とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

自分でも気付かない才能がある 日本代表の戦い

 昨日の韓国戦、一番記憶に残ったのは、試合後にザッケローニが語ったこの言葉だった。「選手の中にはまだ自分の才能に気付いていない者もいるし、才能を信じていない者もいる。」 少し言葉の内容は違うかもしれないが、だいたいそういう趣旨のことを語った。それが誰かと詮索しても仕方がない。
 ちょうど今日まで読み続けていた内田樹の「邪悪なものの鎮め方」の中に次のような一節があった。

●自分の潜在能力を信じている人間は、信じていない人間に比べて、潜在能力が開花する可能性が高い。(P301)

 ザッケローニはこのことを言っていたのだろうか? 確かにビッグマウスと言われた本田はいつの間にか代表を牽引する選手になっているし、昨日のインタビューでもさらに成長したいと言っていた。
 「誰かと詮索しても仕方がない」と言いつつ期待を込めて詮索すると、前田、栗原、内田辺りだろうか。金崎も途中交代後しばらくは消えていて大丈夫かと心配したが、終盤にはボールに触る姿が見られてホッとした。もっともっと自分の才能を信じて自信を持ってプレーしてほしいうちの一人だ。
 しかしW杯ベスト16は日本代表のメンバーに本当に多くの自信を植え付けた。香川もドイツでの経験がプレーのベースになっている。あそこまでアグレッシブな日本代表が見られるとは思ってもいなかった。願わくば勝利が欲しかった。あそこで勝てればもっと大きな自信になったはず。いや過信を戒めるためにも引き分けでよかったか? そう思うことにしよう。
 立ち上がりは一進一退ながら、駒野がパク・チュヨンに倒され、右腕骨折の大怪我。内田と交代した後、ゲームは大きく日本ペースに動いた。16分、遠藤から松井のクロスに前田が競って、こぼれ球を香川が迫る。27分、松井からパスを受けた本田がDFをかわしミドルシュートを放つ。左隅に飛んだボールはGKチョン・ソンリョンがかろうじて外に弾き出す。
 速い攻守の切り替えから素早いプレス、すぐにボールを奪い返し、速い攻撃。前半の日本はほとんど攻撃面で韓国の自由にさせず、一方的に攻め立てた。韓国は32分、早いリスタートからチェ・ソングクのシュート。39分にはFKからシン・ヒョンミンのヘッド。リスタートからしか攻め手がない。
 40分、イ・チョンヨンのドリブルも長谷部がプレス。42分にはドリブルから本田がミドルシュートを放つ。しかし前半はこのまま得点なく終わる。残念。
 後半早々、韓国はシン・ヒョンミンをキ・ソンヨンに交代。身体もありキープ力もあるイヤな存在。7分、パク・チュヨンからのヘディング・パスがイ・チョンヨンにわたる。と直前で今野が入りバックパス。西川がクリア。10分には、イ・チョンヨンが反転してシュート。さらに13分、FKを西川が弾き返すとパク・チュヨンがヘディングシュート。西川がファンブルしたところを長友がクリア。この時間帯、韓国が怒濤の攻め。
 日本も17分、本田、香川とつないで前田が落とし、香川がシュート。DFがクリアすると長友がシュート。しかしこれも韓国DFがクリア。やはり球際の厳しさはさすが。18分にはパク・チュヨンミドルシュートがゴールを襲い、西川がかろうじてセーブ。やはり油断ならない。
 韓国の攻めは個人技中心。これを今野、長谷部らが先を読み、長友がしつこくマークして自由にさせない。22分、韓国はチェ・ソングクに代えてヨム・ギフン。25分、チェ・ヒュジンのスルーパスキ・ソンヨンに届かず。日本も27分、香川に代えて細貝投入。31分、長谷部がドリブルから左サイドにパス。松井のトラップがサイドに流れて、そこからのクロスは韓国DFの手に当たって外に出る。しかし審判がハンドを取ってくれない。
 34分、松井に代えて金崎投入。35分には本田が右サイドをドリブル。クロスを長谷部がシュートするが、ふかしてしまう。ああ! 韓国も36分、ヨム・ギフンのクロスをパク・チュヨンがヘディングシュート。西川ナイスセーブ。44分には中盤でボールを奪った本田がドリブル。両サイドに憲剛と金崎?が走るが、あえてシュートを狙い、GKに弾き返される。パスを選択することもあり得たが・・・、残念。
 双方とも速いプレス。速い攻守の切り替えであっという間に90分が過ぎ去った。速すぎて記憶にすら残らないほどの展開。ふーっとため息で観戦を終える。できれば勝ちたかった。そして監督インタビュー。日本代表はまだまだ成長する。未来を垣間見たい気にさせる。それほどの急成長だ。今のステップですら高すぎて落ち着かない。しかし未来はさらなる高みへ。ザッケローニはどこまで日本代表を引き上げてくれるのか。空恐ろしい気分がした。
 ところで、U-19はまたもやアジア予選の準決勝で韓国に敗れて、ワールドユース出場を逃してしまった。公式戦なだけに、昨日の親善試合以上に重要な試合だったが、残念なことをした。代表レベルではようやく互角。だが、ユース世代ではまだまだ韓国に追いつけない。永遠のライバル関係は今後もしばらく続きそうだ。