とんま天狗は雲の上

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UEFAチャンピオンズリーグ準決勝第2レグ アヤックス対トッテナム

 第1レグ、アウェイを1-0で勝利して迎えたホームでの第2レグ。よもやこんな結末が待っていようとは……。先に行われたリバプールバルセロナの一戦は、ホームの声援に後押しされたリバプールが3点差をひっくり返した。しかしアヤックスはホームでのゲーム。しかもその組織だったプレーはホームでもサポーターの後押しを受けて、さらに落ち着いてプレーができていた……はずが、まさか、アディショナルタイム予定の5分が過ぎたところでのワンプレー。奇跡の、いや失意の逆転ゴールが決まった。

 アヤックスはネレスが体調不良で左SHにはタディッチが入り、ワントップにはドルベリが先発。右SBにマズラウィが先発した他は、ほぼいつものメンバー。対するトッテナムはケガ人が多い。ケイン、ウィンクス、ダビンソン・サンチェスらが欠場。ルーカス・モウラをワントップに、右SHエリクセン、左SHソンフンミン。デリ・アリをトップ下に置いて、ボランチはワニャマとシソコの2枚を置く。左SBにはローズが先発した。

 序盤、アヤックスが積極的に前からプレスを変える。3分、CHシェーネがミドルシュート。4分には左SHタディッチがミドルシュート。GKロリスのファインセーブでCKとなるが、シェーネの蹴ったCKをCBデリフトがヘディングシュート。幸先よくアヤックスが先制点を挙げた。これで2点差に突き放す。だがよく考えてみればこのゲーム、トッテナムは2点を取らないことには勝利はない。そして1点取られても結果は変わらない。トッテナムはすぐに反撃する。

 6分、左SHソンフンミンのドリブルからシュートはポストに弾かれ、右SHエリクセンミドルシュートを放つ。10分には右SHエリクセンのドリブルからスルーパスにOHデリ・アリが抜け出してシュートを放つが、これはわずかにオフサイド。左SHソンフンミン、右SHエリクセン、CFルーカス・モウラ、CHシソコとそれぞれがドリブルで持ち上がるが、その後の連携がイマイチ。逆にアヤックスが組織的に守り、パスをつないでいく。

 23分、左サイドでアヤックスのプレスは厳しい中、右SHエリクセンから左SBローズ、さらにOHデリ・アリへとつなぎ、デリ・アリの斜めにパスに左SHソンフンミンが走り込む。しかしシュートはGKオナナがナイスセーブ。24分にはCFルーカス・モウラの仕掛けから落としを右SHエリクセンミドルシュート。GKオナナがキャッチする。28分にも左SBローズのCKのクリアをCFルーカス・モウラがシュート。だが枠を捉えられない。

 すると30分、アヤックスは右SHツィエクから左サイドへ大きなサイドチェンジ。左SHタディッチがドリブルからミドルシュートを放つ。そして35分、OHファンデベークから左に展開。左SHタディッチの戻しを右SHツィエクがミドルシュート。サイドネットに突き刺さり、アヤックスが追加点を挙げた。トータルで3-0。これでアヤックスの勝ち抜けが決まったかと思った。

 トッテナムは後半頭にCHワニャマに代えてCFジョレンテを投入。ルーカス・モウラを右SHに回し、エリクセンをCHに下げる。後半もトッテナムが攻めるが、アヤックスがしっかりと守る。8分、CHエリクセンのスルーパスに透けだしたOHデリ・アリがシュート。GKオナナがナイスセーブ。続くエリクセンのCKにCFジョレンテがヘディングシュートするが、枠を捉えられない。というか、途中出場のジョレンテがゲームに入り切れない印象。このままアヤックスがゲームを落ち着かせていくかと思った10分、トッテナムは左SBローズからアバウトにフィード。これを右SHルーカス・モウラが落とすと、OHデリ・アリの横パスにモウラがシュート。これが決まり、トッテナムが1点を返した。

 するとさらに14分、左SBローズのクロスから左SHソンフンミンが右に展開。右SBトリッピアのクロスにCFジョレンテがシュート。しかしこれもGKオナナがナイスセーブ。だがこぼれたボールにCHシェーネがクリアに入ってオナナが抑えきれない。するとこのルーズボールを収めた右SHルーカス・モウラが反転からシュート。あっという間にトッテナムが追加点。2試合トータルで3-1と1点差に追い詰めた。あと1点取ればトッテナムが逆転する。

 だがここでアヤックスも踏ん張る。ゴール直後にCHシェーネに代えて右SBフェルトマンを投入すると、16分、右SHツィエクがミドルシュート。18分にはツィエクのCKからCBブリントがミドルシュート。さらに直後にはCHに上がったマズラウィから左に展開。左SHタディッチのクロスに右SHツィエクがミドルシュート。わずかにポスト右に外れた。トッテナムも19分、右サイドでSHソンフンミンの戻しから右SBトリッピアがクロス。CFジョレンテがヘディングするも、CBデリフトがブロック。こぼれ球を狙った右SHルーカス・モウラのシュートもCBデリフトがブロックした。

 アヤックスに集中力が戻ってくる。22分にはCFドルベリを下げて左SHシンクフラーフェンを投入。タディッチをいつものワントップにして前線からプレスをかけていく。34分にはOHファンデベークのパスから右SHツィエクがミドルシュート。ポストに当てる。どうしても1点がほしいトッテナムは36分、右SBトリッピアに代えてOHラメラを投入。デリ・アリをCHに下げて、シソコが右SB。さらに左SBローズに代えてデイビスを投入した。

 42分、CHエリクセンのCKにCFジョレンテのヘディングは当たり損ねるが、CBフェルトンゲンがヘディングシュート。GKオナナがファインセーブ。はね返りをフェルトンゲンがもう一度狙うが、DFがブロックした。さらにこの流れから左SHソンフンミンがニアに仕掛けてGKの肩口を狙うシュートを放つが、枠を捉えられない。アヤックスは45分、OHファンデベークに代えてマガジャンを投入。アディショナルタイムは5分。

 45+3分には左SHシンクフラーフェンから左に流して、SHツィエクがミドルシュート。GKオナナが弾くと、さらにCFタディッチがシュートするが、これも枠を外した。後半に何度もあったシュートチャンスの1本でも決まっていれば……。だがこの時にはまだ結末はわからない。誰もがこのままアヤックスが守り切ると思っていた。

 45+4分、エリクセンのCKにはGKロリスも上がっていく。が、ジョレンテのヘディングシュートはまたも枠の外。そして5分のアディショナルタイムがわずかに過ぎた時刻、右SBシソコがルーズに放り込んだフィードをCFジョレンテとCBデリフトが競って、デリフトが足に当てる。だがこのこぼれ球をCHデリ・アリが拾うと、CBデリフトと左SBタグリアフィコの間に出したパスに右SHルーカス・モウラが走り込んでシュート。右ポストギリギリに飛び込んでトッテナム逆転。そのまま逃げ切ってトッテナムが3-2で勝利。2戦合計で3-3。アウェイゴールの差でトッテナムが決勝進出を決めた。

 まさかこんな結末が待っているとは……。アヤックスに何が足りないというのか。経験? 運? 決定力? メンタル? いやどれも原因にはならない。ただサッカーの神様の気まぐれ。この悲劇はアヤックスにとって後世に語り継げられるだろう。まさにCL。何が起きるかわからない。一方、トッテナムにとっては初めてのCL決勝進出だ。イングランドのチーム同士の対戦は11年振りだそうだ。奇跡の大逆転のリバプール。劇的勝利のトッテナム。これはどんな結果になるにせよ、見逃せないゲームとなりそうだ。6月2日。会場はアトレティコ・マドリードのホーム、エスタディオ・メトロポリターノ(ワンダ・メトロポリターノ)。忘れずチェックしておこう。