とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

香川が復帰したが、課題は全く変わらない。香川のサッカーに他の選手がついてこれない。

 遅まきながら香川が2ヶ月振りに復帰した第20節ウェストブロミッチ戦を観た。新聞等では香川を絶賛する記事ばかりだったが、実際に見た香川は確かに変わった部分も見られたが、後半圧され気味になるとケガをする前のリーグ前半戦と同じ課題を露呈。次節のウィガン戦では後半20分過ぎからの出場だったが、それもやむを得ないかなという内容だった。
 前半は圧倒的にマンUペースで進む。香川はいつものとおりボールサイドに寄ってはパスを引き出し、パス回しの起点となっていった。そして9分、左SHアシュリー・ヤングのパスを受けてワンタッチで前に出すと、A.ヤングが走り込んでクロス。これがCBマッコーリーに当たってゴールに吸い込まれる。オウンゴールマンUが先制した。
 その後も香川がパスのハブとなって攻撃にリズムをつけていく。前ほどには動き回ってパスを要求する場面は少なくなり、そこまで動かなくてもスムーズにパスが出されるようになった。特にクレバリーとのポジションチェンジはスムーズに行われている。19分には右SHバレンシアからの縦パスを引き出し、クロスを入れる。
 前には全く噛み合っていなかったウェルベックともパス交換。ウェルベックをCFで使う分にはバッティングしないのか? 25分にはクレバリーからの縦パスを香川が受けて戻し、また受けてはクロスを入れる。33分、香川がワンタッチで右サイド深くパスを入れると、バレンシアが走り込んでクロスにA.ヤングがボレーシュート。GKフォスターがファインセーブで弾き出す。
 ウェストブロミッチは前半全くいいところなし。ようやくアディショナルタイムの1分、CHブラントからのFKが続いてチャンスを作るが、ゴールはならなかった。
 ところが後半に入ると一転する。5分、ブラントがミドルシュート。これはGKデヘアの正面。7分、ブラントのFKにマッコーリーがヘディングシュート。うまく当たらなかったが、ウェストブロミッチの長い放り込みにマンUの守備陣が下げさせられ、そこからの反撃も長い放り込みになってくる。こうなると香川の頭の上をボールが行き来するだけで、香川は全くボールを触れることもできない。
 20分にはウェルベック落としを受けてドリブルで前進したバレンシアに香川がゴール前に走り込むが、パスが出てこない。DFとの一対一勝負の末、シュートがバーを叩く。ボールの蹴り合いになって、両SHもドリブル中心のプレーになり、パスを忘れる。ウェルベックも下がって守備に参加し、そこからドリブルでのカウンター。香川だけがポツンと前線に残る。が役に立たない。
 すると21分、ファーガソン監督は香川に代えてファンペルシーを投入。ウェストブロミッチも22分、チーム得点王のルカクを投入。25分、CKからマッコーリーのヘディングシュートがバーを叩く。 30分にはブラントに代えてモリソンを投入。すると31分、モリソンのドリブルからルカクが落とし、オデムウィンギがミドルシュート。DFがブロック。いよいよウェストブロミッチがペースを握る。
 すると31分、マンUクレバリーに代えてスコールズを投入。これでようやくマンUの守備が安定する。37分、エブラのスルーパスファンペルシーがうまくDFを抑えて身体の前を空け、シュート。GKフォスターがファインセーブを見せるが、ファンペルシーらしいプレー。さらに45分、バレンシアのドリブルからウェルベックが横パスを受けてミドルシュート。またもGKフォスターがファインセーブ。さらに攻め立てるマンU。そして45分、ファンペルシーが右45度から少しボールを動かしてシュートコースを作りミドルシュート。これがきれいに決まり、ようやく追加点を加える。
 マンUが2-0で勝利。だが香川は先取点につながるヤングへのダイレクトパスはよかったものの、後半に入ると途端に存在感をなくした。もちろん他の選手たちのせいにするのは簡単だが、彼らにとって香川が指向するパスサッカーがまだ根付いていないのも確か。香川中心のパスサッカーでゴールが量産できていれば意識も変わるんだろうが、圧され始めると途端にいつものウィングサッカーに戻ってしまう。
 次節ウィガン戦で守備を指示して香川を途中出場させたのも、守備的な情勢でも信頼を得るようにという配慮というか指示かもしれない。守備から信頼を得て攻撃の中心へ。ファーガソンの期待に香川が応えられるだろうか。まずは香川自身が動かなければ何も変わらない。まずはもっともっと結果を見せることだ。まだ先は長い。