とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サッカー界の異種格闘技 アーセナル対ブラックバーン

 昨シーズン、ブラックバーンのゲームは全部で3試合見た(らしい)。CBサンバを前線に上げてのペデルセンのロングスローにGKロビンソンのロングフィードで徹底的に高さ勝負、古き良き時代のイングランド・サッカーを展開していたことは、過去の3試合でも理解していたが、このアーセナル戦はまさに真逆のゲーム運びをめざすチーム通しで、これはまるでサッカー界の異種格闘技
 結果は技術と戦術眼に勝るアーセナルが勝利を挙げたが、一歩間違えば逆の結果もあり得た。これが日本代表ならブラックバーン相手にどう戦っただろうか?(中澤のところで崩壊する姿が目に浮かぶが・・・) ゴール数を競うゲームという点では、ブラックバーンのような戦い方も十分脅威になるということがよくわかる。
 立ち上がり3分、さっそくペデルセンのロングスローがゴール前を襲う。9分にはペデルセンのCKがDFに当たりCBのネルセンがヘディングシュート。セスク・ファブリガスがクリア。10分にもペデルセンのロングスローにCBサンバがヘッド。16分にもCKからサンバがヘディングシュートとブラックバーンアーセナル・ゴールに脅威を与える。
 しかし得点はアーセナルがきれいにあっさりと。20分、セスクからソングを経て、ファンペルシーのスルーパスウォルコットが走り込み、GKを越えるシュート。先制点を挙げる。GKを前にして冷静に足元を抜き、ゴールに流し込む当たりに、ウォルコットの好調さが見える。
 しかしブラックバーンも27分、カウンターからエル・ハッジ・ディウフアーセナルのCBコシエルニと競り合いつつ抜けだし、クロスにマメ・ビアム・ディウフがきれいに合わせて同点に追い付いた。
 ボールはアーセナルが圧倒的にキープしてチャンスも再三作り出すものの、ブラックバーンが押し返したボールがサイドラインを割ると、途端にペデルセンのロングスローでブラックバーンのチャンスに変わり、コーナーキック、ロングスローとブラックバーンが攻勢となる。アーセナルの守備陣も巧さで対応し決定的なチャンスは作らせないが、一瞬のスキが失点につながるストレスの高い戦い。アーセナルの守備陣が高くて強ければ、サンバだろうがネルソンだろうが弾き返すのだろうが、巧さと読みで勝負する守備ではなかなかしんどい。
 しかし後半6分、右サイドをサーニャがドリブルからクロスを上げると、セスクがシュート。ウォルコットに当たりこぼれたところをアルシャビンがシュート。あっさりとアーセナルが勝ち越した。
 9分、セスクのパスにシャマックがシュート。11分、フェルメーレンと競ったカリニッチがシュートするが枠を外れる。15分、ディアビのサイドチェンジにアルシャビンがシュート。16分にはペデルセンのロングスローのこぼれ球をサルガドがシュート。25分にはウォルコットがドリブルから軽いステップで切り返してシュート。32分、ウォルコットロシツキーとのパス交換からミドルシュート。両チーム、持ち味を発揮してゴールに迫るが、得点には至らない。
 後半12分、ダンを投入して反撃のメッセージを送ると、20分にオルソン、36分にはヌソンジを入れて、さらに攻撃に高さを加え、ソングも前線に張り付きっぱなしになって、パワーサッカーを徹底。37分、ダンがドリブルからシュートを放つと、38分、ロングスローからサンバが落としてサルガドがシュート。44分にもサンバのポストプレーからシュート。しかしアーセナルも最後までゴールを割らせることなく、2-1で押し切った。
 コシエルニのひ弱い守備。シャマックがまだ十分なじまないこと。ファンペルシーの負傷退場などまだまだ不安材料は多いが、何とか序盤を2勝1分で乗り切ってきた。リバプールを除く有力チームも好調だが、このペースでチーム状態を整えていくしかない。
 それよりなによりこのゲームではブラックバーンのパワーサッカーを楽しんだ。サッカーの戦い方は一つじゃない。そんなことを感じさせるハラハラドキドキの楽しいゲームだった。