マスコミでは2戦して早くも決勝トーナメント進出が決定的のような報道が多かったが、私は全く信じていなかった。前に書いたように、決勝トーナメント進出の可能性は6割。ポーランドには敗戦する可能性も高く、セネガル対コロンビアの結果次第だと考えていた。そしてそのとおりの結果。それでも、終盤のボール回しをどれだけ叩かれようが、決勝トーナメントへ進出できてよかった。試合後、本田が「次のゲームを考えた選手起用をした西野監督を持ち上げる」発言をしていたが、実はこれ、裏返しの批判ではなかったか。前日から猛暑に備えて日本はスタメンを6名交代させるといった報道が出ていたが、実際スタメンを見てびっくり。本当に槇野かよ、宇佐美かよ。岡崎と武藤の2トップは理解しないでもないが、これって勝ちを狙っているというよりも引分け狙い。宇佐美の守備力をサポートするためにCH山口を左サイドの高い位置に置いて、右SHには守備能力も高い酒井高徳を起用。そして何よりGK川島の先発にがっかりした。前日の記者会見に同席したということで、西野流の人心掌握術と持ち上げられているが、スーパーセーブと言われるプレーも、代表のGKなら当然のプレーではないか。一方、ポーランドも大幅に先発をいじってきた。ブワシチコフスキもピシチェクもおらず、クルザワとグロシツキが左右のSHに張る4-2-3-1の布陣。ジエリンスキをトップ下にレバンドフスキのワントップは変わらない。
序盤、守りに気を遣う日本に対して、ポーランドもあまり攻めてこない。お互い35度という暑さを警戒した動き。ようやく12分、左SB長友のクロスにFW岡崎がダイビングヘッドを見せて日本が初シュートを放つ。13分にはCH柴崎のフィードにFW武藤が抜け出してミドルシュート。GKファビアンスキがファインセーブで弾き出す。ポーランドも15分、CFレバンドフスキがミドルシュートを放つが、CH山口が身体を張ってブロックした。
ポーランドは中盤でほとんどプレスをかけてこないので、日本は自由にパスを回せる。16分にはFW武藤のクロスから左SH宇佐美がつなぎ、右SH酒井高徳がミドルシュート。GKファビアンスキがキャッチした。日本もなかなか攻撃が形にならない。21分、左SHクルザワのCKに復帰したCBグリクがヘディングシュート。GK川島がセーブする。23分、左SHクルザワのミドルシュートはCB吉田が身体を張った。
そして32分、左SHクルザワから右に展開。右SBベレシンスキのクロスに右SHグロシツキがヘディングシュート。GK川島がファインセーブ。しかしこれくらいは止めなくては。日本も35分、左SH宇佐美が右サイドからドリブルで切れ込みシュート。GKファビアンスキがナイスセーブする。37分、右SHグロシツキのCKのこぼれを左SHクルザワがボレーシュート。大きく枠を外して、助かった。前半はスコアレス。どうかこのまま行ってほしい。でもセネガル対コロンビアのゲームも動かない。
後半立ち上がり2分、FW岡崎が足を抑えて蹲る。大迫と交代した。これでようやく日本も攻撃の形ができるかと期待した。8分、FW大迫のポストプレーから左に展開。左SH宇佐美がミドルシュートを放つが、DFにブロックされる。すると逆にポーランドがカウンター。CFレバンドフスキが落とし、OHジエリンスキが右に展開。右SHグロシツキのクロスにジエリンスキが走り込む。飛び出したGK川島が間一髪セーブした。
そして14分、ポーランドが左サイドでFKを得ると、左SHクルザワのクロスにCBベドナレクがヘディングシュート。これが決まり、ポーランドが先制点を挙げた。何でベドナレクがフリーなんだ？ その後は日本も反撃をする。17分、FW大迫のクロスから左SH宇佐美がミドルシュート。20分には左SH宇佐美に代えて乾を投入。27分、柴崎のCKにCB吉田がヘディングシュートを放つが、バーを越えた。
しかし後半はポーランドの方が攻撃に鋭さがある。カウンター気味に何度も日本ゴールに迫る。29分には右SHグロシツキのクロスにCFレバンドフスキがシュート。33分にはCKからCBグリクがヘディングシュート。さらに35分。OHジエリンスキに代えてテネドルチク、左SHクルザワに代えてペシュコを投入すると、36分、右SHグロシツキのクロスをCB槇野がヘディング。あわやオウンゴールになるところをGK川島が防いだ。続くCKに左SBイェンドジェイチィがヘディングシュート。このまま行くと、ポーランドの2点目も遠くない。日本はトップ下がいないため、ポーランドの中盤の底を抑えられず、そこから前線にロングボールが入ってくる。
すると37分、FW武藤に代えて長谷部を投入。これを合図に日本はDFラインでボールを回し、全く攻めることしなくなる。セネガル対コロンビアも後半29分にコロンビアが先制すると、得失点差も同じセネガルとはイエローカードの差で日本が2位通過できる。もちろんセネガルが同点に追い付けば、話は全く違ってくるのだが、万一、日本が同点に追い付けば、引き分けでは決勝トーナメントに上がれないコロンビアも勝利を逃すわけにはいかない。そんな微妙な勝敗計算が各チームにあったのだろう。わからないのはポーランド。どうせグループリーグ敗退が決まっているのだから、もっと攻め込んでもよさそうなものを、なぜか日本に付き合って、後方でゆっくりパスを回してくれる。そんな時間が10分近く流れて、ようやくタイムアップ。ゲームは1-0でポーランドの勝利。だがセネガルが負けて、日本はフェアプレーポイントの差で決勝トーナメント通過が決まった。
ちなみに日本の時間稼ぎのプレーに対して賛否両論盛り上がっているが、ようは日本の勝利を求めるか、サッカー観戦を楽しみたいのかの差に過ぎない。もちろん私は日本の勝利が最前提だ。
決勝トーナメントベスト16の相手は予想どおりベルギー。優勝候補相手に少しでも万全のメンバーで臨みたかったのか。でもどうメンバーを揃えても敗戦必至。ならば決勝トーナメント通過がかかるポーランド戦にベストメンバーを揃えるべきではなかったか。守る意識をもって中盤にアンカーを置く4-3-3を試してもよかった。それにしてもやはり井手口を外したのは痛い。守備を重視するなら左SHには原口を置いて、武藤を右SHで使えばいい。故障上がりの岡崎を酷使することにどんな意味があったのだろう。そして槇野の起用もよくわからない。西野采配が持ち上げられるが、結局、ポーランドに助けられた。運が強いということだけは言えるかもしれない。でも運だけではベスト8は無理だろう。次はベルギーに0-5の敗戦と予想しておこう（本音は2-3の激闘を期待している）。
