とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

対口支援

 兵庫県庁に勤める友人からFACEBOOKを通じてメッセージが届いた。兵庫県庁の震災支援の動きに関する情報を送ってもらった。
 兵庫県では地震から8日経った19日に、兵庫県知事が自ら仙台に入り、宮城県知事と直接会談。集団避難を受け入れる旨を伝えた。友人によると、統廃合による空き教室を活用して生活できる環境を整え、避難者を受け入れ、保健婦など支援者の確保などの生活支援の体制も整備することになっていると言う。
 集団避難としては、さいたまスーパーアリーナに避難した福島県双葉町の例があるが(その後、30日に埼玉県内の旧県立高校へ移動することが決まった)、その方法については既に兵庫県から提案されていたものだ。
 兵庫県の井戸知事は、旧自治省出身でかつて宮城県に出向していた経歴があったことが今回の行動の要因としてあったかもしれないが、その行動力は見事だ。
 さらに友人からの情報によると、兵庫県では既に23日から気仙沼南三陸町石巻市の3か所に15名規模の現地事務所を設置することとなり、先遣隊が22日から出発しているとのことだ。なお、これは関西広域連合として支援しているもので、兵庫県徳島県鳥取県とともに宮城県を、大阪府和歌山県岩手県を、京都府滋賀県福島県を担当している。友人によれば、こうした活動は新潟県に続いてのものだそうで、阪神淡路大震災を経験した兵庫県ならではの動きと感心する。
 そういえば愛知県東海市は、姉妹都市である釜石市に支援物資を送るという報道を聞いたが、こうした都市同士、都道府県同士の支援は効果的だ。
 折しも、「内田樹の研究室:兵站と局所合理性について」の中で「対口支援」について紹介している。中国の四川省地震の際に、被災しなかった19の省と直轄市が、被災地の県・市を特定して一対一の支援をする体制を取ったことを指す言葉だ。中国では国が主導してこの体制を構築し成果を挙げたが、日本では既に関西圏自治体の自主的な行動により。同様の連携が始められていた。
 今日、震災後2週間を経過して、菅首相がメッセージを読み上げていた。そこでは国の人的支援も強調していたが、国家公務員はしょせん地方公務員とは違う。キャリア官僚が被災地の県や市町村に行ったところで、一緒に汗を流すのではなく、指揮命令系統に君臨すると思われる。しかし今必要なのは、自治体職員として住民やボランティアと一緒に汗を流す行政マンなのだ。その役を果たすことができるのは、県であれば都道府県職員、市町村であれば同規模の市町村職員だと思う。同じ立場であればこそ、どう動けばいいか想像もつくし、成り変わって活動できる。
 やはり「対口支援」だ。日本政府も中国にならって、同様の仕組みづくりに早急に着手すべきだ。