グループリーグ2戦を終えて1勝1分。第3戦で韓国がベトナム相手に3～4点以上の差を付けて勝利することはほぼ確実。オーストラリア相手に勝利、または1点以上を取っての引分が求められる日本。先発FWに菅澤を起用し、高いオーストラリアDFへの対応を考えた。ボランチには今大会初出場の宇津木を起用。やはり最後に頼りになるのはベテラン。右SB清水は若い力に期待した。オーストラリアが4-3-3。カーのワントップに左FWデバナ、右FWロガルツォ。速い3トップは要注意。CBやCHバン・エグモンドなど、長身の選手が多い。
開始2分、右SBカーペンターのスローインをCFカーがフリック。左FWデバナがシュート。さっそくオーストラリアがその特長を出してきた。日本も7分、右SH中島のCKのクリアを左SH長谷川がボレーシュート。しかし前半のシュートはこれ1本に終わった。オーストラリアのプレスが早い。日本はなかなか前に運べない。芝が重いせいか、風下のせいか、パスが途中で勢いを失ってオーストラリアにカットされる。CH阪口夢穂が何度もミスをして、危ない場面を与える。
14分、CHバン・エグモンドのフィードに走り込んだCFカーのクロスに左SHデバナがシュート。しかし右SB清水がナイスブロック。25分、CHバン・エグモンドのクロスにCFカーがヘディングシュート。32分、右IHゴリーがミドルシュート。日本が耐える展開が続く。中盤が下がって、FWとの距離が遠く、ロングボールを蹴り出しても、オーストラリアDFが奪い返してまた攻撃を受ける。
それでも39分、左SB鮫島のクロスをFW菅澤が落とし、左SH長谷川が仕掛ける。最後はDFにブロックされたが、ようやく日本にいい形が出ると、その後は日本が攻めたが、前半はここで終わった。スコアレスで折り返す。
後半に入っても、前半の終盤同様、日本が攻めていく。8分、左SH長谷川がカットインしてクロス。FW菅澤が走り込むが、長身CBケネディがクリア。しかしだいぶいい形が作れるようになってきた。また6分、オーストラリアは左FWデバナが足を滑らせて負傷。右FWラソとの交代を余儀なくされる。ロガルツァが左FWに回る。10分、左SBカトリーのスローインをCFカーが落とし、右IHゴリーがシュート。しかしこれも枠を捉えられない。
すると17分、日本は右サイドまで走り込んでいた左SH長谷川が大きく左へサイドチェンジ。FW岩渕がミドルシュートを放つ。そして18分、CH宇津木の縦パスを左SH長谷川が落とし、FW岩渕のスルーパスに長谷川が走り込んで、戻しのパスにCH阪口がシュート。これが決まり、ついに日本が先制点を挙げた。
負けると、グループ首位から一転3位に転落するオーストラリアが必死に攻めてくる。だが日本はFW菅澤が下がってポストになり、DFやMFからのパスを捌く。うまくパスが回るようになって、日本がしっかりと守る。オーストラリアは25分、右IHゴリーをサイモンに交代する。28分、左SBカトリーのクロスを右FWラソがヘディングで落とし、左FWロガルツァがヘディングシュート。しかしCB熊谷も競って、シュートを許さない。お互い頭を打って、しばしゲームが中断される。よく戦う熊谷。CB市瀬もよい読みからよくパスカットをするなど、日本の守備は充実している。
32分、右FWラソのクロスにCFカーがヘディングシュート。しかしこれもCB熊谷が競って、自由にさせない。37分、日本は足を踏まれた左SH長谷川に代えて増矢を投入。39分、CBポルキンホーネのフィードを左IHバットが落とし、左FWロガルツァがシュート。GK山下がセーブする。そして41分、CBポルキンホーネのフィードからIHサイモンがクロス。GK山下がセーブするが、CFカーが身体を寄せて当たると、こぼれ出たボールをカーがシュート。これがゴールに転がり込み、オーストラリアが1点を返した。GKへのチャージがファールではないかと思ったが、主審は取ってくれない。
これで同点に追い付いたオーストラリアは無理にボールを取りに行かない。このまま失点をしなければグループを首位で通過できる。日本も同様、失点をしなければ2位通過。その後はアディショナルタイムも含めてほぼ5分間、日本がDFラインでパス交換を繰り返し、そしてタイムアップ。ゲームは1-1で引き分けた。
これでお互いW杯出場が決定。最後の失点は残念だったが、前半、圧倒的にオーストラリアに攻め込まれたことを考えれば結果オーライ。オーストラリア相手にいいゲームができたことで日本にとっても自信となるゲームだった。次は17日深夜、中国と対戦する。簡単な相手ではないが、重荷を振り切った日本。きっと勝ち上がってくれると信じている。そして決勝戦でもう一度オーストラリアと対戦し、今度は勝利してアジア杯を掴み取ってほしい。がんばれ、なでしこ。
