とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J2リーグ第13節 大分トリニータ対名古屋グランパス

 ザスパクサツには勝利したものの、その後、サンガ、モンテディオとドローが続き、3位ながら勝ち点を伸ばせずにいるグランパス。この間の内容もけっしていいとは言えない。対するトリニータは前節FC岐阜に勝利して8位。しかしグランパスとの勝ち点差は2。首位とも4。J2はここまでかなりの大混戦だ。トリニータのメンバーを見ると、左WB山岸、CHに川西とかつてJ1でプレーしてきた選手がチームを支える。そしてCBには竹内が古巣グランパスとの対戦に闘志を燃やす。一方、グランパスは久し振りに佐藤寿人が先発に復帰した。押谷をトップに玉田と3トップを組む。また、和泉が左WBに張って、磯村がボランチで出場した。

 序盤は快調にパスが回るグランパス。勢いよくトリニータ・ゴールに攻め込んでいく。12分にはFW玉田の落としからFW佐藤がスルーパス。しかしわずかに玉田に合わず、クリアされる。さらに19分、左CB福森から右WB宮原が高い位置でボールを奪うと、FW玉田のドリブルから左に流してCF押谷がクロス。玉田がダイレクトでボレーシュートを放つが、GK上福元が正面でキャッチした。調子よく攻めるグランパス。しかしその直後の21分、トリニータのカウンターが炸裂。CH川西の縦パスをFW後藤がスルーしてCF伊佐が落とすと、後藤がシュート。GK楢崎が一旦ははね返したが、FW小手川が詰めてシュート。トリニータが初めてのシュートで先制点を挙げる。

 その後もグランパスが攻めていくが、なかなかシュートまでいけない。トリニータは23分、CH川西がミドルシュート。32分にはCH磯村からCF伊佐がボールを奪い、CH川西がドリブル、右に流して駆け上がったCF伊佐がシュートを放つ。グランパスは短いパスをつなぐが、止められてカウンターという場面が目立つ。33分、FW玉田のスルーパスをFW佐藤が落とすが、玉田に合わない。その後は1点をリードしたトリニータのペース。ゆっくりとパスを回してグランパスの焦りを引き出す。前半はこのままタイムアップ。トリニータの1点リードで折り返した。

 後半4分、CH田口がミドルシュート。ようやくこのゲーム2本目のシュート。7分にはCH田口のドリブルからFW佐藤が落とし、CF押谷がシュート。しかしDFがブロックする。すると9分、右サイドからFW後藤のフィードに走り込んだFW小手川がクロス。CF伊佐が走り込んだところを、CB酒井が足を出して倒してしまう。シミュレーションを主張するが、聞き入れられず、PKの判定。これをFW後藤が確実に決めて、トリニータが追加点を奪う。

 ここでグランパスはCB櫛引に代えてFWシモビッチを投入。磯村を右CBに下げて、和泉がボランチ。シモビッチと佐藤の2トップにする。しかし12分、CB福森からのフィードにCF伊佐とDFが競り合って、こぼれ球を伊佐が収めると、縦パスにFW後藤が抜け出してシュート。これが決まり、トリニータが何と3-0とグランパスを突き放した。

 グランパスは14分、FWシモビッチが反転からシュート。DFのブロックを拾ったCH田口がミドルシュート。攻撃に焦りが感じられる。直後、左WB押谷を下げて杉本を投入する。17分には左CB内田のクロスにOH玉田がヘディングシュート。しかしポストの右。22分にはFW佐藤を下げてフェリペ・ガルシアを投入。早くも3枚のカードを使い切った。悠々とゲームを運ぶトリニータは28分、山岸に代えて右WB岩田、CF伊佐に代えてCH前田を投入。岸田を左WBに回し、川西をFWに上げる。さらに33分には左WB岸田に代えて黒木を投入。守備を固める。

 グランパスは34分、左WB杉本が積極的に仕掛けてのミドルシュート。しかしGK上福元がセーブ。36分、FWフェリペ・ガルシアのクロスにFWシモビッチがダブルタッチのようなうまい足技からシュートを決めて、1点を返した。しかし直後の40分、トリニータはCH前田がCH田口からボールを奪うと、FW川西のドリブルから右に流してCF後藤がシュート。トリニータ、4点目。後藤はハットトリックを決めて、4-1とグランパスを突き放す。45分には左CB福森のフィードにFW川西がフリー。ドリブルで運んで切り返しからシュートを放つが、GK楢崎がセーブ。さすがに5点目は赦さない。しかしそのままタイムアップ。4-1。トリニータが圧勝した。

 どうしたグランパス。これまでは成熟を待つと言ってきたが、さすがにこの結果は酷い。結局、ショートパスをつなぐ攻撃は依然機能せず。ゴールはシモビッチの個人技による1点のみ。かなり深刻な状況になってきた。次はホームで町田ゼルビア。そろそろ勝たないとホームのサポーターも我慢できないだろう。とにかくゴールが欲しい。守備はその後でついてくると思いたい。

退職記念旅行は、東北でよかった(その2)

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その1)」から続く。

 翌朝のタケノコの刺身もおいしかった。4月23日(日)は予定通り、でもなく、集合場所を間違えてバタバタしたが、無事友人に会えて、一緒に食事。金沢と言えば魚がおいしい、とは思ったが、それは夕食に取っておいて、昼はB級グルメ国道8号沿いのレストラン「キッチン ユキ」で、ハントンライス金沢ブラックカレーを食べる。おいしい。金沢はB級グルメの宝庫で、金沢カレーは「カレーのチャンピオン」が名古屋近辺でもチェーン展開している。また食べに行こう。

 友人から中田屋の「きんつば」をもらい、3時前に金沢の中心部へ向かう。にし茶屋街をクルマで通り過ぎ、長町武家屋敷跡へ。今まで金沢へは何度も来たが、なぜか武家屋敷街と茶屋街に行ったことがなかった。今回、念願がかない、それぞれの町並みを堪能。もっともどちらもしっかりと観光地になっていて、人が多い。土塀が鍵の手となった小路はなかなかの雰囲気。多くの外国人が歩いていた。

f:id:Toshi-shi:20170423152914j:plain

 大野庄用水に沿って足軽資料館まで歩いて戻ってくる。娘が4時半の電車で帰るため、武家屋敷であまり時間が取れなかったのが残念。金沢駅前(東口)には大きな木造のオブジェ「鼓門」がある。でもそれに続く「もてなしドーム」とはイマイチ調和がとれていないように思った。大きさにはびっくりしたけど。

 改札で娘を見送って、次はひがし茶屋街へ行く。こちらもすごい人出。特に外国人が多い。重文のお茶屋建築「志摩」に入ったが、外国人の団体客の後ろをゆっくりと見て回った。ベンガラの赤い塗り壁がいかにもお茶屋らしい。それにしてもこれだけの町家が並んでいるのは全国的にもめずらしい。重要伝統的建築物群保存地区になっている。1時間余り歩いていたら、次第に日が傾いてきた。5時半過ぎに駐車場を出て、今夜の宿、魚津へ向かう。富山に近づくにつれて、車窓に立山が大きく映り出す。常に立山が観られる町というのもいいな。

f:id:Toshi-shi:20170423172017j:plain

 2日目は時間が読めなかったこともあって、ビジネスホテルを予約。でもその前に食事。富山に来たからは回転寿司。「おすしやさん 魚津店」は普通の回転寿司だが、白エビやホタルイカなど富山ならではのネタがプリプリでおいしかった。

 ホテルは「スカイホテル魚津」。アネックスが道路を挟んで北側にあるが、クルマはそこに止める。普通のビジネスホテルだが、じゃらんで予約をしたら、スパークリングワインを2缶くれた。夜、1缶飲んで、さあ寝ようと思ったら、事件発生。家に帰った娘から真夜中に電話。「スマホと免許証をなくした!」

 さすが私の娘。よく忘れ物をする。でもその日は家に帰ったら、最寄駅から「定期券の届けがありました」と電話。あわてて取りに行き、帰りはタクシーで帰ったところ、その後紛失。警察へ届け、タクシー会社数社へも電話をしたというが、それにしても二重で忘れ物をするなんて。その精神的ストレスか、ホテルでの高い枕が悪かったか、翌朝起きたらまた首が痛くなった。やばい、旅行2日目にして取り止め、帰宅か! それでも翌日は首の様子を見つつ、先へクルマを進めることにした。

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その3)」に続く。

アメリカ帝国の終焉

 面白い! タイトルからは単に昨今のアメリカの退潮、衰退を指摘する本かと思い、大して期待せずに読み始めた。そして、アメリカの経済的衰退と覇権の喪失を説明する序章、第一章、第二章まではほぼ予想した内容が綴られていた。ただ興味深いのは、今次のグローバル化ポピュリズムの台頭が実は20世紀初頭に続いて2度目のことだと指摘して比較し、そこからアメリカ帝国の衰退を説明していくのはこれまで聞いたことのない視点だ。

 それでも、アメリカの衰退というある意味、聞き飽きた内容にはただ淡々とページを括っていたが、「勃興するアジア」を取り上げる第三章になって俄然、面白くなる。一般的には中国の経済発展も曲がり角に来ていると指摘する批評が多い。だが、そんなことはないと筆者は言う。それどころか、世界は中国を中心に、東南アジア、さらにインドも巻き込んで、アジア生産通商共同体の成立に向かっていると指摘する。

 そして終章では、不平等の拡大として批判されるグローバル化が、実は先進国と途上国との格差の縮小という効果を上げている点を指摘する。であるなら、国益・民益を第一に、対米同盟を相対化して自立的な外交を行うカナダを事例に上げつつ、日本は今後、アジア共同体を軸に、経済政策と外交を展開すべきだと主張する。

 なるほど、単にアメリカの衰退を指摘するだけでなく、その現実の前に、日本の進むべき道を指し示している。そしてそれは十分可能であり、現実的である。北朝鮮を敵視し、軍事化と随米外交だけを進める夜郎自大な安倍政権とは現実を見る目が明らかに違う。

 本書は最後に、故郷の十勝市で、グローバル化の中で世界に打って出る起業家を描いて終わる。グローバル化は日本国内でも、経済的に遅れていると思われてきた地方において、格差の縮小という取組を可能としているという事例だ。時代は確実に変わってきている。もはや新しいグローバル化アメリカ帝国の終焉を導き、新たな世界が現出しようとしているのだ。

 

 

自爆テロは、宗教的なものを主たる動機としていない。主たる動機は、外国軍による“支配”への反逆と抵抗という、すぐれて政治的なものなのである。・・・その政治的動機が、宗教上の教義によって正当化される。そしてその教義が、とりわけ感受性が強く社会的に未熟な、あるいは政治的不正義に敏感な若者たちを、自爆テロへ駆り立てている。/だから自爆テロは、イスラム世界だけでなく、非イスラム世界でも生起する、政治的自立のための、下からの反乱である。(P100)

〇国際政治経済学者は、国々が、一定の地理的空間のなかで、生産や通商を軸に、地域内協力の絆をつくり強めていく国家間協力の制度化の動きと深化を、地域統合と呼ぶ。その呼び方に従うなら、東アジア単一経済圏の成立は、“事実上(デファクト)”の地域統合の生成を意味している。/その歴史は、法制度の積み重ねからなる“法制度上(デューレ)”の地域統合としての、欧州統合の歴史とは異質だ。そのアジア特有の地域統合の歴史が、ゆるやかに、しかし確実に生成展開しつづけていくのである。(P148)

〇もはや日本も、狭い日本列島内でダムをつくり高速道路やリニア新幹線を張りめぐらせ、“列島強靭化”によって繁栄を手にできる時代は終わりつつある。/一国内インフラ投資効果は、もはや限界に達しているからだ。/であるなら、私たちが取るべき戦略は、アジア太平洋地域に広がる巨大な地域空間のなかで、インフラ投資を進め、開発と管理に共同参画し、アジアの繁栄に資することではないのか。(P201)

〇帝国アメリカが解体し、アジアが勃興しつづけるいま、私たちに求められているのは、したたかでしなやかな「同盟の作法」なのである。/巨大帝国に隣接したカナダは、建国以来、米国と緊密な同盟関係を維持しながらも、対米同盟を絶対化せずに相対化し、国益と民益を最大化する、自立的な外交を取りつづけている。/そのあるべき同盟の作法こそが、アメリカ帝国が解体するいま、ポストGゼロに向けて日本に求められている。(P209)

〇たしかにグローバル化は・・・限りなく不平等を生み出してきた。しかし・・・進行するグローバル化が、一方で先進諸国内の不平等をおびただしく拡大させながらも、他方では、先進国と途上国との不平等を急速に縮めている現実だ。・・・そこから勃興するアジアが生まれ、もう一つの資本主義が興隆しつづけている。(P212)