とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

これが日本代表の実力、とは思いたくないが、慢心があるんじゃないか。

 FIFAランクで日本は30位、ウズベキスタンは77位。しかも日本は海外組をほぼ全員呼び寄せたのに対して、ウズベキスタンは6人もの出場停止者がいて若手主体のメンバーだ。TV局は「何としても勝利して首位通過」と危機感を煽るが、当然勝利するという予断があったことに間違いはない。
 3分、岡崎の縦パスに香川が反応してシュートを放つ。日本楽勝の空気が漂う。パスを回して相手を揺さぶる日本の選手たちに変な余裕があったように感じられた。慢心という名の余裕。だが、日本のパスが合わない。対してウズベキスタンはボールを奪うと、落ち着いてパスがよく回る。16分、香川がドリブルからスルーパスを出すが、抜け出したハーフナー・マイクがシュートを打たずにクロスを選択。DFにクリアされる。
 ウズベキスタンの前への圧力が次第に強くなり、追い込まれた日本は攻め急いでいるように見える。22分、吉田の縦パスから香川のスルーパスに岡崎が抜け出し、切り返してシュート。だがバーに当たる。25分、長友が遠藤とのワンツーからドリブルで駆け上がるが、最後は詰まってシュート性のクロスが外れていく。ハーフナー・マイクとのタイミングが合わない。27分、長友から岡崎が左サイドを抜け出し、クロスに藤本がシュートを放つが、DFがブロック。30分、ハーフナーから香川が抜け出し、余裕を持ってシュートを狙うが、ウズベキスタンの寄せが速く、ブロックされる。さらに32分、藤本の長い斜めのスルーパスが左サイドの岡崎に出るが、GKネステロアが飛び出して抑える。44分、CKからの吉田のヘディングシュートも外れた。
 「前半はよかった」という評が多いが、ハーフナーが機能しないために最後のピースが嵌らず、連携が今一つ合わない。はるばるヨーロッパからの長旅で日本の選手の方が疲れていた。コンビネーションもハーフナー・マイクや藤本が入って、昔のようなオートマティズムが戻ってこない。それ以前に、所属チームの戦術に慣れ過ぎて、代表の戦い方を思い出していない印象だ。
 前半は「まだ」よかった。後半に入り、ウズベキスタンのプレスが一層速く厳しくなる。日本は押し込むが、攻撃に汲々としている。そして9分、カウンターから右SHハサノフのクロスにナシモフが地面に食らいつくようなヘディングシュート。川島がセーブするが、はね返りをFWシャドリンに決められた。
 日本は15分、藤本に代えて乾を入れる。どうして藤本? ハーフナー・マイクじゃないんだ。それでも乾のドリブルで少し日本が押し返したように思ったが、勝負のパスはことごとく引っ掛かる。
21分にようやくハーフナーに代えて李。確かに乾も李も、藤本やハーフナーとは違う特長はあるが、ゲームを決定的に引き寄せるなら、宮市でもよかったのではないか。少々のドリブルや決定力ではひっくり返せないほど、モチベーションと勢いに差があった。
 ようやく27分、長友がタッチライン際で残して遠藤に渡すと、縦パスを香川が戻し、乾がドリブル。岡崎から李のポストプレーに乾のスルーパス。最後は香川が抜けたかと思ったが、シュートはDFが寄せてブロック。日本最大のチャンスだったが、最後のチャンスだった。
 結局、宮市を入れる前に、長友の故障で駒野を投入。43分には乾から香川へのパスを奪われ、カウンターからナシモフがシュート。さらに前掛かりになった日本の裏を狙ってカウンターからナシモフ、ハサノフとシュートを打たれる。完全な負けゲーム。このまま終了し、日本は3次予選を3勝2敗1引分の2位で通過することになった。
 もともと最終予選は厳しくなると予想された。1位通過でも2位通過でもそれは変わらない。とは言え、代表チームの成熟度は大いに気になる。最終予選が始まる6月までテストマッチはもうないと言う。ゲームはなくとも戦術やチームプレーの再確認をしなければ、今のままではチームの体をなさない。それとも気持ちを入れ替えれば形になるのだろうか。確かに一昨日の日本代表には慢心が流れ、必死さが見えてこなかった。