とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

導かれし者

 スペインから日本に戻って以降の福田健二の人生を読めると思って購入したら、巻末の但し書きを読んでショック。「本書は2007年11月に刊行された単行本『RUN−流浪のストライカー、福田健二の闘い』(ダイヤモンド社)を改題し、加筆・修正の上、文庫化したものです。」
 改題するな! 間違って買ってしまったじゃないか! 「RUN」なら実家の本箱にある。もう実家送りしてしまったけれど。
 そう怒って積読の一番下に置いてあったけど、気楽な本が読みたくなって、本書を取り出した。改めて読んでも、母の自殺にめげず頑張る福田健二の姿には泣ける。だが後半、スペイン・ヌマンシアで戦うドキュメントになってくると、ただその活躍を追うだけになってくる。その後、ベガルタのレンタル権の問題もあって、ラス・パルナスへ移籍。うまく結果が出せず、ギリシャのイオニコスで1年過ごした後、愛媛FCへ移籍することになる。あのままヌマンシアにいれば、チームはその後1部に昇格したし、違う人生が待っていたかもしれない。
 しかしそれを後悔するのも栓ないこと。これがまさに福田健二の人生だったような気がする。福田健二34歳。今年もまだ愛媛FCで現役だ。

●お金には困っていました。・・・愛があればお金なんていらない、と言う人もいますけど、それは本当の貧乏を知らない人が言うことですよ」/母が自殺した理由も、その貧しさに起因していた。・・・福田健二宛に残された遺書には、たった三行だけが記されていた。/「好きなサッカーで 世界に胸が張れる 選手になって下さい」(P14)
●一緒にいなければ、うまくいくものもいかない。健二と一緒に家族で頑張ることにしたんです。スペインにチームがないならブラジルにでも行く、と彼は真剣でした。・・・自分はやるだけだから、と言い張るので、これはもう付いて行くしかないなと腹を括りました。ここまで来ると、戦友みたいな気分ですよ。一緒に戦っているんだ、と思うことにしました」(P33)