とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

吉田孝行、松田に捧げる2得点

 4日(木)に心筋梗塞で急死した松田ショックも冷めやらぬ中でキックオフされた今節のJリーグ。全てのゲームでキックオフ前に黙とうが捧げられ、選手は腕章をつけてプレーをしたが、中でもかつて松田と一緒にプレーをした選手たちの気持ちは高ぶっていたと思う。しかし勝負の行方は残酷で、最も勝ちたかっただろうF.マリノスレイソルの前に首位決戦で完敗。この時間、松田の霊は、同じ生年月日のヴィッセル吉田孝行の元にいたのかもしれない。
 10位対13位という中位対決となったレッズ対ヴィッセル。両チームとも一時の不調を脱し、ようやく上向き始めた。特にレッズは8戦負けなし。ゲームも序盤からレッズがボールを回して攻めていく。しかしヴィッセルのプレスも速い。柏木や山田直輝が少しためらうとすぐに強烈なプレッシャーが襲いかかってくる。仕方なく遠目からのシュート。8分柏木のミドルシュートはGK徳重が横っ飛びセーブした。
 するとヴィッセルは厳しいプレスからカウンターで攻め込む。14分、ポポからの縦パスに抜け出した松岡がライン際から折り返すと、DFともつれたパク・カンジョがボールを出して、そこに吉田が走り込む。きれいなボレーで先制点を挙げた。松田の背番号3を指で作り高く掲げた。
 19分もカウンターから。ボランチ田中のポポへの縦パスをレッズ左SB平川がGKにバックパス。返しのパスに対して平川のトラップが大きくなったところをポポが絡んで中央へ流すと、吉田が見事なループシュートヴィッセルがあっという間に2点のリードを奪う。
 レッズは基本攻めているが、なかなかゴール前に入っていけない。36分、原口が滑りつつも前にパス。これを山田直輝が流してマルシオ・リシャルデスがシュート。惜しくもファーサイドのポストに当たってはね返る。
 レッズは後半初めから山田直輝と鈴木を下げて、田中達也マゾーラを投入。マルシオボランチに下がり、ほとんど4トップの感じで攻め立てる。すると2分、後方からのフィードをCFデスポトビッチがつなぎ、DFのクリアを田中が拾ってマゾーラにパス。返しを田中が切り返してシュート。後半早いうちに1点を挙げてレッズが反撃を開始する。
 しかしヴィッセルも11分、大久保を入れると、大久保がピッチ中央でボールを収めて、ヴィッセルペースになってくる。12分、大久保のスルーパスボランチの松岡が走り込みシュート。ここはGK加藤がセーブ。14分にも大久保のスルーパスにポポがシュート。
 レッズも19分、田中達也のドリブルからマゾーラがシュート。GK徳重ナイスセーブ。20分には原口のクロスに柏木が合わせるがシュートは枠を外した。ヴィッセルも反撃、22分、大久保のキープからポポのスルーパスボッティが抜け出しGKをかわしてシュート。惜しくもポストにはね返される。
 すると32分、田中達也のドリブルから柏木がミドルシュート。GK徳重がはね返すと、これにマゾーラが詰めてシュート。ゴール。ついにレッズが同点に追い付いた。
 その後は一進一退の攻撃。39分、大久保がドリブルからシュートをすると、柏木がPA内でハンド疑惑のクリア。ボッティのシュートは平川にブロックされた。40分、原口がドリブルから左足でニアサイドにシュート。GK徳重がセーブ。43分、原口のクロスに田中達也がヘディングシュート。茂木がクリア。44分には大久保の戻しからパク・カンジョがシュート。
 このまま終了かと思ったがロスタイムは4分。この間にも大久保、マゾーラがシュートを放ち、お互い攻め合う。そして46分、大久保からパク・カンジョのスルーパス田中英雄が走り込むと、マルシオ・リシャルデスがカバー。ボールをクリアしようと伸ばした右足が走り込もうとした田中英雄を左モモを抑える形になり、たまらず田中が倒れる。PKの判定。マルシオの足はボールに先に触りクリアしていただけに厳しい判定。それまでのヴィッセルの攻撃や柏木のハンドを見逃した総合的な判断だろうか。
 レッズの大旗が振られる真っ赤なサポーター席に向かった大久保が、その重圧を押し返す冷静なコロコロPKでゴールを決めて、ヴィッセルが勝ち越した。ゴール後、サポーター席に向かって吠えた大久保の闘志がヴィッセルに勝利を呼び込んだ。
 後半、レッズが攻撃的布陣になってからの攻防は面白かった。だが、ガチンコ勝負になる前の前半のうちに松田に捧げる2ゴールを挙げた吉田の気持ちが勝利を呼び寄せた。両チームともいいゲームを見せた。これから上位に上がっていけるだろうか。