とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

息子の起業を親が助ける。

 昨年の秋頃、5年ほど前に退職した大先輩が職場にやってきて、息子が開業した蕎麦屋の開店案内チラシと割引券を配っていった。名古屋からは遠いが、私の実家には近いので、年末に帰省した折に行こうかと思ったが、年末は年越しそばのシーズンで混んでいそうなので辞めた。
 わざわざ名古屋から駆けつけた同僚の話によると、退職した先輩がうれしそうにレジで勘定をしていたとのこと。正月にもらった年賀状には、「蕎麦屋稼業も大変だ」といったコメントが書き込まれていた。一昨年にお会いしたときは、「市の図書館に通っている」と言っていたが、それよりははるかにやりがいがあることだろう。
 先日、60歳過ぎの近所の方から、息子が喫茶店を出店し、今日も妻が手伝いに行っているという話を聞いた。その方は、40代後半位に脱サラし、ビル清掃等を手がける会社を経営していたが、リウマチの持病もあり、数年前に息子に代を譲ったと聞いていた。「本業はどうしてるんですか」と聞くと、「ビル清掃は夜間の仕事が多いので下請け業者を使い、マネジメントは妻がやっている」とのこと。息子が喫茶店をやりたいというので、多角経営の一環で始めたということらしい。
 会社経営として喫茶店を始めたとは言っても、開業資金は先代がビル清掃業で蓄積した資金から出ているはずだが。
 先輩の話といい、近所のおじさんの話といい、二人とも団塊の世代だが、息子さんが30代から40歳に近くなって、転職や独立といった話が出始める頃なのだろう。今まで最初に就職した会社で何とかやってきたが、先も見えてきて、一生会社の奴隷でいていいのかと自問する時期。起業するなら40代がラストチャンス。そういう気分になる年頃だ。
 親は団塊の世代。仲間には起業独立した人もおり、近所の人は自らがそうなわけだが、その分苦労も知っている。息子の気持ちを応援したい。苦労は少しでも軽減してやりたい。そういう気持ちが息子の起業支援に向かわせるのだろう。
 これから「団塊の親が息子の起業を助ける」。そういうタイプの起業が増えるのではないだろうか。逆に起業ビジネス(コンビニ経営などはその最たるものだろう)はそこを狙っている。団塊の世代の皆さん、子供可愛さで貴重な財産を食いつぶすことがないようお気をつけください。