とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

自民党は福祉施策がお好き

 ある会合で自民党所属の議員OBの方と隣席になった。70歳も半ば過ぎの方で、だいぶ前に議員を引退し、悠々自適の生活をしている。この日は昼間、ホームヘルパー研修を受講してきたと言う。70を過ぎても介護を受けるのではなく、介護をする立場だから元気だ。
 同じテーブルに着いた別の方は、定年退職後、社会福祉法人に再就職されたそうだ。理事長は自民党所属議員だと言う。そういえば社会福祉法人の役員をされている自民党議員も多い。
 福祉施策というと、私は共産党や旧社会党系の方たちが中心だと思い込んでいた。実際、障害者支援などの活動をされている市民団体は数多くある。しかし考えてみれば、社会福祉施設の建設・運営は相応の資力がなければできない話で、それができるのは古くからの地主や財力を積んだ資本家であり、まさに自民党支持勢力なのだ。そういえば、先日、長久手町長に当選した吉田一平氏も、ゴジカラ村やたいようの杜などの独創的な社会福祉施設を運営してこられたが、選挙に当たっては自民党から出馬していた。
 介護保険制度は施設に囲い込まれてきた福祉予算を解放したが、同時に保険制度を導入し、はるかに多くの事業費を掘り起こすことに成功した。有料老人ホームなどの大規模な施設だけでなく、小規模多機能にしろ、在宅介護サービスにしろ、ある程度の資力は必要であり、しかも一定数の顧客をつかめば、サービス料の9割は保険料から賄われるから、一般の起業に比べてはるかにリスクも小さい。
 加えて、福祉事業は社会貢献事業としての評価も高い。道路整備を推進するよりも福祉施策を推進する方が世間受けもいいし、票につながる。なにより福祉予算の確保は直接自ら手掛ける福祉事業に直接はね返る。
 そう考えると、自民党議員が福祉施策に熱心なのがよくわかる。いまや福祉予算は大きな既得権益となっている。そういう意味では、福祉予算は第2の公共事業と言えるかもしれない。いや、公共事業の方はもう極限まで縮小され、適正な維持管理費さえ支出できない状況になりつつある。もう公共事業を削って福祉予算を確保するという時代ではないのだろう。逆に、福祉予算をどうしていくのかは、日本の行く末を左右する大きな問題になりつつある。