって不都合なことを行おうとした折も折、その本人がおぞましい犯罪を行った疑いを掛けられて社会的に抹殺されたとします。その時・・・何を疑いますか」/「当然、権力の側に嵌められたのではないかと疑います」/「ええ。しかし前島たちは、『疑う』ではなく、そう『確信』させたいのです。・・・そうやって権力への恐怖が植えつけられる。多くの者が、同じ目に遭わないように権力の都合をこれまでよりも何倍も忖度するようになる。・・・前島たちの目的は、報道に携わる人間に自己検閲の核となる恐怖を植え付けることです。(下P142)

○ひとつの危険な方向に舵を切る時、その兆しが最も端的に表れるのが報道です。報道が口を噤み始めた時はもう危ないのです。次第に市井の人々の間にも、考えたこと、感じたことを口にできない重苦しい空気が広がり始める。非国民、国賊などという言葉が普通に暮らす人々の間に幅を利かせ始めるのは、そういう時です。/恐怖は、巨大な力に抗するための連帯を断ち切ります。そしてどんな時代の報道の中にも進んで権力にすり寄る者たちがいる。(下P144)

○俺は、励ましているつもりで、この記事と同じことをしていた。屈するな、奮起せよ、戦い抜け。しかし・・・それは、そうできない者は日本人ではない、非国民だと喧伝するのと同じだったんだ。・・・母親たちがどこにも逃げられないように、非国民という言葉で心をがんじがらめに縛ってきたのは、俺自身なんだ。(下P235)

○それでも事変直後は、自衛のためと称して戦線を拡大する軍部を諫め、早期の戦闘終了を促す新聞人は少なくなかった。しかし、だからこそ軍部から新聞への圧力は大きかったんだ。・・・結局、大新聞は屈服し、それまでの軍縮の論調を捨てて軍を支持した。/ところが、この路線転換は結果的に新聞に莫大な利益をもたらしたんだ。・・・戦争は当初、大新聞にとって儲かるイベントだったのだ。・・・気がついた時には、新聞は完全に報道機関としての息の根を止められて、国の宣伝機関になっていたんだ。・・・新聞は報道機関として闘うべき時に闘わず、企業としての存続を選び、自滅したのだ。(下P246)

 

UEFAチャンピオンズリーグ グループH第4節 ユベントス対マンチェスター・ユナイテッド

 公式戦いまだ無敗のユベントスはこのゲーム引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。一方、マンUはCLここまで1勝1分1敗。先に行われたゲームでバレンシアが勝利しており、何としても勝利。最低でも引き分けておきたいところ。ルカクがケガで出場できず、代わりにサンチェスがワントップ。右WGにはリンガードが入り、中盤はマティッチをアンカーに左IHポグバ、右IHエレーラが入った。対するユベントスマンジュキッチをベンチに置いて、ディバラがCFで先発。中盤はピアニッチをアンカーに左IHベンタンクール、右IHケディラ。右SBにはデシーリョが入った。ただし右FWクアドラードは低い位置を取るので、4-4-2のようにも見える。

 序盤はマンUが積極的に前からプレスをかけて攻めていく。だがユベントスの守備は堅い。しっかりと受け止めると、5分にはCBボヌッチの縦パスをCFディバラが受けて、左FWロナウドがシュート。10分には右FWクアドラードのサイドチェンジから左SBアレックス・サンドロがクロス。左IHベンタンクールがミドルシュートを放つ。16分、左FWクリスティアーノ・ロナウドミドルシュートがポスト右に外れる。24分にはCHピアニッチが右FWクアドラードとのワンツーからミドルシュートを放つ。

 マンUもようやく29分、CHマティッチのスルーパスにCFサンチェスが走り込むが、わずかに届かない。31分、PA手前からCFサンチェスがFKを放つが、壁にはね返される。するとユベントスがカウンター。CFディバラのポストから右IHケディラミドルシュート。これはGKデヘアがキャッチした。34分、右FWクアドラードミドルシュートがDFに当たってコースが変わるが、GKデヘアがファインセーブ。35分、右IHケディラのシュートはポストを叩く。39分にはCHピアニッチのCKからCFディバラがボレーシュート。前半はユベントス・ペースでゲームを進んだが、得点はならず。スコアレスで折り返した。

 後半も序盤はマンUが攻めていく。4分、左WGマルシャルが仕掛けてシュートを放つが、枠は捉えられない。逆に5分、CFディバラのミドルシュートがバーを叩く。押し気味でゲームは進めるもゴールが遠いユベントスは16分、ケディラに代えて左IHマテュイディを投入。ベンタンクールは右IHに回す。そして20分、CBボヌッチの縦パスに走り込んだ左FWクリスティアーノ・ロナウドが後ろから来たボールをダイレクトでボレーシュート。ネットで突き刺した。すごいテクニック。ユベントスが先制点を挙げた。

 22分にも左FWロナウドの仕掛けからCHピアニッチミドルシュート。これはGKデヘアがファインセーブ。マンUは25分、右WGリンガードに代えてラッシュフォードを投入する。しかし28分、CHピアニッチの縦パスを右FWクアドラードが戻して、ピアニッチミドルシュート。29分には右FWクアドラードのドリブルから右に流して、FWクリスティアーノ・ロナウドとワンツーからシュート。押されっぱなしで決定機が作れないマンUは34分、右IHエレーラを下げてOHフェライニ。CFサンチェスを下げて右SHマタを投入し、ラッシュフォードをCFに上げる4-2-3-1の布陣にする。するとその直後には左SHマルシャルがミドルシュートユベントスも38分、右SBデシーリョを下げてCBバルザーリを投入。3バックにして守りを固める。

 攻めるマンU。そして41分、攻め込んで下げたボールをCHポグバが収めると、後ろから左IHマテュイディが倒し、PA手前でFKを献上する。蹴るのはマタ。これが壁の上を越えて落ちた。マンUがついに同点に追い付いた。さらに45分、今度は左サイドの深い位置からのFKを右SBヤングが蹴ると、ゴール前でGKシュチェスニーがはね返す。だがこれがCBボヌッチ、左SBアレックス・サンドロに当たり、ゴールに転がり込んだ。マンUが逆転する。ユベントスアディショナルタイム45+2分、クアドラードに代えてマンジュキッチを投入。だが追い付くことはできなかった。2-1、マンUが逆転で勝利。ユベントスに今季公式戦初黒星をつけた。

 これでマンUはグループリーグ2位に進出。次節、ヤングボーイズ戦に勝てばグループリーグ突破の可能性が出てきた。だがその前に週末にはマンチェスター・ダービー。今度はプレミアリーグ無敗のマンCに初黒星をつけたいところ。もっともこのゲームも残り5分まではほとんどユベントスにペースを握られていた。それでもこの結果には大いに勇気づけられるはず。マンチェスター・ダービーも楽しみにしよう。