とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J2リーグ第14節 名古屋グランパス対町田ゼルビア

 前節はトリニータに大半。これで3試合勝ちなし。順位も6位に落としたグランパス。未だに攻撃がなかなか形にならない。今節の相手は相馬監督率いる町田ゼルビア。ここまで4勝4敗5分と5分の成績だが、こうしたチームにはしっかり勝利しておきたい。グランパスの先発メンバーは毎試合変わるが、このゲームでは4-4-2の布陣。杉森をシモビッチと並んで2トップで起用。磯村が櫛引と組んでCBに入り、CHにはワシントンと田口。和泉と玉田が左右のSHに入った。対するゼルビアには2011・12年とグランパスにいたFW吉田眞紀人がいた。あとは左SH谷澤、FW中島裕希の二人のベテランがチームを締める。

 序盤は互角の展開。杉森がFWで積極的にプレーをしている。すると10分、FWシモビッチのポストからFW杉森がドリブルで仕掛ける。左サイドを抜き切って、クロスに右SH玉田がシュート。幸先よくグランパスが先制点を挙げた。しかし13分にはCB磯村の縦パスをFW吉田がカット。ドリブルで上がり、でもゴール前で右に流す。合わない。助かった。23分にもゼルビアは、左SB松本のクロスに左SH谷澤がフリーになって抜け出す。がトラップが大きい。それで何とか間に合って、シュートはCB磯村が止めた。続く右SH吉濱のCKにCH田口があわやオウンゴール。GK楢崎がファインセーブではね返した。

 グランパスも28分、ゼルビアDFのバックパスをFWシモビッチが詰めると、GK高原のキックを身体に当てる。こぼれ球を拾ってシモビッチがシュート。GK高原ブロック。はね返りをシモビッチがシュート。またもGK高原がセーブ。玉田のCKにCB櫛引がヘディングシュート。しかしDFに当たってコースを外れる。惜しいチャンスを逃すグランパス。その後は攻め込んでのミスからゼルビアにカウンターを許す場面もあったが、何とか前半はグランパス1点リードで折り返した。

 後半1分、ゼルビアのCH井上がロングシュート。士気を高めると、7分にはFW吉田が仕掛ける。縦パスをCH森村が落として、左SH谷澤がシュート。GK楢崎がファインセーブではね返した。グランパスも10分、左SH和泉の縦パスを受けた右SH玉田が左に流して、CH田口がシュート。GK高原がナイスセーブ。はね返りを右SH玉田がシュートするが、これもGK高原が弾き出す。12分にはFW杉森の落としから左SB内田がドリブル。左SH和泉がクロスを入れるが、FWシモビッチに届かない。17分、右SH玉田のスルーパスに走り込んだFWシモビッチがクロス。右SB宮原の落としをFW杉森がシュート。しかしサイドネット。27分には右SB宮原のパスを右SH玉田が落とし、走り込んだ宮原のクロスにFWシモビッチがヘディングシュート。しかしうまく当たらない。グランパスが攻めていくが、なかなかゴールが決まらない。

 ゼルビアは20分FW吉田に代えて長身の戸島、29分には右SH吉濱に代えて重松を投入する。すると31分、左SB松本の縦パスにFW戸島が左サイドを抜け出し、クロスに左SH谷澤がボレーシュート。これが決まり、ゼルビアが同点に追い付く。放送ではゼルビアの後半30分過ぎのゴールが多いことを再三話していたが、まさにそのとおり、30分を過ぎるとすぐ、ゼルビアがゴールを挙げた。すごい。これでゼルビアが勢い付く。

 グランパスは34分、FW杉森に代えてフェリペ・ガルシアを投入。しかしこのゲームの杉森はよかった。積極的に仕掛け、ゴールを狙った。さらに38分には右SH玉田に代えて左SH杉本を投入する。玉田もよくボールに絡んだが、後半以降は疲れから雑な場面もあった。だが玉田よりも和泉の方がイマイチ機能していなかったように思う。交代出場すると、突貫小僧の左SH杉本が躍動する。39分、左SH杉本の縦パスをFWシモビッチがキープ。右SH和泉がつないで、左SH杉本がシュート。はね返りをCHワシントンがミドルシュートを放つが、これもDFにブロックされた。

 40分にはCH田口のクロスに左SB内田がアクロバティックなヒールシュート。しかしわずかにバーを越える。さらに45分、CHワシントンのクロスにFWシモビッチがトラップから反転してシュート。しかしゴール前にいたCB櫛引に当たった。そしてアディショナルタイムに入る。またこのゲームも勝利はないのかと諦めかけたアディショナルタイム2分、左SH杉本の積極的な仕掛けからクロスに、FWシモビッチが胸で押し込む。ゴール。土壇場でグランパスが勝ち越し点。そしてタイムアップ。何とかぎりぎり、グランパスが決勝点を挙げて勝ち切った。

 このゲームは攻撃も長いパスが回り、うまく展開していたと思ったが、ゴールが遠い。そして後半30分にはゼルビアに追い付かれ、またダメかと思った直後、シモビッチが劇的なゴールを挙げた。これで何とか首位との勝点差は3に留め、順位も5位に上げた。4バックの方がうまくパスが回っていた。また杉森のFW起用もよかった。次はまた、愛媛FC横浜FCとアウェイゲームが続く。今度こそ勝利を挙げて笑顔で帰ってきてほしい。特に横浜FC戦は前半の山場と言えるかもしれない。

退職記念旅行は、東北でよかった(その4)

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その3)」から続く。

 首もスッキリして、さあ次に目指すは秋田だ。村上を出て日本海に沿って北上する。「笹川流れ」は村上市から北へ延びる奇岩などが続く海岸線だが、車を停めるところが少なくあっという間に通り過ぎる。途中、「日本国」という案内があったが、後で調べると、そういう名前の山だった。そして山形県に突入。少し疲れて、道の駅あつみで休憩する。コーヒーを飲み、藻塩などを購入。それから日本海東北道に入って30分、鶴岡市街に入っていく。

 まず向かったのは鶴ヶ岡城址公園。でもうまく駐車場が見つからず、ぐるっと回って致道博物館に入ることにした。ここは旧西田川郡役所や旧鶴岡警察署庁舎などが移築されており、博物館になっている。ただし、旧鶴岡警察署庁舎は工事中。他に、旧庄内藩主御隠殿、旧渋谷家住宅(屋根の形が面白い)、そして酒井氏庭園など。庄内藩主は酒井忠次の三代忠勝が移封されてから200年以上にわたり酒井家が収めていた。それから藩校「致道館」へ。その手前にある現代的な建物は鶴岡アートフォーラム。設計は山形の東北芸術工科大学名誉教授の小沢明だ。ちょうどダリ展をやっていて、大きな垂れ幕が建物の無機質な外観とよく似合っている。そして「致道館」は庄内藩の藩校。広い講堂には学校らしい質実剛健さが感じられた。

 さらに城址公園の東を上がっていくと、旧風間家住宅「丙申堂」がある。あまり期待せずに入館料400円を払うと、これが入ってよかった。ガイドのおじさんが懇切丁寧に説明してくれる。風間家は18世紀に商人として村上から鶴岡に移住して以来、藩の御用商人として財を成し、大正になってからは現在の荘内銀行につながる風間銀行を設立している。「丙申堂」は明治29年丙申の年に建てられた住居兼事務所で、映画「蝉しぐれ」の撮影が行われた小座敷、長い1本物の杉材が使われている「通り」、そして約60畳と広い「板の間」は小屋裏の梁が下部は洋風のトラス構造、上部は和式の小屋組みとなっている。また2階に上がると屋根が見えるが、これが「杉板葺きの石置き屋根」。これはめずらしい。最後にビデオを観て見学は終わるが、ガイドのおじさんが謙虚でありながら詳しく説明してくれる。鶴岡といえば内田樹の故郷だなと思う。何となく顔の造りが内田樹に似ているような気がする。もっとも内田樹のお兄さんは昨年夏に亡くなっている。

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 同じ入館料で少し歩いて風間家旧別邸「無量光苑 釈迦堂」へ行く。そこへ案内する女性も親切。クルマのナンバープレートを見て、「小牧といえば小牧長久手の戦い。鶴岡の殿様、酒井家は三河から来た」と話をした。「釈迦堂」は名前から寺院かと思ったら、九代目当主が石仏釈迦像を床の間に安置したことから命名。来賓接待用の別邸だ。建物もすばらしいが、お庭も見事。桜はやや遅かったが、八重のサザンカが咲いていた。

 お腹が減った。予定ではボリューム満点の定食屋「みどり食堂」へ行く予定だったが、何とお休み。それで仕方なく、また致道博物館まで戻って、駐車場前のカフェ「Zupperia 庄内藩 しるけっちゃーの」で食事。孟宗汁セットと季節の小鉢が付いたランチセット。いずれも大ぶりな汁物がついて、これがうまい。みどり食堂が閉まっていて大成功だったかもしれない。

 それから酒田の山居倉庫へ向かう。30分位。川運で集めたコメを運び出す米穀倉庫で、今も現役。川に沿った東側は三角の白い妻面を見せる倉庫棟とその手前に庇がきれいに延びている。裏側になる西側は、ケヤキ並木に黒い縦板張りの外壁が続き、すばらしい景観を見せている。しばし買い物をしてから、北の端まで歩いて「庄内米歴史資料館」に入る。おしんのロケのことが説明されているかと思ったが、ポスターが貼ってあるくらいで特段の説明はない。残念。入館と引き換えにバケツ稲づくりセットをもらった。

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 4時前に山居倉庫を出て、北へ向かう。まだ先は長い。正面に鳥海山がきれいだ。途中、象潟の道の駅「ねむの丘」で休憩。さらに北上。途中から日本海東北道に乗って秋田市街に入る。この日は遅くなるだろうと思ったのでビジネスホテル「ホテルパークシティ秋田川反」を予約。二人で10400円は安かった。

 まずは千秋公園の桜まつりに行こうと思ったが、けっこう遠くて、でも暗くて、小雨模様だったこともあり途中で挫折。ホテルでもらった割引券を持って郷土料理の店「秋田杉」に入る。カウンターと小座敷が4テーブルだけのこじんまりした店で、太ったおじさんが黙々と調理している。秋田まるごとセットを頼み、追加でしょっつる鍋を一つ。丁寧に作られた料理は、特にきりたんぽ鍋としょっつる鍋がおいしかった。二人で9000円弱はまあ仕方がないだろう。

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その5)」に続く。

フットボール批評 issue16

 久しぶりに「フットボール批評」を買った。昨年8月に第12号から1冊1620円にアップ。さすがにそこまでの価値はないだろうと購読を止めたが、3月に定期購読の案内メールがあった。初回半額。しかも隔月だった発行が、昔の季刊に戻っている。季刊で1620円なら許されるか。

 購読を止めてからサッカー本もほとんど読んでいない。サッカー本関係の情報がない。フットボール批評の読者プレゼントでもらう本が楽しみだったが、「おっ、なんとプレゼントの中に本がない」。やはりまだ昔に戻っていない。経営的に厳しいのかな。サッカー本関係の情報も少ない。当たらなくてもいいから読者プレゼントに本を復活してほしいなあ。

 それで内容だが、昔どおりというか、まあ満足できる内容です。サンフレッチェの千葉選手のドーピング問題、そしてV.ファーレン長崎の経営問題など、フットボール批評ならではの記事もあって、うれしい。そして技術論・戦術論としては、風間八宏大木武小林伸二のインタビュー記事が興味深かった。林彰洋のインタビューも。

 次号は8月。その頃にはヨーロッパリーグも終わり、Jリーグも中盤に差し掛かる頃。W杯最終予選もイラク戦を終え、先が見えてくるはず。今年はDAZNを初めて、これまでよりも多くサッカーをビデオ観戦できるようになった。次号のフットボール批評にも期待したい。

 

フットボール批評issue16

フットボール批評issue16

 

 

〇感覚を感覚のまま放置するのではなく、こうやって蹴る、そのためにボールをここに置く、それをはっきりと認識しておくことが重要だ。・・・感覚だけなら偶然で終わってしまうかもしれないが、それを必然として手の内に入れることができる。ともかく、止める場所は蹴るための場所ということになる。/風間さんの理論は「革命」とも呼ばれる。だが、本当は革命というより再定義なのだ。/ボールを扱う、体を扱う、相手を扱う。これはかつて「3B」と教えられたことの言い換えである。(P027)

〇今の日本代表はロングボールを使う縦に速いサッカーを志向している。・・・だが、それが日本の武器になるとは思えない。今もそうであり昔もそうであったように、将来も日本は敏捷性や持久力、団結力を生かして緻密なパスをつなぐ集団的なサッカーを目指すべきだ。/ハリルホジッチ監督の目指しているのは、それとは違う。彼は、どうやら日本のサッカーを欧州化しようとしているようなのだ。(P035)

〇今回も選手のために献身的に動き回った寛田ドクターは結果責任を取らせるかたちでサンフレッチェのチームドクターの任を解かれたという。・・・まさに余人をもって代えがたく、本来はチームが守るべき人材であった。・・・私には、選手からも他チームのドクターからも信頼の厚かった寛田の不在が、今季のサンフレッチェの不振に繋がっていると思えてならない。(P135)