とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

死闘、激闘、壮絶、日韓戦

 アジア杯準決勝、日本対韓国は、PK戦までもつれ込む壮絶な戦いとなった。韓国対イランの壮絶なゲームを観た後には、相当な覚悟を持って臨まなければ日本は勝てないだろうと思ったが、もちろん選手たちもそういう意識を持って臨んだに違いない。唯一のアドバンテージと考えていた試合間隔の違いについて韓国選手自身が意識していたか、イラン戦のような強烈なプレスがなく、緩い立ち上がりだったことが日本にはプラスに働いた。
 3分、遠藤のCKに岩政がヘディングシュート。7分、内田のクロスに岡崎がヘディングシュート。14分にもカウンターから香川のクロスに本田が走り込む。攻め急ぐことなく、日本は落ち着いた立ち上がりを見せる。
 しかし16分、パク・チソンを内田が倒して得たFKをキ・ソンヨンが直接ゴールへ。GK川島が弾いたところをイ・チョンヨンがヘディングシュート。今野がライン上でクリアする。ここから韓国も前に出てくる。
 この直後、日本も本田のポストプレーに遠藤が左に振って長友がクロス。岡崎のヘディングシュートはGKが弾き、ポストに当たってはね返る。20分には前田がドリブルでPAまで入っていき倒されるが、ボールが足に行っていたとPKは取らず。
 逆に22分、CBファン・ジェウォンのフィードにパク・チソンが走り込み、今野が競るとパク・チソンが倒れ込む。今度はPKの判定。今野は肩で押したが、パクは手を挙げて脇で受けてファール。イマイチ納得できないが、このPKをキ・ソンヨンが落ち着いて決めて、韓国が先制する。
 しかし日本も落ち着いている。26分、遠藤から香川が前田をポストに中に切れ込み、内田からのクロスに本田がドンピシャのヘディングシュート。GK正面。惜しかったが、攻撃力では日本の方が上回っている。
 33分、香川がドリブルで持ち込めば、34分、チ・ドンウォンもドリブルで上がってくる。そして36分、本田がDF数人に挟まれつつドリブルで前進すると絶妙のスルーパス。これに長友が走り込みクロスに前田が飛び込んだ。きれいな形からの同点ゴール。
 37分、イ・ヨンピョのクロスからチ・ドンウォンのヘディングシュートを川島がナイスセーブを見せると、38分、本田がミドルシュート。GKが弾いたところに前田が詰めてクロス。44分には香川のポストプレーから本田のスルーパスに前田がフリーで抜け出すが、シュートはGKに弾かれた。
 前半は韓国がイラン戦の疲れからかプレスも緩く、日本の変幻自在の動きについてこれなかった。後半もその勢いのまま、日本が攻め入る。2分、香川がドリブルで抜け出すがDFに囲まれ詰まると、前田をポストに長友がクロス。しかし香川には繋がらなかった。8分には日本のミスパスからキ・ソンヨンミドルシュート。この辺りから日本の動きが鈍ってくる。16分、チ・ドンウォンのドリブルからク・ジャチョルがシュート。ここはサイドネット。21分にもFKからゴール前でヘディングの応酬。川島が危うく抑える。
 21分、韓国はワントップのチ・ドンウォンに代えて守備的MFのホン・ジョンホを入れると、キ・ソンヨン、イ・ヨンレが上がって、パク・チソンイ・チョンヨンク・ジャチョルの3トップになる。ここから韓国ペース。日本は守備に追われ、攻撃の形が作れない。
 25分、チャ・ドゥリが上がってクロスにパク・チソンがヘディングシュート。26分、ク・ジャチョルからイ・チョンヨンがシュート。遠藤が倒すと、イ・ヨンレのFKは壁の上を回ってわずかに外れた。危ない。
 日本もようやく34分、長谷部のスルーパスを岡崎が受けて反転シュート。36分には本田のクロスに岡崎が飛び込むがいずれもゴールならない。37分、イ・チョンヨンに代えてソン・フンミン。日本も42分、ようやく香川に代えて細貝を投入するが、岩政と川島の連携が取れず危ない場面が見られる。
 結局このまま90分では決着がつかず延長戦に突入。日本は疲れからか雑なプレーが目立ち、チャンスが作れない。1分、チャ・ドゥリのクロスにキ・ソンヨンがヘディングシュート。6分、イ・ヨンピョのクロスにキ・ソンヨンがシュート。
 ところがその直後、GKからのボールを岡崎がキープして本田に預ける。本田は時間を稼いで岡崎にスルーパス。走り込んだところをDFに身体ごと当てられ倒される。PK獲得。前半の韓国の微妙なPK判定をここで取り戻した印象。本田が蹴ったPKがGKに弾かれたところに細貝が飛び込み、ついに勝越し点を入れた。
 その後13分、韓国が前線に身長196cmのキム・シンウクを入れてパワー攻撃を仕掛ける。14分にはパク・チソンミドルシュート。GK正面で抑える。日本はDFラインが下がってしまい、ハラハラドキドキ。ようやく延長前半終了間際、前田を伊野波に代えるが、これでさらに5バックとなって韓国のサンドバック状態に。
 延長後半も韓国がパワープレー。日本も4分、岡崎から本田、長友のシュート。5分には後方からのフィードに岡崎が抜け出しシュート。10分過ぎには長谷部が両足を攣って、本田拓也に交代。日本も岡崎、本田、長友が韓国サイドのコーナーポスト付近までボールを運び時間を稼ぐ。しかし15分。FKからのボールが日本ゴール前でヘディング合戦。こぼれたところをファン・ジェウォンがシュート。とうとう同点に追い付かれてしまった。
 お互いPKから1点ずつ。流れから1点ずつ。延長後半タイムアップ間近の失点は、流れがよかった前半の後半に1点でも取っておればと惜しまれる。しかしPK戦に臨む日本選手たちには一種の開き直り感が漂っていた。本田、岡崎とコーナー上部に落ち着いて決めて2点。長友は失敗したが、川島が3本を連続して止め、最後は今野がキッチリ決めて、3-0でPK戦を制した。
 前半、日本。後半、韓国。延長戦は韓国ペースとは言え、全体の印象は、個の力の韓国に対して組織力で上回った日本がゲーム内容としては判定勝ちと言えるのではないか。韓国は同点に追い付いたところで力尽きたという感じ。
 これでいよいよ決勝進出を決めた。相手はウズベキスタンを6-0の大差で下したオーストラリア。ケーヒル、キューエルらのベテランが元気なようだが、修羅場をくぐってきた今の日本なら十分勝つことができるはずだ。土曜日の夜は期待感を持って決勝戦に臨みたい。日本らしいハツラツとしたサッカーを見せてやれ。