とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか

 ベストセラーになった『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』の双子本。共に『週刊現代』他に連載していたコラムを集めて掲載したもので、『アメリカ人の・・・』は政治に関するコラムが中心で、こちらはそれ以外の文化や生活、芸能、犯罪などのゴシップ的なコラムばかりが集められた。その数、全部で102編。なかにはセックスネタも多く、電車の中では人目を憚られるようなページも少なくない。だって「レイア姫はアル中でヤク中で結婚相手はホモ」とか「レズでイったら18歳未満お断り」とか「ペニスに真珠を入れた小学生」とか・・・
 でも内容は、どれもそれなりに、文化論としてなるほどと思ってしまう。真面目なドキュメンタリー映画の評論も多く、そこでは笑えない人生がいくつも紹介されている。
 それにしても、アーミッシュの超禁欲的生活があって、フリーセックスのコミュニティがあって、ユダヤ系とラオス系とWSPが混じり合って、性転換とSMと同性婚が溢れている。やっぱりアメリカって変? いいえ、日本だってアメリカ人の目から見たら十分に「変」だということもちゃんと書かれています。人間ってなんでこんなに変で真面目でおかしな生き物なんでしょう。この本にはアメリカの愛と暴力とセックスと涙があふれている。

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢

●人は誰でも成人に生る際に、今までずっと子どもとして守られていた家族と共同体を出て、たった一人で過酷な世界と対峙しなければならない。これを通過儀礼と呼ぶ。・・・しかし、現在、その制度はグズグズになってしまった。子どもたちは試練を受けないまま、子どもの自分と決別できないままズルズルと年を取る。世界と一対一で対峙して大人の自分を確立できないから不安定で欠落感がぬぐえない。だから、『路上』や『荒野へ』のような自分探しの旅にあこがれるのだ。(P27)
●アメリカでは、晴れた日にも洗濯物が干せない。・・・もちろん、今でも洗濯物を外に干している場所はある。南部の黒人たちが住む掘っ立て小屋、都会のプロジェクト(貧困層用公的住宅)、それにホワイト・トラッシュが住むトレーラーハウスが集まったトレーラーパーク。だから、物干禁止令ができた。つまり「乾燥機を買えないほど貧乏な人が住んでいると思われると困る」ということだ。(P54)
NHKは『おかあさんといっしょ』という番組名を耳にするたびに母のない子どもがどれだけ傷ついているか考えたことがあるだろうか? 「普通」という無意識の均一主義がいまだ日本には横溢しているのだ。(P256)