とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

剛よく柔を制す マンU、アーセナルを撃破

 マンUアーセナルの2位・3位決戦。日本柔道の伝統に則し、柔なるアーセナルの勝利を期待したが、剛なるマンUに撃沈。これで首位争いから大きく後退してしまった。
 立ち上がりは3分、セスクからの長いフィードにアルシャビンが抜け出てシュートを放つなどアーセナルが攻め込むが、次第にマンUもペースをつかみだし、7分、ナニからフレッチャーのクロスがルーニーへ、8分にもナニのクロスがゴール前を脅かす。
 対するアーセナルも13分、アルシャビンの長躯ドリブルからシュート。20分にはセスクのパスにアルシャビンがシュートするなど、ほぼ互角の展開。
 しかしマンUは、右サイドに入ったナニが抜群のキレを見せて突破を繰り返し、マンUの攻撃をリードしていく。28分、ラファエルのクロスがナニへ。29分にキャリックのスルーパスに反応したのもナニ? そして33分、右サイドを突破したナニがライン際を中央に切れ込みクロスを上げると、GKアルムニアの触ったボールはそのままゴールに吸い込まれていった。その先にはパクチソンも詰めており、完璧なゴール。
 その直後、アーセナルも攻め込むが密集からのセスクのシュートは弾き返され、中盤で拾ったボールをルーニーが右サイドのナニにパス。ナニのドリブル前進アーセナル選手数人が追いかける中、一人異次元のスピードで駆け上がったルーニーがナニからパスを受けてシュート。衝撃的な追加点だった。
 その後もアルシャビンやソングのシュート、ルーニーからスコールズがポストとなってのナニのシュートと一進一退の攻防の末、前半が終了した。
 後半に入っても同様の攻防が繰り広げられたが、いち早く抜け出たのはマンU。7分、デニウソンからボールを絡め取ったルーニーパクチソンにスルーパス、見事に追加点をあげる。アーセナルも9分、13分とセスク、ソングがミドルシュート。11分にはギャラスのスルーパスからセスクがシュートするが、GKに止められた。
 15分にウォルコット、26分にはエブエとベントナーを入れて攻撃に出たアーセナルが、35分にようやくナスリのクロスからフェルメーレンボレーシュートで1点を返す。その後は37分、41分、45分とCKやクロスからウォルコットフェルメーレンギャラスとヘディング・シュートを放ったが、逆にロスタイムにバレンシアからベルバトフが絡んでのルーニーのシュートもあって、互角の戦いはマンUが3-1で3位アーセナルを突き放す結果となった。
 終わってみれば、両チームの攻防にそれほど大きな差はなかったが、アーセナルがポゼッション重視のパスサッカーを展開する中で、マンUが一瞬のシュート・カウンターから3発。マンUの早さ、強さが目を惹いたゲームだった。
 布陣を改めて見てみれば、アーセナルアルシャビンのワントップにナスリ、ロシツキーがサイドに開き、デニウソン、ソングのディフェンシブ・ハーフにセスクが中央でタクトを振るのに対して、マンUルーニーがワントップで構え、パクチソン、ナニが左右に開き、キャリックフレッチャー、スコールズが中盤を構成する。アルシャービンとルーニーの違いもあるが、セスクに多くが集中するアーセナルに対して、キャリックフレッチャー、スコールズの中盤コンビは誰も特別抜け出ていないが、誰もが平均的に攻撃も守備もこなし、ピッチの中央をカバーしている。
 アーセナルのSBの方がより攻撃的で、デニウソン、ソングの攻撃力をカバーし、ピッチ全体で攻撃を仕掛けるが、マンUは攻守両面で顔を出すルーニーが強烈なアクセントとなり、緩・急・破でアーセナルを上回る脅威を与えている。
 個々の技術ではアーセナルの方が上だが、そのスムーズな連携をマンUが平均的な力で絡め取ったときに爆発的な攻撃力を発揮するという印象。ファンペルシーがいない中、ベンゲルはちびっ子技巧集団によるパスサッカーで今の位置をキープしているが、やはり爆発的な力がなしにトップに立つには厳しい。次はリバプールをはさんで、チェルシーと4強相手のゲームが続くが、どこまで粘れるか。限界が見えてきた気がする。