とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

北朝鮮美女応援団の見方

 昨日は羽生結弦フィギュアスケートショートプログラムで見事な復活演技を披露して大喝采を浴びた。この後始まるフリーも見逃せない。ぜひ金メダルを獲ってほしいと思う。そしてフィギュアのペアでは、北朝鮮のペアが美女応援団の圧倒的な声援を受けて演技し、13位に入った。日本人ペアは決勝へ進めなかっただけに、その成績には拍手を送りたい。

 一方で、北朝鮮選手の出場といって話題になるのは、どうしても美女応援団の存在。日本では、北朝鮮選手だけ応援し、他国選手のプレーや演技には一切沈黙を守る彼女らに、奇異の目を向ける報道がほとんどだ。こうした中、「世に倦む日々」の田中宏和氏が投稿した記事( 「金与正を侮辱し悪罵し人格否定する日本のマスコミ-右翼の焦り:世に倦む日々」)に、一般の報道にはない視点を感じて興味を惹いた。

 リベラル系論客として有名なブログで、政治色の強い内容には、レベルが高過ぎて理解できないこともあるが、一般の報道にはない見方・視点を示していて、目を開かれる思いがすることも多い。上記の記事では、今回、北朝鮮の代表として来韓した金与正女史について、金正男の暗殺を例に引いて、「事実上のNo.2で白頭の血統という地位と身分であるからこそ、平壌での本人は常に危険な境遇に置かれているのであり、その緊張と精神的重圧は想像を絶するものがある」と同情してみせる。

 同様に、美女応援団についても、「彼女たちも、本当は、心のなかでは、できれば客席の向こうの自由な人になりたい」「監視している同僚から帰国後に何を密告されるか分からないし、反省会(総括会)で言いがかりをつめられて糾弾されるか分からない。糾弾対象になれば収容所に送られる。家族にも累が及ぶ。移動中も、宿舎でも、五輪会場でも、気の抜けない息の詰まる一分一秒だろう」と推測する。

 確かにそうかもしれない。日頃からマスコミが報道するように、北朝鮮が独裁者・金正恩の元で、国民が圧政に苦しんでいるというのなら、彼女らが上記のような境遇にあると想像することは十分あり得る。そして、このブログで初めて、1時間以上に及ぶ日米電話首脳会談の主たる内容が、日本企業の米国進出要請だったこと(「安倍首相に『もっと工場建設を』要請:産経ニュース」)を知った。また、IOCのバッハ会長が五輪後、訪朝するということも(「バッハ会長、五輪後に訪朝:時事ドットコムニュース」)。

 もちろんこれらのニュースは上記のように、各メディアでも報道されてはいるようだが、その扱いは小さく、私はこのブログを見るまで知らなかった。今後、北朝鮮と韓国の関係はオリンピックをきっかけに大きく変化していくことが想像される。既にアメリカでも米朝対話に向けた動きが出始めているようだ(「日米の温度差浮き彫り 北朝鮮『対話』巡り:時事ドットコムニュース」)。日本だけが北朝鮮への圧力路線から変化をしていないように見える。

 オリンピックが終わった後、そしてその後に開催されるパラリンピックが閉幕(3月18日)した後、北朝鮮を巡る国際環境はガラッと変わり、日本だけが取り残されている恐れもあるのではないか。羽生くんの活躍はもちろん期待したいが、マスコミにはオリンピック一色に陥らず、より柔軟な視野と想像力をもって、多面的な報道に努めてほしい。