とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

シリア戦 前半はベストゲーム 後半アジアのサッカーに飲み込まれるも、気力で勝利をもぎ取る。

 13日の深夜に始まったゲーム。さすがに生では観られず、14日の朝にTVを付けたらなぜか斎藤祐樹自主トレのニュース。結果を知らないまま職場へ行き、極力、サッカーに話題は避けて1日を過ごす。それでもみんなの言葉の端々に苦戦した様子が窺われる。こんな日に限って夜は飲み会。結局、ゲームを見たのは14日の夜遅く。それでも何とか結果を知らずに観はじめることができた。
 どんなにひどい出来かと恐る恐る観はじめたが、日本は立ち上がりからザックから言われた攻撃のスピードを意識して、ヨルダン戦とは段違いによく動き、パスも回る。シリアはカウンターから早めに前線のジーノに放り込み、両SHが素早く上がり攻め込む形。だが、日本のCBも高さと読みで危ない場面は作らせない。
 11分には長谷部から内田のクロスに前田がフリーでヘディングシュート。これを決めておけばかなり楽だったはずだが、この日の前田は決定機のヘディングが決まらない。シリアも18分、FKからジーノに合わせ、こぼれたところを右SHジハード・フセインがシュートを狙うが空振り。
 日本は前半から前に詰めて厳しくプレスをかけ、松井、香川、本田のポジションチェンジに隙間へ長谷部が積極的に上がっていく。また遠藤も基本的には守備的に備えるが、長谷部と連携を取っての前進もあり、いいバランスを保つ。右SB内田が上がり気味で、そのサイドを吉田がよくケアする。また、積極的な上がりや吉田のパスからゲームが展開することも多く、グランパス時代からさらに積極性と責任感が増し、たくましくクレバーになった。
 しかし、シリアもマンツーマンの固い守備から両サイドを軸に積極的に攻撃に出てくる。29分、右SHアウワドからCMアヤンが受けてクロス。ジーノの頭を越えて逆サイド・アブドゥルラザーク・フセインがクロスを返すが、DFがクリア。30分にもアヤンのクロスにジハード・フセインがポストに入り、アブドゥルラザーク・フセインミドルシュート。日本は落ち着いて対応しているが、シリアの速い攻撃は脅威だ。
 32分、長谷部から本田がポストで左に流し、香川のクロスを本田が走り込むが、DFにクリアされる。34分、遠藤からのボールを長谷部が右サイドからクロスを入れるが、前田の前でDFがクリア。続く遠藤のCKは今野がピタリと合わせるが、GK正面。しかし35分、内田からの長いフィードに本田が走り込み、深く切れ込んでクロス。香川が受けてドリブルから鋭い切り返し。シュートはGKに弾き返されるが、松井がポストに入って身体を張ると、長谷部が走り込んでシュート。見事な連携で先制点を挙げた。
 ここからさらに日本の選手たちが躍動する。40分には右サイドで本田、内田、長谷部、松井とスムーズにパスを回してシリアを翻弄すると、最後は本田から長谷部に戻し、スルーパスに前田が走り込みシュート。さらに42分には遠藤のCKに前田のヘディングシュート。44分にも遠藤から本田が左サイドに流し、長友のクロスに松井が突くがクリアされる。
 前半はこれでタイムアップ。しかしみんなよく動き、パスがスムーズに流れ、見事な連携の中からのきれいなゴール。シリアが予想以上にいい出来ではあったが、日本は近年にないベストゲームと言って過言ではない。
 後半になっても序盤、日本は積極的に攻めるが、シリアもハディーブを投入。前線からトップ下と幅広く動き回り、積極的な反撃を見せる。4分、早いFKから香川のスルーパスに前田が走り込むが、DF、GKでブロック。9分には長谷部から香川のスルーパス、前田がポストに入って戻し、香川からのパスに長友が走り込む。12分には内田のアーリークロスに長谷部がニアに走り込んでクロス。前田が飛び込むがGKがブロック。
 シリアも抵抗する。18分にはCKにCBアルディアブのヘディングシュート。さらに19分にはCFジーノに代えてポストプレーヤーのマーリキ。日本も香川を岡崎に代えて前線の運動量を増やす。
 しかし25分、長谷部のバックパスにGK川島の前進がやや遅れ、かろうじてクリアしたところをハティーブと今野が競って、ボールは前へ。これをバックパスにゴール前まで走り込んでいたマーリキが戻って受けようとする。あきらかなオフサイドだが、川島がこのボールに飛びついて確保しようとした拍子にマーリキを巻き込み倒してしまう。判定はGKのファール。しかも川島レッドカード退場。西川が落ち着いてゴール内に入るが、PKにはわずかに届かず同点を許してしまう。
 不可解な判定。しかし日本はこれでさらに奮起する。33分、遠藤からのタテパスを本田が受けると、岡崎とのワンツーで抜け出しシュート。しかしGKが横っ飛びナイスセーブ。続くCKに長谷部がシュート。はね返りを本田がシュート。さらに36分、遠藤のタテパスに岡崎が走り込み、キープから抜け出そうとしたところをDFに挟まれ倒される。PK。本田がゴール中央に勢いよく蹴り込みゴール。勝ち越した。
 シリアも必死で反撃。早めにクロスを入れて混乱の中で得点を狙う。日本も人数をかけてよく守り、39分にはカウンターから松井がドリブルで持ち出し内田のクロス。しかしその後もシリアの反撃が止まらない。
 43分にはアブドゥルラザーク・フセインからのパスに中盤深い位置から選手が走り込みクロス。一人つないでハティーブがシュート。GK西川が落ち着いてキャッチ。シリアの反撃の前に日本のミスが目立つ。ロスタイム6分。2分にはハティーブのミドルシュート。GK正面。日本は細貝を投入して守備を固める。最後は岡崎の粘り、シリア選手のあせりにも助けられ時間を消費。厳しい戦いに気力で勝ち切った。
 後半はいつものようにアジアの混乱したサッカーに巻き込まれてしまった感があるが、前半の連動と躍動感あふれる動きには目を見張った。次はサウジアラビア戦。2敗はしていても実力は侮りがたい。緊迫感を保ち、いいゲームで決勝トーナメントに進みたい。この大会、日本の進化が楽しみだ。