とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジカップ 日本対オーストラリア

 右膝痛の内田に代わりが酒井高徳を右SBに入り、太田が左SBで先発した以外はホンジュラス戦とまったく同じ先発陣。ホンジュラス戦ですばらしい連携を見せていた香川・遠藤・長谷部の中盤の活躍を当然期待した。ところがこのゲームでは中盤が全く機能しない。基本4-3-3のはずだが、同じ4-3-3の布陣のオーストラリアの両WGが高く、両サイドに厚みをかけて攻撃してくるため、日本の両FWが下がってしまい、実質4-1-4-1の布陣になっていた。
 一方、オーストラリアの3トップは全員が高く保ち、高い位置からプレスをかけてくる。中でもCFレッキーがよく動き回り、日本のCH長谷部にプレスをかける。日本は前線で岡崎が孤立し、オーストラリアのCHイェディナクにプレスがかからない。ここから左右に展開。日本は香川と遠藤が高い位置を取ることから長谷部の両サイドが空く。そこをオーストラリアの両MFやFWが使い、攻撃を仕掛ける。結果、前半はほとんどオーストラリアに押し込まれる展開となった。
 序盤1分、オーストラリアがロングボールを前線に放り込み、左FWトロイージがシュート。その後も序盤はロングボールを多用する。これで日本は全体的に下がってしまったかもしれない。日本のチャンスはようやく10分。CB吉田の縦パスを右FW本田が落とし、右MF遠藤がスルーパス。右SB酒井が走り込んでクロスを入れる。これで得たCKにCF岡崎がシュートを放つが、DFにブロックされた。16分には左SB太田のクロスに左FW武藤がヘディングシュート。バーを叩くがオフサイドの判定。逆に17分、右MFルオンゴから右に展開、右FWクルーズのクロスにCFレッキーがヘディングシュート。GK川島が何とかセーブする。
 日本は長谷部にマークが付いて中盤でうまくパスが回らない。横パスをカットされては再三ピンチを迎える。こうした中、35分、アギーレ監督が4-2-3-1への布陣変更を指示。長谷部と遠藤を横に並べ、香川をトップ下に上げる。すると中盤で落ち着きどころが二つでき、オーストラリアのCHにプレスがかかるようになった。布陣を変更するだけでこれほどサッカーが変わるのかと思うほど。日本の反撃はここから始まった。
 38分、CH遠藤の縦パスからOH香川がスルーパス。右SH本田が抜け出してシュート。40分にはGK川島からのフィードからOH香川がDFを背負って抜け出し、いったん右SH本田に戻してスルーパスに走り込むとGKと一対一。だがゴールに近すぎて、クロスはDFにクリアされた。続くCKにはCH長谷部がダイビングヘッド。前半はこれで終了したが、後半に期待を持たせる内容だった。
 後半開始からCH遠藤を今野に交代する。後半序盤はオーストラリアが攻めてきた。3分、右MFルオンゴがミドルシュートを放つ。しかし5分、CH今野のカットからそのまま持ち上がりクロスを入れるとOH香川がシュート。日本が主導権を握る。6分、OH香川の落としから左SH武藤が右につなぐと、右SH本田がさらに右に展開して右SB酒井がクロス。これで得たCKのこぼれ球にCB森重がスライディング。前に飛んだボールにCF岡崎が抜け出してシュート。GKライアンのファインセーブに防がれたが、次第に日本がペースを握る。9分、CH長谷部の縦パスに抜け出した左SH武藤のクロスに右SH本田がダイビングヘッド。12分には左SH武藤に代えて乾を投入した。
 すると14分、右SB酒井のクロスに左SH乾がヘディングシュート。そして16分、本田のCKにファーサイドでCH今野がフリーになってヘディングシュート。ついに日本が先制点を挙げた。
 さらに攻め続ける日本。オーストラリアは19分、中盤にベテランMFブレシアーノを投入する。20分、OH香川の縦パスをCF岡崎が落とし、左SH乾がシュート。22分、オーストラリアの横パスを奪って右SH本田が左に流すと、CF岡崎がシュート。これで得たCKの流れからCB森重が右サイドをドリブル突破。クロスにCF岡崎が見事なヒールシュート。23分、日本が追加点を挙げた。
 2点差を付けられたオーストラリアは28分、FWケーヒルを投入する。日本は31分、岡崎に代えて豊田。32分、左SH乾がOH香川とのワンツーでゴール前に迫りシュート。GKライアンがセーブ。42分、右SH本田がミドルシュート。日本がゲームをコントロールする。45分、OH香川から右に展開、右SB酒井のクロスにCF豊田がヘディングシュート。このままゲームを終えたかった日本だが、アディショナルタイム2分、中盤でプレスをかわされると余った左SBベヒッチからのクロスにFWケーヒルがヘディングシュート。あっさり1点を返された。しかしゲームはこれでタイムアップ。アジア杯前の最後のゲームは何とか2-1の勝利で終えた。
 アギーレ監督の4-3-3が通用せず、ザッケローニ時代の布陣と連携で勝利したと言えなくもない。加えて、ケーヒルの一発。これでは何も変わっていないという気がしないでもないが、プレーの幅が広がったことは確か。ゲーム途中で布陣を変える柔軟性と評価した方が適切だろう。しかしわずかな布陣の変更でこれほどサッカーが変わるとは。すごい。次はアジア杯。今までは順調に来ている。さらなる向上につながる大会になるといい。どんなメンバーでどんなサッカーを展開するのか。今から楽しみだ。