とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

原発疎開が始まった。日本のかたちが変わる。

 東日本大震災福島原発の事故が重なってひどい状況を呈してきた。昨日は東電計画停電区域内に住む妻の家族から、電池が購入できないので送ってほしいと電話があった。今日、さっそく妻が近くの家電量販店やコンビニを回ったが、愛知県でももう在庫がなく売り切れ。その他の商品も品薄状態。
 これまでは津波被災地からの避難者だけだったが、福島原発事故に伴う避難・屋内待機地域の拡大に伴い、福島県からの大量避難が始まった。山形県や栃木県など周辺地域では、福島県からの避難者を受け入れる態勢を整えつつある。現地に入った自衛官が東京に住む知人に対して「家族だけでも関西方面へ避難させた方がいい」と言ったという話もあり、まるで戦時中の疎開の状況を呈してきた。全国の自治体では、公営住宅の空家を用意しているようだが、これでは足りない数の疎開者が生まれる可能性がある。
 逆に、避難指示のあった原発周辺の地域は、建物だけが残され、人がいない町になっている。昨年読んだ三崎亜紀の「失われた町」が現実のものになった。小説では人も一緒に消えたが、現実は人だけが外にあふれ出ている。このまま当分は見捨てられた町になる。あふれでた人は、すぐには町に帰ることができない。他の町で生活を始めざるを得ない。モノだけが残る町。
 一方、津波被災地は人も建物もなくなった。産業も雇用もない。だが、残された人のネットワークは残っている。だから再建の可能性は残っている。しかし被災地にまた居住することは考えられない。漁業施設はどうしても海沿いにある必要があるが、居住の場はそうでもない。高台のニュータウンに住んで、勤務地に通うことが考えられる。水産業水産加工業をめぐる状況が大きく変わる可能性がある。
 週が開けて、計画停電が始まり、関東地方の生活が大きく影響を受けている。「計画」という言葉に対して、Chikirinが「もしかしたら停電」と茶化したのは面白かったが、「『市場』停電にすべきだ」と電力料金値上げの提案が市場万能主義者から挙がったのも興味深い。一理あるが、生活困窮者への配慮は全くない。
 ユニクロの柳井社長が個人で10億円寄付すると表明した。小さな商店から世界を代表する企業にした柳井氏らしい行動である。大いに評価する。そう言えば、膨大な相続税を受け継ぎ、加えて遅延金まで受け取ることとなった武富士のバカ息子はどうするのだろうか。少なくとも遅延金の670億円は受け取り辞退しても当然だし、2000億円を寄付してもいいくらいだ。
 天罰発言の石原知事は、都から100億円支援するそうだが、これは都民の税金から支出するもの。個人寄付はどれだけするのか。プロスポーツ選手や芸能人からの寄付や募金活動が報道されるが、トヨタやキャノンなどの経営責任者たちはどうか。資産家や高額所得者の行動にも注目したい。