とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

男子五輪は健闘空しくカウンター2発に沈む。大会を通じて活躍する力はなかったということか。

 韓国の李明博大統領の竹島上陸により、違う意味で注目を浴びてしまった3位決定戦の日韓戦。だが韓国は日本が完敗したメキシコにグループリーグで引分け、地元イギリスをPK戦の末に勝って、ブラジルには敗れたものの、パク・チュヨンチ・ドンウォンキ・ソンヨン、さらにカーディフへ移籍したキム・ボギョンと並べ、その実力は日本以上と言える。対する日本は疲れが目立ついつものレギュラー陣。メキシコ戦敗戦の影響が出ていないかと心配だった。
 序盤、韓国が押し込んでくる。出足や球際の強さは相変わらず。日本はなかなか攻撃の形が出ない。いや、このチームに攻撃の形ってあったっけ。勝ち進んできたのはオーバーエイジを入れた守備の安定さとカウンター。だが、研究されると次第に攻撃力もしぼんできた。それ以上にしぼんできたのが体力。積極的な前からのプレスも運動量が衰えると、守備に影響をきたす。
 それでも17分、清武のCKのこぼれを東がボレーシュートを放つと、日本もようやく中盤でボールを持つことができるようになり、ペースを取り戻してくる。28分には永井のポストプレーから大津のスルーパスに清武が飛び出してミドルシュート。GKチョン・ソンリョンがファインセーブ。韓国も疲れが出たか、序盤を過ぎるとペースが落ちて、気持ちと激しいプレーで対応する。パク・チュヨンキ・ソンヨンク・ジャチョルと立て続けにイエローカードをもらう。
 36分、山口のフィードがDFに当たり、あわやオウンゴール。続く清武のCKに酒井がヘディングシュート。しかしわずかにポストの左。ところがその直後の38分。CBファン・ソッコの長いフィードにCB吉田がかぶってその裏にパク・チュヨンが抜け出すと、鈴木、酒井が駆け付け、さらに山口が駆け寄るが、山口の逆を取る形で右に持ち出すと、強烈なシュート。一瞬のカウンターから韓国に先制点を入れられる。権田ももう少し左に移動できなかったか。いずれにせよ、吉田が引き出されての悔やまれる失点。40分にもCBのフィードから吉田の競ったこぼれ球を拾われ、左SBユン・ソギュンにシュートを打たれる。
 日本はボールをキープするもののゴール前を固める韓国の前に横に回すばかりでなかなか前に進めない。それに対して韓国の選手は前への意識が高い。先制点はそういう気持ちが生んだ得点だった。
 後半も互角の展開。11分、大津が清武とのワンツーで抜け出し、ドリブルで抉ってクロスを入れるが、他の選手が間に合わない。するとその直後のフィードに吉田がヘッドで競り勝つが、こぼれ球をク・ジャチョルに拾われシュート。あっという間のカウンターで追加点を入れられた。
 日本は14分、扇原に代えて山村。17分には東に代えて杉本を投入。永井も25分に宇佐美に交代した。この3人はゲーム序盤から動きが鈍かった。最初から先発から外すという決断はなかったか。
 15分にはク・ジャチョルからキム・ボギョンミドルシュート。GK権田がファインセーブ。弾いたボールはポストに当たる。韓国は後半守る。日本は攻めていくが、運動量が少なく連携が取れず、いい形が作れない。42分、宇佐美のCKに吉田がドンピシャ・ヘッドでネットを揺するが、その前で大津がGKチョン・ソンリョンに体当たり。ファールを取られ、ゴールが認められない。結局このまま時間が過ぎて2-0で日本の銅メダルはかなわなかった。
 グループリーグではスペインに勝利するなど、なでしこよりもいいパフォーマンスを見せていた男子だったが、決勝トーナメントに進んでからは、休養の取れたエジプト戦を除き、メキシコ戦、韓国戦と疲れが出て運動量が落ちると、このチームの良さが出ず、メキシコ戦の1点目を除いてはカウンターで失点した。スペイン戦にピークを持っていった男子と、決勝トーナメントにピークを合わせたなでしことの差が出た感じ。それ以上に中2日でゲームを続けていくことの影響が大きかったか。
 そしていつも言われることだが、決定力。韓国にはパク・チュヨンというストライカーらしい選手が結果を出した。日本も大津の決定力はすばらしかったが、ストライカータイプではないし、永井もJリーグでの絶好調から次第に調子を落としていった。杉本では線が細かったし、どうして指宿を外したのかわからないが、最後は選手層の差が勝敗を決した気がしなくもない。
 それにしても過酷な2週間。グループリーグでは見事なパフォーマンスで世界の注目を集めてくれた。お疲れさま、よくやったとねぎらいの言葉を贈りたい。