とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

決定機もなければシュートもない ゼロトップで得点もゼロ

 中国戦、ある程度の苦戦は覚悟していたが、終わってみれば実質負けに等しい引き分け。何より得点が取れないのが痛い。得点どころかシュートが少ないし、そのための決定機もほとんどない(TVなどでは「決定機はあったが」と報じられているが、私にはあれが決定機とは思えない)。逆に中国は基本守りながら攻撃局面では迫力ある力強さを見せつけ、楢崎の好セーブがなければ負けていた。
 ベネズエラ戦で攻撃が中央ばかりに偏ったことを反省してか、このゲームではサイド攻撃への意識付けが高かった。12分には長友から内田への長いサイドチェンジが見られたし、19分にも憲剛から岡崎が右サイドに走り、クロスから玉田がシュート。35分にも憲剛のスルーパスに岡崎がサイドに流れてクロスを上げる。
 この日の布陣は岡崎を真ん中に玉田と大久保が左右に開くスリートップ。両サイドバックが玉田、大久保らとからんでサイドを突破する場面がよく見られた。しかしこの結果、クロスを上げようとしたときには中央に誰もいない。若しくは、苦労してサイドを崩すのに時間をかけ過ぎ、いざクロスを上げようとしたときには中央が詰まっている。そんなこんなで、ボールは回るがなかなか決定機を作ることができず、メリハリのない淡々としたリズムでゲームが進んでいく。
 逆に32分、中国は右からのクロスをDFが弾き返したところを20番が鋭いミドルシュートを放つ。次第に日本は大久保も中盤に消えて、岡崎がサイドに張る実質ゼロトップ。37分、闘莉王のスルーパスに憲剛が抜け出たり、41分には長友が遠藤、玉田と絡んでゴール前まで迫るなど、サイドにこだわらない攻撃も見せ出すが、あまり可能性を感じない。
 ハーフタイムに気合いを入れ直したか、キックオフ直後に憲剛のスルーパスから長友のクロスに大久保がヘッド。3分には遠藤のクロスに岡崎がヘッドで合わせる。そして8分、稲本のサイドチェンジに内田が中央に切り込んでシュートを放つとポストに当たって跳ね返る。これがこのゲーム唯一最大のチャンスにして免機。
 9分には中国に大久保の軽い守備から右サイドを崩され、あわやゴールをいう危ない場面を作られると、23分には攻め込まれたクリアを戻って拾った大久保のプレイはPA内でハンド。しかし身体の陰に隠れたか見逃してもらう。27分にはFKから2番の選手の落しを17番のCFが強烈シュート。そして35分。CKをクリアしようとした長友がハンドを犯し、今度こそ正真正銘PKを取られてしまう。ここは楢崎が最後まで見切った落ち着いた動きで弾き返したが、CBと稲本はともかくとしてその回りの小粒な選手たちの守備には不安を抱く。
 15分前後には平山を投入。19分、遠藤のスルーパスに空振りしてしまったのはご愛嬌として、24分には憲剛のスルーパスに抜け出たり、38分にも内田のクロスを落として大久保のボレーシュートを演出するなど、核となる動きを見せた。惜しむらくは岡崎とのコンビプレイが見れなかったこと。先発で使ってもっとコンビの熟成を図った方がよくないか。
 稲本がアンカーに入り、守備は落ち着いたが、攻撃陣は全然ダメ。前半はボール回しで相手を疲れさせ、後半勝負の予定だったかもしれないが、中盤が攻撃的に出始めた頃には、FWの選手たちが疲れてしまった印象。中国相手であれば、稲本を入れるなら遠藤はいらなかった。守備的に行くのなら攻撃はもっとシンプルな崩しのできるメンバーを考えるべき。
 W杯では守備的に行かざるを得ないとすれば、攻撃陣はもっと違うオプションを考えるべきではないか。岡田監督の頭の中に「俊輔が帰って来れば」という思いがあるとしたら、事態はかなり厳しいと思わざるを得ない。