とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

老練で上手くて遅いミランは、若くて速くて組織だったレアルの敵ではない。

 前の試合で0-2と完璧に抑え込まれたミラン。ホームでのレアル戦は期すものがあったのだろう。チアゴ・シルバが復帰し、ボアテングが入ったミランのサッカーは、前とは見違えるような速い寄せを見せて奮闘した。
 しかしレアルはあっさりミランのプレスをかいくぐると、速くて組織的な攻撃から、レアル・ペースに持ち込んでいく。3分、ディマリアからイグアインのシュートが飛ぶと、9分にはシャビ・アロンソのFKにペペが飛び込んで、ヘッドを叩きつける。ミランも10分、パトのクロスにボアテングがシュートと若い力を見せるが、すぐにいつものミランに戻って、レアルの攻撃を浴びる。
 12分、セルヒオ・ラモスがDFと競ったところをシャビ・アロンソミドルシュート。その直後のゴールキックケディラがカットして、イグアインポストプレーにディマリアがシュート。20分には、マルセロのサイドチェンジからディマリア、セルヒオ・ラモスが逆サイドにクロスを上げてイグアインがヘディングシュート。ピルロゴールラインでクリアしたところをディマリアがシュート。これもピルロがはね返す。
 中盤でボールが落ち着いたところへはガットゥーゾを中心に厳しくチェックに行くが、早いパス回しでかわされると、DFラインでフリーの選手を作ってしまう。それでも23分、ボアテングのスルーパスイブラヒモビッチが抜け出し、GKと一対一。ところがシュートはGKの足に当ててゴールならず。イブラヒモビッチらしからぬシュート。37分には、いかにもロナウジーニョらしい山なりのスルーパスイブラヒモビッチが反応するが、シュートは枠を外す。
 ミランもレアルの攻撃をかろうじてかわしていたが、前半終了間際の45分。クリスチャーノ・ロナウドポストプレーからケディラがつないで、ディマリアがスルーパス。これにイグアインが反応してシュート。きれいに先制点を挙げた。ミランDF陣はC.ロナウドに引きつけられ、またディマリアに殺到してイグアインがフリー。守備の淡泊さがミランらしい。
 後半もレアルがゲームをコントロールして、レアル・ペースで進む。ミランは後半14分にインザーギを投入。早すぎる交代だったが、これが効果を生む。ガットゥーゾロングフィードイブラヒモビッチがペペと競り合って抜け出すと、クロスがゴール側に逸れてGKカシージャスの逆を突き、何とか弾き返したところにインザーギが頭から飛び込んだ。いかにもインザーギらしい泥臭いゴール。
 これで追い付くと33分。今度はガットゥーゾのスルーパスインザーギが抜け出し、シュート。ゴール。見るからにオフサイド、スローで見れば明らかにオフサイドだったが、そこはミラン・ホームのサンシーロ・スタジアムゆえか、インザーギゆえか、あっさりゴールが認められミランが勝ち越してしまう。
 そこからミランが露骨な時間稼ぎ。レアルは35分に、ペペに代えてペドロ・レオンを入れて、得点を取りに来る。37分、レオンが抜けだし、クロスにケディラが合わせシュートを放つが、GKがセーブ。アッビアーニが舌を出す。ピルロが倒れて動かない。それ以外にも、少しのファールで大袈裟に倒れては起きてこない。
 しかし老獪なミランの行動に対して、レアルの選手たちは意外にも冷静。そしてロスタイムの4分、シャビ・アロンソからのパスにベンゼマがスルーパス、レオンが走り込み、GKの股を抜く同点ゴールを決めた。
 終わってみれば、レアルの掌の上で躍らされていたような90分間。明らかに実力差があることは前の試合でもよくわかった。ミランはチャンピオンズ・リーグにはそろそろ見切りを付けて、リーグに専念した方がいいのではないか。前3人だけで攻め続けるのは、もうそろそろ限界に近づいている。中盤底からの流動性と速さがほしい。