とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アジア杯決勝 日本対カタール

 当日の昼に、普段はサッカーを観ることもない会社の同僚が「今夜はカタール戦を観るぞ」と言うので、「それほどのゲームじゃない。たぶん楽勝だし」と言った。すいません。カタールは強かった。考えてみれば、3年後のW杯はカタールで開催される。それに向けて、カタールの強化はしっかりと進められていた。日本に油断がなかったかと言えば、そういうこともあったかもしれないが、カタールは優勝にふさわしい強さを持っていた。カタールの初優勝を大いに祝福したい。

 日本は遠藤の負傷で代わりに塩谷が先発。あとは準決勝と同じ先発だ。カタールの布陣は3-5-2。アルマエズ・アリの下にアフィフが並ぶ2トップだが、アフィフは自由にピッチを動き回る。アンカーはマダブー。ハイドースとハテムがIHで攻撃参加し、コヘイヤとハサンの量WBは下がって5バックになることも多い。CBはフーヒを中央にラウィとサルマン。GKシェーブがゴールを守る。

 開始4分、CF大迫がミドルシュート。序盤、日本が積極的に攻めていく。だがカタールも守るだけでなく、しっかりと寄せて、互角に攻める。そして12分、右IHハイドースのサイドチェンジをFWオフィフがクロス。PA手前でFWアルマエズ・アリがゴールを背に向けてトラップ。リフティングからオーバーヘッドシュートを放つと、右ポストに当たってゴールに飛び込んだ。カタールが先制点を挙げた。13分にはFWアフィフのドリブルからスルーパスにFWアルマエズ・アリが走り込みシュート。ここはCB吉田がブロック。だが、カタールが勢いを持って攻めてくる。特にFWアフィフが速く、日本の守備も手こずっている。また寄せも早く、再三、日本のパスをカットして、日本の攻撃がうまくつながらない。遠藤のケガでボランチに入った塩谷と柴崎の連携がイマイチな感じ。柴崎にミスが多い。

 すると27分、カタールが攻め込むと、左IHハテムがミドルシュート。これが決まり、カタールが追加点。2-0と突き放す。吉田の寄せが遅かった。日本は31分、右SH堂安のFKは壁にはね返される。逆に35分、右WBコヘイヤのクロスに左WBハサンが縦パス。FWアフィフが右に流して、コヘイヤがシュート。DFブロックのこぼれ球が左サイドに流れて、右IHハイドースがシュート。これはポストに当たった。助かった。

 42分、右SB酒井のパスからOH南野のスルーパスにCF大迫が抜け出すが、届かない。43分、左SH原口がクロスを入れるが、これもわずかにCF大迫に合わない。少しずつズレている。前半はこのままタイムアップ。カタールの2点リードで折り返した。カタールは強い。特にCHマダブーがよく効いている。日本のボランチの連携の問題もあるが、CHマダブーがうまく連携を断ち切っている。そしてアフィフの速さ。ハーフタイムに森保監督はどういう指示を出したのだろうか。後半に入ると、俄然、日本が前への意識が高くなり、押し込み始める。

 4分、CH柴崎のCKにCB吉田がヘディングシュートを放つも、枠を外す。その後もCKが続くが、どれもカタールのDFがはね返す。そして11分、CHマダブーが中盤でボールを奪うと、FWアルマエズ・アリのスルーパスにFWアフィフが抜け出してドリブル。DFをかわしてクロスを入れるが、左IHハテムのシュートは枠を外した。

 カタールは16分、CBフームが負傷し、ハジリに交代。日本も17分、原口に代えてFW武藤を投入。南野を左SHに回した。すると19分、右SH堂安のクロスにFW武藤がヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。21分にはCH柴崎のCKにFW武藤がニアに走り込み、ヘディングシュート。だがこれも枠を外す。機動力のある武藤が大きな距離を走ることでようやく日本の攻撃にダイナミックさが戻ってきた。そして24分、CH塩谷の縦パスを左SH南野がターンしながらトラップ。FW大迫が落としたボールに南野が抜け出してシュート。ようやく日本が1点を返した。

 28分には左SB長友のクロスにFW武藤がヘディングシュート。日本が押し込んでいく。そのまま同点ゴールを期待したが、34分、カタールがカウンター。FWアフィフがドリブルで走ると、右IHハテムがミドルシュート。DFが触ってCKに逃げるが、続くハテムのCKに左WBハサンがヘディングシュート。これが競ったCB吉田の手に当たった。主審はいったん流したが、カタールのアピールにVARで確認。PKが認められた。38分、このPKをFWアフィフが確実に決めて、カタールが3点目。突き放した。

 日本は39分、塩谷に代えて右SH伊東を投入。44分、CH柴崎のFKを右SB酒井がフリック。CB吉田がヘディングシュートを放つが、叩ききれなかった。枠を外す。その後、日本は左SH乾を入れて反撃するが、カタールもしっかりと守る。そしてタイムアップ。3-1。カタールが勝利して、アジア杯初優勝を飾った。チャンピオンにふさわしいサッカーの内容だった。

 日本は全体的に疲れていたように思う。中島の不在で南野や堂安の負担が大きく、彼らが思うように活躍できなかった。ベトナム戦をターンオーバーするなど、もう少し選手を休ませることができなかったかとも思うが、どうだろう。また、青山や遠藤の負傷で柴崎の負担が大きくなり過ぎたこともある。その点ではまだまだ層が薄い。FWも最後に武藤が可能性を見せたが、まったく人数も足りず、バリエーションも少ない。鈴木優磨などもっと多くの選手を試す必要がある。DFもいつまでも長友と吉田に頼っているわけにはいかない。ということで、多くの課題が明らかになった大会だった。なまじっか優勝しなくてよかったかもしれない。この結果を糧に、さらに大きく手を広げて強化を進めてほしい。現時点ではカタールの方が上だ。そのことを受け入れた上で、今後のさらなる成長に期待したい。