とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

悠々自適の定年後生活

 妻の友人夫婦が夫の退職を機に昨年末に伊豆の別荘へ引っ越していった。たまたま妻の実家が沼津近辺にあるので、正月に帰省がてら、その友人を訪ねていった。南箱根ダイヤランドという別荘分譲地で函南町にある。

 函南町役場から熱海に向かう道路をしばらく行くと案内看板に沿って脇道に入り、別荘地へ向かう道路を登っていく。山肌にぎっしりと張り付くように別荘が建て並んでいる。ナビに従って狭い道をくねくねと辿るとしばらくして友人の家に着いた。

 大手ゼネコンに勤めるご主人が自ら設計したその別荘は2LDKのこじんまりした住宅で、1階に寝室と居間とキッチン、2階は娘さんの部屋が1室。独立した息子さんが正月で帰っていたが、ロフトで寝泊りしているらしい。玄関を入ってすぐにLDKがあり、赤々と薪ストーブが燃えている。壁の上部にある窓から光が降り注ぎ、明るく暖かい。

 退職後の悠々自適生活のつもりが、会社がすぐには離してくれず、ご主人は平日、名古屋で単身赴任して週末に帰る生活をしており、実際に引っ越したのは奥さんと娘さんだけだが、のんびりした生活には奥さんも満足をしている様子だった。

 これまで住んでいた戸建て住宅に収まっていた家具や荷物は大量に処分し、一部は薪ストーブの火種となった。外部に単管とポリカ波板で簡単な小屋を作り、薪を大量に保管してある。引っ越す前から少しずつ薪を作っては運び込んだそうで5年分はあると自慢する。外回りは娘さんと一緒に方形ブロックを敷き、畑はこれから整備する予定とのこと。駐車場が作業場に化していたが、しばらく住宅周りの整備を楽しめそうだ。

 全部で3000区画位ある中で、約800世帯が定住生活をしているそうで、週末生活をしている世帯も多い。函南駅までクルマで15分。三島駅経由で新幹線通勤をしている方もいると言う。温泉付きで権利金を当初二百数十万円、その後5年分の管理費が約40万円、月々の温泉使用料はほぼ水道と同程度ということだ。ごみ回収や電気・水道料は一般住戸と同じだが、自治会はなく、別荘の管理会社が対応してくれるのでわずらわしいことは一切ない。

 「あなたも住みなよ」と友人は言うのだが、クルマを運転できない妻にはちょっと厳しいかな。いや厳しいのは送り迎えを強いられる私だと思うが。友人の夫は野外作業や日曜大工などが好きで、薪割りも苦にしないが、周辺に住んでいる方は薪も購入して済ませているらしい。私自身、愛知県の山里・足助で定住促進に関する仕事を担当していたことがあるが、旧来からの田舎は地元の慣習やしがらみが大きく、草刈や社寺の維持などにかなりの労力を強いられる。それに比べれば別荘生活は管理費さえ納めれば快適な部分だけを楽しむことができる。定年後、別荘地で悠々自適生活も悪くない。それだけの資力があるかどうかが最大にして越えられない問題としてあるけれど。