とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第14節 ベガルタ仙台対サンフレッチェ広島

 第10節でFC東京に初黒星を喫したが、その後もまた3連勝。第13節にして既に2位との勝ち点差を8としたサンフレッチェ。今節は7位ベガルタのホームへ乗り込んだ。ベガルタも一時は4試合勝ちなしだったが、前節はベルマーレに3-1で勝利。ミッドウィークのルヴァン杯マリノスに4-2で勝利して、再び調子が上向いてきた。首位サンフレッチェを叩いて、さらに勢いを付けたいところ。ベガルタは石原と西村の2トップに中野と奥野がトップ下に並ぶ3-5-2の布陣。左WBには6年ぶりにベガルタに戻った関口が先発した。一方のサンフレッチェはいつもの4-4-2。稲垣がボランチに入って、右SHには柴崎。渡がパトリックと並んでFWに入った。

 開始3分、左WB関口のクロスにFW西村がミドルシュート。序盤、ベガルタが積極的に攻めていった。サンフレッチェも6分、柴崎のCKにCB野上がヘディングシュートを放つと、9分にはCH青山がミドルシュートを放つ。しかしベガルタの勢いが止まらない。11分、右WB蜂須賀がDFをかわしてクロスを入れると、FW石原がスルーしてFW西村がシュート。そして12分、FW石原から右に流して、右WB蜂須賀のクロスにゴール前に右IH奥埜とFW西村が入っていく。DFのブロックを奥埜が拾うと、DFを背負って反転からシュート。これが決まり、ベガルタが先制点を挙げた。サンフレッチェが第10節FC東京戦以来の失点を喫する。

 その後もベガルタは両WBが積極的に仕掛け、クロスを入れていく。22分、左WB関口の落としから、左IH中野のクロスを右WB蜂須賀が落とし、FW石原が走り込む。DFがブロック。サンフレッチェは柴崎と柏の両SHの位置を入れ替え、攻撃に変化を付けようとする。35分、右SB和田のクロスをFWパトリックがヘディングで折り返すと、CB野上の落としにCB水本がシュート。37分、FWパトリックの戻しをCH青山がダイレクトで縦へ。FW渡が反転からミドルシュートを放つ。攻めるサンフレッチェ。そして41分、右SH柴崎がFKを縦に入れると、DFが4人ほど集中しているところへFWパトリックが割って入ってヘディングシュート。これがふわっとGKを越えてネットを揺する。ゴール。サンフレッチェが同点に追い付いた。

 前半終盤はまたベガルタが攻める。44分、右WB蜂須賀のクロスにFW石原がゴール横へ走り込むが、中へのパスはゴール前を通過していく。アディショナルタイム47分、左WB関口が右SB和田をかわしてクロス。右IH奥埜がヘディングシュートを放つが、バーを叩いて外れていった。1-1。前半は同点で折り返した。

 後半1分、FW渡が反転からミドルシュート。序盤、サンフレッチェが攻めていく。ベガルタも9分、右WB蜂須賀がドリブルで左SB佐々木をかわし、クロスに右IH奥埜がシュート。しかしGK林がナイスセーブ。しかしその後はサンフレッチェがペースを握る。13分、柴崎のショートCKから左SH柏がクロス。CB野上がヘディングシュート。16分、左SH柏のドリブルから縦パスをDFがこぼしたところを柏が再び拾ってミドルシュート。ゴールがほしいサンフレッチェは17分、FW渡に代えてティーラシンを投入。ベガルタも18分、左WB関口に代えて永戸を投入する。

 そして26分、左SH柏がCH青山とのワンツーで走り込むと、カットインから右足一閃。ミドルシュートがゴールネットに突き刺さる。サンフレッチェが勝ち越し点を挙げた。ベガルタは直後、CH富田に代えて板倉を投入。29分、左SB佐々木の縦パスからFWパトリックがドリブル。右に流して、FWティーラシンのクロスにパトリックが走り込む。ここはDFがクリア。31分、ベガルタは奥埜に代えてCHリャンヨンギを投入。3-4-3にして反撃する。サンフレッチェも32分、柴崎に代えてCH吉野を投入。守備を固める。35分、右WB蜂須賀のクロスに左FW中野がシュート。右SB和田がブロック。40分にはCH青山に代えて左SH川辺を投入する。

 その後、ベガルタがサイドからゴール前にクロスを3本続けるが、どれもGK林がキャッチした。そして44分、右SB和田の縦パスに走り込んだFWパトリックがDFに挟まれながらも意に介さずシュート。ダメ押しの3点目。そしてタイムアップ。3-1。先制されてもしっかりと3点を取り返して、サンフレッチェが勝利した。

 強い。この強さは本物。守りだけでなく、攻撃もこれで4試合複数得点を続けている。この勢いがどこまで続くのか。W杯出場選手もいないようだし、中断明け後も大きく崩れることはないだろう。

J1リーグ第14節 V・ファーレン長崎対名古屋グランパス

 8連敗の後、2試合続けてのドロー。ようやく調子が上向いてきたグランパス。今節の相手は3連敗中のV・ファーレン。ここで勝利して何とか最下位から脱したいところ。しかしホーシャがまたケガでベンチにも入らず、CBは新井をセンターに宮原と櫛引の3バック。小林裕紀も累積で出場停止。ボランチはワシントンと長谷川アーリアジャスールで組み、東海大学からの特別指定選手、榎本が3トップの一角で先発した。対するV・ファーレンは中村慶太とファンマの2トップに澤田がトップ下。黒木と中原のダブルボランチが効いていた。

 開始2分、左FW榎本が思い切ったミドルシュート。榎本はゲームを通じて、積極的にプレーした。だが3分、右サイドでFWファンマが起点を作ると、最初は左CB櫛引が対応。CH長谷川に引き継いだが、ややマークを離したところで前を向かれ、クロスにFW中村がシュート。V・ファーレンが先制点を挙げた。中村慶太の走り込みがよかったとはいえ、3バックの連携ミスを突かれた感じ。4分には左WB翁長のクロスに左CB田上がミドルシュート。その後はV・ファーレンがペースを握り、ゲームを支配する。

 14分、右WB飯尾のクロスにFWファンマがシュート。22分、OH澤田がドリブルからミドルシュート。そして29分、FW中村のパスにFWファンマがフリー。GKと一対一でシュート。だがGKランゲラックがファインセーブ。続く32分、FWファンマのスルーパスにOH澤田が抜け出してシュート。これもGKランゲラックがスーパーセーブで弾き返す。グランパスはようやく33分、右FWシャビエルの縦パスからCFジョーミドルシュートを放つが、枠を捉えられない。逆にアディショナルタイム46分、FW中村のミドルシュートがバーを叩く。はね返りをCH中原が詰めてシュートを放つが、これもGKランゲラックがファインセーブ。前半はGKランゲラックの大活躍が目立つゲーム。V・ファーレンが1-0のリードで折り返した。

 グランパスは後半頭に左WB秋山に代えてCB菅原を投入。布陣を4-4-2にして、榎本が左SHに下がる。だが3分、V・ファーレンはCH中原の縦パスをOH澤田が落とし、FW中村が右に振って、右WB飯尾がシュート。FW中村に当たったが、V・ファーレンがいい攻撃を繰り出す。すると直後の4分、中盤でボールを持ったCHワシントンが出し所なくバックパス。しかしこれをFWファンマがカットして、ドリブルから右に流して、FW中村がシュート。今度はGKランゲラックの右手下を抜いた。V・ファーレンが後半も幸先よく追加点を奪う。

 V・ファーレンのプレスの前にパスが展開できないグランパス。少し逡巡するとあっという間に2人・3人に囲まれる。それでも次第にV・ファーレンの陣地でパスが回るようになってくると、14分、CHワシントンの縦パスをCFジョーが受けて、ヒールで落として右FWシャビエルがミドルシュート。強烈だったが、GK徳重の正面。はね返した。さらに攻め込むグランパス。21分には青木に代えて和泉を投入。布陣もワシントンをアンカーに置く4-3-3。28分には右FWシャビエルのCKにCB菅原がニアに走り込んでヘディングシュート。だがこれは枠を捉えられない。

 V・ファーレンも26分、FWファンマに代えて鈴木武蔵を投入。グランパスは29分、CHワシントンに代えて玉田を投入。長谷川をアンカーに下げた。だが31分、左WB翁長が右SB宮原をかわしてクロスを入れると、FW鈴木武蔵が見事なヘディングシュート。V・ファーレンが3点目を挙げた。グランパスは33分、左FW榎本がドリブルからミドルシュートを放つと、35分、CH和泉のミドルシュートはバーを叩く。38分、右FWシャビエルのFKは枠を捉えられない。39分、左FW榎本のクロスにCFジョーがシュートを放つが、GK徳重が抑える。結局最後までV・ファーレンの守備を崩すことができず。3-0。V・ファーレンが快勝したゲームだった。

 結局またも3失点。2連続ドローでいい兆しが出てきたかと思ったら、ホーシャの欠場にまたも守備が崩壊。しかし突然の3バックも問題がある。このところ風間監督は早め早めに選手交代をするが、それもゲーム前にしっかりと形を詰め切れていないことを物語る。そしてさらに混乱する選手たち。シャビエルも青木も不調。ジョーもますます落ち込んできた。一人、榎本が気を吐いたが、ワシントンはいつものポカ。また連敗中のグランパスが戻ってきてしまった。次のレイソル戦でようやくW杯の中断に入る。中断中に立て直すことができるだろうか。風間サッカーに対する評価が必要ではないか。

すべての新聞は「偏って」いる

 メディアとの付き合い方、メディア・リテラシーの重要性と今後のメディアのあり方、ウェブ言論の将来性などを語る。ただし、あとがきでも書かれているように、一直線にメディア・リテラシーを語るのではなく、アンケートや新聞データベースの分析などにより、多くのデータを集め、データを中心に語っていく。それが、筆者にとっては納得感があるようだが、読者にとってはやや隔靴掻痒の感がある。

 第1部「新聞はいかにして『偏る』のか」では、主要5紙の偏りについてデータで示すが、イマサラ感がしないでもない。購読紙が世襲され、その結果、思想も世襲される可能性についての記述は面白い。第2部では「メディアと政治の距離」。安倍政権がこれまでの自民党政権に比べ、必ずしもメディアとの距離が頗る近いというわけではないことがデータで示されている点は興味深い。政治の世界のセクハラに関するアンケートはさもありなん。

 そして第3部「これからのメディア」では、軽減税率報道にみる新聞報道の偏り、書評ジャーナリズムの可能性などを綴る。そして最後の章「社会運動とメディア」では、ネット上で数秒間だけの行為の集合が世論を作り、社会運動となっていく可能性を語る。この部分は面白い。「これからのメディア」論についてはまだまだいろいろなことが考えられそうだ。

 本書は荻上氏が日頃の編集活動や評論活動などの中で感じたことを、データの裏付けを取りながらまとめていったものだ。メディアに関わりつつも少し引いた位置でメディアを分析していく視点は貴重であり、重要だ。これからもこうしたメディア論を期待したい。

 

すべての新聞は「偏って」いる  ホンネと数字のメディア論

すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論

 

 

○国内では「連行時の強制性」のみこそが最重要論点であるかのよう・・・だが、それをそのまま海外で主張すると間違いなく「自爆外交」化してしまうので注意が必要だろう。/慰安婦問題について、歴史学者フェミニストなどは、「戦時性暴力」として普遍化し・・・ている。・・・そもそも、「慰安婦」という表現そのものが、もともと日本国内でのみ通用する「タテマエ」だったことを忘れると、この問題は理解できない。(P40)

○稲田は「道義国家」と何度も口にするが、そもそもそのような言葉は原文に存在しない。この言葉は実は、天皇の色合いを覆い隠すかのように改変された、戦後の「現代語訳」に登場する言葉である。おそらく稲田は、教育勅語の原文を読んでいないか、読んだが理解できていないかのどちらかだ。/こうした一連の出来事は、一部の人が口にする「愛国」が、あくまで「保守趣味」的なもの、あるいは「愛国ビジネス」的なものであること。そして、教育勅語などの記号に特定の反応を表明することで、選民意識と同調性を強めているにすぎないのではないかという疑念を抱く。(P47)

○他人(国民)はメディアの影響を受けやすい。だからそのメディアを自分好みにコントロールしたい。そんな欲求を、政治家は一般人よりも強く持っているとも言える。/そして、実際に権力を持った政治家は、その立場を使い、時に圧力をかけ、時にリークを行い、時に出力を絞ることで、メディアの影響力を「最適化」しようとこころみる。/報道機関および市民は、権力者に選別された情報の一方的な受け手であってはならない。調査報道などに基づいた積極的な検証や問題提起が、これからますます求められている。(P149)

○右でも左でも、他者の理性への冷笑は、時として情念的な扇動と結びつく・・・。/こうした点を考える際、ニコニコバイアスなどの可視化は、むしろ有意義でさえある。・・・ウェブサイト利用者などの傾向を俯瞰することで、「私たちが何をやっているのか」を自覚することができるためだ。データという地図を頼りに、脆弱な民主主義と向き合っていくこと。その作業は、まだまだ発展途上でもある。(P191)

○かつての運動が、活動家の献身的なコミットを求めたのに対し、ポスト社会運動は、人々の数秒ずつの行為を集積して巨大化する。・・・人々は、日常の中で数秒間だけ関心を持ち、「シェア」「コメント」などの「行為」を刹那的に行うことで、ひとつのタイムラインを形成していく。・・・意図や目的を共有する「集団」と異なり、「集合」はただのまとまりにすぎない。しかし、人々にフルのコミットを要求しないからこそ、集合は柔軟に、大きな力をもつことがある。(P238)