とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯準々決勝 スウェーデン対イングランド

 準々決勝3戦目はスウェーデンイングランド。高さを生かして守り、フォルスベリを中心とした速攻でゴールする。ドイツには2失点したものの他の3試合は無失点。堅守のスウェーデンに対してイングランドはここまで無失点ゲームはない。スウェーデンは出場停止のルスティングに代えて右SBクラフトを先発させた他はほぼこれまで同様のメンバー。FWには高さのあるトイボネンとベリが並ぶ。一方、イングランドもコロンビア戦と同じ先発。ケガが心配されたアリもリンガードと並んでIHに入った。

 前半序盤からお互い守りを意識した膠着したサッカーが続く。それでもスウェーデンの方がやや前への意識が高く、プレスをかけてくる。12分、右SHクローソンがミドルシュートイングランドも19分、FWスターリングのドリブルからFWケインがミドルシュートを放つ。その後はイングランドも次第にパスを回して前に出てくる。そして30分、左WBヤングのCKにCBマグワイアがヘディングシュート。イングランドが先制点を挙げた。するとイングランドもようやく重荷が外れたように攻め始める。35分にはCHヘンダーソンミドルシュート。45分、CHヘンダーソンの縦パスにFWスターリングが抜け出して、GKと一対一。だがGKオルセンにセーブされ、こぼれ球をシュートするが、DFにブロックされた。堅い内容のまま、前半を終えた。

 後半2分、スウェーデンの左SBアウグスティンソンのクロスにFWベリがヘディングシュート。しかしGKピックフォードがファインセーブ。後半に入り、スウェーデンも攻め始める。だが後半はイングランドも前からプレスをかけていく。12分には左IHリンガードがミドルシュート。DFがブロックするが、続くCKの流れの中からもう一度、リンガードがミドルシュート。DFに当たって右に流れたボールを右SHトリッピアが拾うと、戻したボールをリンガードがクロス。IHアリがヘディングシュートを決めて、イングランドが2点目を挙げた。

 直後の17分、スウェーデンも攻める。DFからのフィードを受けた右SHクローソンがドリブル。FWトイボネンのクロスをFWベリが落とし、クローソンがミドルシュート。だがGKピックフォードがスーパーセーブ。はね返りをもう一度クローソンがシュートを狙うが、CHヘンダーソンがブロックした。スウェーデンは20分、FWトイボネンと左SHフォルスベリに代えて、FWグイデッティと左SHオルソンを投入する。

 24分、FWスターリングのドリブルからクロスのこぼれを右IHアリがシュート。スウェーデンも27分、GKオルセンのフィードを競り合ったこぼれ球を右SHクローソンが受けて、スルーパス。FWグイデッティが走り込んで、クロスにFWベリがシュート。しかしこれもGKピックフォードがファインセーブ。その後、スウェーデンは40分、右SBクラフトを下げてDFヤンソンを前線に投入。3バックにしてパワープレーをかけるが、イングランドは余裕を持って守り切った。2-0。イングランドが勝利し、準決勝進出を決めた。

 内容的には順当な結果。スターリングやリンガードら背の低い選手が走り回って、サッカーに変化を付けた。その点がスウェーデンと違うところ。だが次に戦うクロアチアモドリッチのようなゲームメーカーがいない。それでもクロアチアは2試合連続の延長・PK戦で、選手たちはかなり疲弊している。25歳以下が大半と若いイングランドが熟練した選手が中心のクロアチア相手にどこまでやれるか。彼らの奮闘を期待したい。

W杯準々決勝 ブラジル対ベルギー

 今大会、輝きを放つかと思われた期待の若手が二人。フランスのエムバペとブラジルのジェズス。だがジェズスはここまでノーゴール。動きの質の高さなどは評価が高いが、結局、最後までゴールが遠かった。これがブラジル敗退の大きな要因の一つではないか。日本戦をギリギリで下してベスト8に進出したベルギーに対して、ブラジルはメキシコを余裕で退けた。カゼミーロの出場停止は気になるが、ブラジルの方が優勢かと思っていた。ブラジルはアンカーにフェルナンジーニョを入れるとともに、左SBにはマルセロが戻ってきた。CFジェズスの爆発を期待した。対するベルギーは日本戦で途中から出場して逆転につなげたフェライニとシャドリが先発。二人がヴィッツェルと連動してIHに入り、DFを右からムニエ、アルデルウェイレルト、コンパニー、フェルトンゲンと4バックで組んできた。また前線もデブルイネをトップ下に左FWアザール、右FWルカク。かなりブラジルを研究した布陣だ。

 開始2分、OHデブルイネがミドルシュートを放つと、ブラジルも8分、左SHネイマールのCKをCBミランダがフリック。CBチアゴ・シルバに当たったボールはポストにはね返された。しかしその直後、ベルギーがカウンター。FWルカクがドリブルで運び、OHデブルイネの落としからFWアザールがシュート。DFのはね返りを左IHシャドリがミドルシュート。わずかにポスト左に外れる。ブラジルも10分、右SHウィリアンのCKに右IHパウリーニョがシュート。しかしうまく当たらない。

 序盤からお互い積極的に攻めて決定機を作っていく。非常に面白い。そして13分、OHデブルイネの縦パスに走り込んだ右IHフェライニがシュート。これで得たCKを左IHシャドリが蹴ると、ニアにCBコンパニーが走り込んでフリック。これがCHフェルナンジーニョの肩に当たってゴールに吸い込まれた。ゴール。ベルギーが先制点を挙げた。

 するとこれでブラジルの攻撃がさらに強まる。15分、左SHネイマールのドリブルからクロスにCFジェズスがシュート。だがCBコンパニーがブロック。19分、左IHコウチーニョミドルシュートはGKクルトワがキャッチする。26分、左SBマルセロのミドルシュートもGKクルトワがナイスセーブ。30分、右SHウィリアンのFKのクリアをCHフェルナンジーニョが拾うと、左SHネイマールミドルシュート。しかし続くCKからベルギーがカウンター。FWルカクがドリブルでボールを運び、右に流して、OHデブルイネがシュート。ベルギーが追加点を挙げた。

 さらに攻めるブラジル。36分、左SBマルセロのクロスにCFジェズスがヘディングシュート。37分、左IHコウチーニョミドルシュートはGKクルトワがファインセーブで弾き出す。逆にベルギーも41分、OHデブルイネのFKをGKアリソンがナイスセーブ。続く左IHシャドリのCKにCBコンパニーがニアに走り込んでヒールシュート。だがGKアリソンがセーブした。前半を終わって2-0。ベルギーが予想外のリードを持って、前半を折り返した。

 するとブラジルは後半頭から右SHウィリアンに代えてFWフィルミーノを投入。ネイマールをFWに上げて2トップにし、ジェズスは右SHに下げる。4-4-2。攻めるブラジル。守るベルギー。4分にはFWネイマールからボールを奪ったCBコンパニーがドリブルで持ち上がり、OHデブルイネから右に流してCFルカクが走る。だがCBミランダがナイス守備。FWルカクとCBミランダの闘いは終始面白かった。6分には左SBマルセロのクロスにFWフィルミーノが飛び込むが、わずかに届かない。

 10分、右SBファグネルのスルーパスにCHパウリーニョが走り込み、シュート。ブラジルが攻める。13分には、右SHジェズスに代えてドウグラス・コスタを投入する。しかしベルギーの守備は堅い。4人のDFの前に3人のMF。中央はなかなか破れない。そしてカウンター。17分、左SHコウチーニョからボールを奪った左IHシャドリがドリブルで上がり、OHデブルイネが左に流して、FWアザールがシュート。ブラジルもその直後、右SHドウグラス・コスタが仕掛けてシュート。だがGKクルトワが立ちはだかる。ナイスセーブ。26分にも右SHドウグラス・コスタがミドルシュート。GKクルトワがキャッチ。ブラジルは28分、CHパウリーニョに代えてレナト・アウグストを投入。30分にも右SHドウグラス・コスタのドリブルからシュート。しかしこれをGKクルトワがナイスセーブ。

 そして31分、左SHコウチーニョのループ状のスルーパスにCHレナト・アウグストが走り込んで、ヘディングシュート。ついにブラジルが1点を返す。これでどうなるかわからない。ブラジルがますます攻撃を強める。33分には左SHコウチーニョから左に流して、FWネイマールのクロスにFWフィルミーノが反転してシュート。しかし枠を捉えられない。36分、左SHコウチーニョから右に流して、CHレナト・アウグストがシュート。これもわずかにポストの左に外れる。

 ベルギーは38分、左IHシャドリに代えてCBフェルメーレンを投入。フェルトンゲンを左IHに上げて、さらに守備を固める。39分、CHフェルナンジーニョのボールカットからFWフィルミーノが左に流し、FWネイマールがドリブル。クロスを入れるが、走り込んだ左SHコウチーニョがうまくシュートを打ち切れない。右に大きく外す。ベルギーは42分、FWルカクに代えてティーレマンスを投入。アディショナルタイム46分、右SBファグネルのクロスにFWネイマールが右SBムニエと競りながら飛び込んで倒れるが、PKは取らない。さらに49分、右SHドウグラス・コスタのクロスをFWネイマールミドルシュート。しかしこれもGKクルトワがファインセーブで弾き出す。最後は続くCKにFWフィルミーノがヘディングシュートをするが、これも枠を外す。そしてタイムアップの笛。2-1。ベルギーが前半のゴールを守り切り、ブラジルに勝利した。すごいゲームだった。

 ベルギーはフェライニ、シャドリと守備を強化した作戦が当たった。そして強固な守備から必殺のカウンター。FWルカクはCBミランダが何とか抑えたが、ついにデブルイネが爆発した。一方、ブラジルはネイマールががんばったものの、ジェズスは最後まで不発。それなら最初からフィルミーノをワントップに起用する手もあったように思うが、今さら言ってもしょうがない。結局、ルカクのようなストライカーの有無がベルギーとの差を分けた感じ。ベルギーの次はフランス。攻撃力はベルギーの方がバラエティに富んでいるが、守備力はフランスの方が上だろう。隣国同士の歴史的確執がいろいろありそう。意地の戦い、面白い勝負になりそうだ。

W杯準々決勝 ウルグアイ対フランス

 スアレスとユムティティ、グリーズマンとゴディンとヒメネス。同じクラブに所属する選手同士がそれぞれのチームの主力として対戦するカード。だが、エムバペと同じパロ・サンジェルマンに所属するカバーニポルトガル戦で左ふくらはぎを痛め、ベンチにも入れない。カバーニの不在が大きく響いたゲームだった。ウルグアイカバーニ代わってFWストゥアニが先発。スアレスと2トップを組み、トップ下にはベンタンクール。トレイラをアンカーに右SHナンデス、左SHベシーノのダイヤモンド型中盤はポルトガル戦と同じ。ヒメネスが復帰したDF陣も同様だ。対するフランスは左SHにトリッソが先発。カンテとポグバがダブルボランチを組む4-4-2。グリーズマンがFWでジルーと並び、エムバペが右SH。DF陣はアルゼンチン戦と同じだ。

 5分、FWストゥアニがシュートを放つと、ウルグアイは序盤から積極的に攻めていった。だが、しばらくするとフランスが攻勢。そしてさらにウルグアイ。お互いボールを持つとなかなか取られず、しっかりと攻め切る。14分、CHトレイラのCKにCBヒメネスがヘディングシュート。GKロリスがナイスセーブすると、15分にはフランスも、右SBパバールのクロスをFWジルーがヘディングで折り返し、右SHエムバペがヘディングシュート。だがややタイミングが合わず、バーの上を越えていった。

 エムバペはボールを持つと圧倒的なスピードで突破を図り、囲まれていてもテクニックで抜き去ろうとするが、さすがに警戒するウルグアイDFが完全にやられることはない。19分、CHポグバがミドルシュートウルグアイは36分、CHトレイラのスルーパスにCFスアレスが走り込み、クロスに左SHベシーノがミドルシュートを放つ。そして40分、左SHトリッソの仕掛けをOHベンタンクールが倒して得たFKをFWグリーズマンが蹴ると、CBヴァランがヘディングシュート。フランスが先制点を挙げた。グリーズマンはいったん蹴ると見せかけて止めて、もう一度動き出してのキック。用意されたフェイクだろうが、それがしっかりと決まった。

 その後、ウルグアイも反撃する。42分、CHトレイラのCKのこぼれを右SHナンデスがミドルシュート。44分にはCHトレイラのFKを右SBカセレスがヘディングシュート。決まったと思ったが、GKロリスがスーパーセーブ。ゴールを許さない。前半は1-0、フランスのリードで折り返した。

 後半に入って、フランスが前から積極的にプレスをかける。3分、GKムスレラにFWグリーズマンがプレスをかけてあわやのシーンを作ると、5分、右SHエムバペの鋭く速いFKがゴール前に入る。CHポグバが飛び込むが、GKムスレラがナイスセーブ。だが、エムバペはドリブルだけでなく、FKの精度も高く鋭い。8分にはFWグリーズマンのCKから右SBパバールがミドルシュートを放つが、これは枠を捉えられない。

 ウルグアイも10分、CBユムティティのクリアをカットしたOHベンタンクールがミドルシュートを放つと、14分にはFWスアレスのクロスから右SBカセレスミドルシュート。だが、スアレスも一人ではなかなかいい形でボールに触ることができない。すると14分、FWストゥアニに代えてゴメス、OHベンタンクールに代えてロドリゲスを投入する。しかしその直後の16分、CHポグバがボール奪取からドリブル。パスを受けた左SHトリッソが左に流すと、FWグリーズマンが強烈なミドルシュート。ブレて左下に沈んだボールをGKムスレラが弾こうとするが、うまく当たらない。弾いたボールはこぼれてゴールに転がり込んだ。フランスが追加点を挙げた。

 ウルグアイも必死に反撃する。19分、トレイラのCKのこぼれをOHロドリゲスがミドルシュート。DFに当たったはね返りをもう一度ロドリゲスがシュートを放つが、ポスト左に外れた。その後、右SHエムバペがOHロドリゲスにわずかに当たったとして顔を抑えて倒れる。CBゴディンが近寄って、大したことないだろと起こそうとすると、両チームの選手が集まって紛争状態に。結局、ロドリゲスとエムバペにイエローカードが与えられた。

 お互い集中力も途切れそうな状況だったが、ウルグアイは28分、右SHナンデスに代えてウレタビスカヤを投入。何とか攻撃を活性化しようとする。しかしフランスの守備は堅い。特にカンテが危ない芽をことごとく摘んで、ウルグアイに決定機を作らせない。31分には右SHエムバペの高速ドリブルから落としをFWジルーがシュート。だが枠を捉えられない。35分には左SHトリッソに代えてエンゾンジを投入。ポグバと並んでCBの前に高い壁を作ると、カンテは左SHに出て、ウルグアイの右サイド、SHウレタビスカヤとSBカセレスを抑えにいく。44分にはFWグリーズマンのFKがバーを越える。43分、エムバペに代えてデンベレアディショナルタイムにはグリーズマンに代えてフェキルを投入。最後までスアレスを自由にさせず、決定機を作らせないまま、ゲームを終えた。2-0。フランスが完勝したゲームだった。

 フランスは先制点を挙げた後、GKロリスのスーパーセーブが大きかった。そしてCBとCHの守備が堅い。その上にエムバペやグリーズマンの攻撃力。総合力が高いチームだ。一方のウルグアイカバーニの不在が痛かった。結局、スアレスが中盤まで降りてきてゲームを作らざるを得ず、前線で触ってもいいタイミングで走り込んでくる選手がおらず、孤立する。カバーニがいる状態で両チームのゲームを観てみたかった。とは言っても致し方ない。たとえカバーニがいたところでフランスの総合力は高い。これでベスト4進出。このまま決勝戦まで上がっていけるだろうか。次の準決勝も楽しみだ。