とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

いいかげんがいい

 柳田邦男の「壊れる日本人」を読んで初めて鎌田實という医師がいることを知った。紅白の審査員もやっているから相当な有名人らしい。その本では「雪とパイナップル」の絵本について紹介されていた。いい話だと思った。
 書店に行ったらこの本が並べられていた。難しい本や仕事の合間に読むと、心を癒してくれる気がして購入した。事実そうやって合間合間に読んでいった。小さないい話がいっぱい詰まっている。深いい話? でも、いいのは話の内容ではなく鎌田先生の人柄だ。
 自分は40代まで家庭を顧みなかったダメな人間だと告白する。その上で今の鎌田實がいる。だからみんな心が軽くなる。じんとする。ほっとする。やさしくなれる。
 書棚に常備して、時々手に取ると、元気になれる心の常備薬。そんな「いい加減」な本である。

いいかげんがいい

いいかげんがいい

●つらいときほど、何も考えずに無心で米をとげばいい。・・・そして、自然の中にじっくり身を置く。・・・大きな自然の中で、ぼくたちは生きている。そのことに気がつけば、生きる力が必ずわいてくる。(P18)
●アメリカという国の上半身は、激しい競争からなる血も涙もない社会に思える。しかし下半身には、あたたかな血がかよっているという。厚みのあるボランティア活動。貧しい人や困難の中にいる人を支える教会のネットワーク。・・・日本はアメリカの上半身だけを見てきたのではないか。(P39)
●信州に来て三分の一世紀になるが、共同体と個の存在は相反するものではないことがわかった。・・・集団を抜け出して得る「孤立した自由」ではなく、集団に中で生きながら自分の自由を守る。そういう自由があることを、ぼくは信州で教えられた。(P58)
●「がんばれ」と「がんばっているね」という言葉の差に気がつくだけで、救われる人が出てくる。「がんばっているね」という言葉は、自分のことを認めてくれる言葉。うれしくなる言葉。魔法の言葉なんだ。(P98)
●人のために働くことが自分を守ることにつながる。最高のセーフティネットになるのだ。きっと。(P179)
ワークライフバランスという言葉がある。仕事と生活を50%ずつ大事にする。なんとなく、ちょっと引けた感じがする。・・・いい生活が120%の仕事の成果を生む。いい仕事が120%の心豊かな生活を生み出す。これがワークライフシナジー。・・・仕事と生活が、相乗効果を生み出すのだ。これが、ぼくが言う「いい加減」な生活。(P252)