とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯決勝 フランス対クロアチア

 ついにW杯も決勝戦を迎えた。20年ぶりの優勝を狙うフランスと、そのフランスが優勝を遂げた大会の初出場3位を上回り、初優勝を狙うクロアチア。準決勝でベルギーを1-0で下し、中4日で満を持してゲームに臨むフランスに対して、3戦連続の延長戦を制し、決勝に進出したクロアチア。中3日の日程に、選手の年齢も30代のベテランが多く、コンディション的にはフランスが圧倒的に有利。だがゲームの内容はこうした状況を感じさせない、いかにもフランスらしく、またクロアチアらしいゲームを展開した。VARの判定もあり、この大会を締めくくるにふさわしいゲームだった。先発はともにほぼベストメンバー。これまで多くを戦ってきた22人が先発した。

 序盤、クロアチアが積極的にパスをつないで攻めていった。しかしフランスもがっちりと受け止めて逆に攻め込む。前半序盤は互角の展開が続いた。そして18分、FWグリーズマンの仕掛けをCHブロゾビッチが倒して得たFKをグリーズマンが蹴ると、CFマンジュキッチの頭に当たったボールが直接ゴールに飛び込んだ。オウンゴール。フランスが幸先よく先制点を挙げた。直後の21分、今度はクロアチアが右IHモドリッチの仕掛けをCHカンテに倒されてFK。これをモドリッチが狙うが、CBビダのヘディングシュートは枠を超えた。

 しかし28分、CFマンジュキッチの仕掛けをCHカンテが倒す。このFKを右IHモドリッチが大きく右に展開。走り込んだ右SBブルサリコのクロスがDFに当たり、ルーズになったボールをCBビダが落とすと、左SHペリシッチが強烈に突き刺した。ゴール。クロアチアが同点に追い付いた。これで勢いを得たクロアチアはボールをキープして攻める。だが守り切ったフランスがカウンターで攻め込んでCKを得ると、FWグリーズマンのCKに左SHマテュイディがニアに走り込み、その後ろを追いかけた左SHペリシッチの手に当たる。ハンド。アピールを受けた主審がVARで確認。PKを宣告。グリーズマンがこれを確実に決めて、フランスが勝ち越し点を挙げた。最初、主審はファールを取らなかった。故意ではない不可抗力のハンド。これをPKに取るかどうかは難しい判断だが、主審はVARで確認後にPKを取った。いかにも今大会を象徴する得点だった。ただし、個人的にはいっそのことPA内の守備側のハンドはファールにしないというルール改定をしてもいいのではとさえ思った。今大会、PKがあまりに多すぎ、重すぎた。

 これで気落ちするかと思ったクロアチアだが、けっして諦めることなく攻めていく。40分、左SHペリシッチのクロスに右SHレビッチがシュート。だがうまく足に当たらず、GKロリスにセーブされた。43分、右IHモドリッチのFKのクリアをCBロブレンがシュート。これもDFg合ブロック。その後、CKを3本続けてフランス・ゴールに迫る。アディショナルタイム46分には左IHラキティッチのCKにCBビダがヘディングシュート。だがポストの右。前半は2-1、フランスのリードで折り返した。だが内容的にはクロアチアが上回っていた。

 後半2分、フランスが右SBパバールのフィードをFWジルーが落とし、FWグリーズマンミドルシュートを放つと、クロアチアも3分、左IHラキティッチがドリブルからスルーパス。右SHレビッチが鵺k出してシュート。GKロリスがファインセーブで弾き出す。4分にはCHブロゾビッチのフィードに左SHペリシッチが走り込む。CBヴァランが足を伸ばして触ると、PAを飛び出したGKロリスがクリア。何とかフランスが守り切る。

 その後もクロアチアが攻める。しかしフランスはその逆を取ってカウンター。7分、CHポグバの長い縦パスに走り込んだ右SHエムバペが速い。CBビダを抜いてシュートを放つが、GKスバシッチがセーブする。10分、フランスはCHカンテに代えてヌゾンジを投入。前半にイエローカードを1枚もらっていること。そして攻めの起点としてカンテが抑えられ、機能していないことを嫌ったか。だがこれでクロアチアは右IHモドリッチがさらに楽にボールが持てるようになった。攻めるクロアチア

 しかし14分、またもCHポグバから長い縦パス。これに右SHエムバペが走り込み、クロスのこぼれをFWグリーズマンが落として、ポグバがシュート。DFのブロックのこぼれを再びポグバがシュート。ネットに突き刺した。フランスが3点目。さらに16分にもCHポグバ縦パスが今度は左サイドへ。左SHマテュイディが走り込み、クロスのこぼれをFWジルーが右に展開。FWグリーズマンが待ち構えるが、その前でCHブロゾビッチがクリアした。そして20分、左SBエルナンデスが左サイドを上がり、クロスに右SHエムバペがミドルシュート。さすがにクロアチアも集中力を欠いていた。ぽっかりとフリー。4点目を挙げた。

 しかし直後の24分、CBユムティティのバックパスを受けたGKロリスにCFマンジュキッチが詰める。かわそうと切り返したボールをマンジュキッチがシュート。クロアチアが1点を返す。4-2。

 クロアチアは26分、レビッチに代えて左SHクラマリッチを投入。フランスも左SHマテュイディに代えてトリッソを投入する。33分、右IHモドリッチのクロスのこぼれを左IHマキティッチがミドルシュート。37分には左SBストリッチを下げて、右WBピアツァを投入。クロアチアが3バックにして攻める。フランスも37分、FWジルーに代えて右SHフェキル。エムバペをFWに上げた。42分、右SHフェキルがミドルシュートを放つと、44分にはクロアチアも左IHラキティッチミドルシュート。しかし枠に飛ばない。その後はフランスがしっかりと守り切る。4-2。フランスがW杯優勝を遂げた。

 名手グリーズマンに新星エムバペの登場で、個人的には優勝候補の一つに上げていたフランスが、予想通りの若さと速さを披露して2度目の優勝を達成した。一方で、3戦連続延長戦で疲弊していると思ったクロアチアだが、そんな疲労の様子を見せることなく、すばらしい内容のサッカーで逆にフランスを追い詰めた。フランスの勝ち越し点となったPKはVARの判定で、いかにも今大会を象徴するゴールだったが、先に書いたように、あの程度のファールでゴールを認めることはサッカーの面白さ、公平さという点で反対だ。個人的な意見はさておき、それを含めても決勝戦は今大会を象徴するゲームとなった。ゴールデンボール賞モドリッチが受賞したというのも実に納得のいく結果。クロアチアの健闘が今大会を彩りのあるものにした。そして若さと速さのフランスは、守備面も含め、まさに優勝にふさわしいチームだった。