とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ピルロのクッキアイオでイタリアがPK戦を制す。準決勝進出。

 激しくもクリーンな戦いだった。壮絶なゲームの末のPK戦。そしてそこにもドラマが待っていた。今大会のイタリアは何かを持っている。
 イタリアはグループリーグ第3戦に続いて4-4-2の布陣。バロテッリカッサーノの2トップ。トップ下でモントリーボがアクセントを付ける。イングランドルーニーウェルベックの2トップ。中盤から後ろは不動のメンバー。
 立ち上がりはイタリア・ペース。3分、マルキージオのクロスにデロッシがダイレクト・シュート。ポストを叩く。だが、イングランドも5分、グレン・ジョンソンがドリブルで中に切れ込むと、アシュリー・ヤングが右に開き、ミルナーのクロスにG.ジョンソンがシュート。GKブッフォンがナイスセーブ。イングランドが押し返してくる。
 14分、ルーニーが起点となって、G.ジョンソンのクロスにルーニーがダイビングヘッド。だが右SBアバーテが競って、ゴールに飛ばない。25分、ピルロの長いスルーパスバロテッリが抜け出す。が、タイミングを合わせている間にテリーが戻ってクリア。だが、これでまたイタリアがペースを戻してくる。
 32分、CBバルザーリのフィードからモントリーボが受けてドリブルからスルーパスバロテッリがシュートするも、GKハートがナイスセーブ。するとその直後、ウェルベックがドリブルで上がって、ルーニーがポスト。足裏で後ろに流してウェルベックがシュート。イングランドも負けていない。
 41分、ピルロのスルーパスカッサーノが落とし、バロテッリが飛び込む。だが、CBレスコットも同時に飛び込んでクリア。マンCのチームメイトが競り合いを演じる。43分にはバロテッリミドルシュート。すごい弾道で飛んでいく。
 後半もイタリア・ペース。ポゼッション高くパスを回す。3分、ピルロのCKのこぼれをマルキージオがヘッドで落とし、デロッシがシュート。7分にはアバーテの高速クロス。バロテッリの直前でCBテリーがクリア。その後のスローインからデロッシが強烈なミドルシュート。GKハートが弾く。バロテッリがシュート。またもGKハートがスーパーセーブ。弾いたところにモントリーボが詰めるが、シュートは枠を超える。15分にはバロテッリが胸トラップからバイシクル・シュート。枠を外すが、やはりバロテッリは怖い。
 16分、イングランドウェルベックミルナーに代えてキャロルとウォルコットを投入。すると20分、ウォルコットのクロスにキャロルとDFが競って、こぼれ球をA.ヤングがシュート。DFがブロック。32分にはジェラードのFKにルーニーが飛び込むが、わずかに合わない。
 だが、ゲームはイタリア・ペース。イングランドは守備ブロックを作ってゴール前を固める。イタリアも33分、カッサーノに代えてディアマンティ。35分にはデロッシに代えてノチェリーノを入れる。
 36分、ディアマンティが反転からミドルシュート。Gkハートがナイスセーブ。44分にはマルキージオのスルーパスノチェリーノが走り込みシュートを放つが、G.ジョンソンがブロック。イングランドの守備意識が高い。ロスタイムにはアシュリー・コールのクロスをキャロルがヘッドで落とし、ルーニーがオーバーヘッド。イングランドの一発も怖い。
 イタリアが攻めて、イングランドが守る。そうして90分間が終了。ゲームは延長戦に入る。
 延長戦はますますイタリアが一方的に押し込んでいく。前半10分、ピルロのスルーパスバロテッリが抜け出しシュート。だが、GKブッフォンが正面でキャッチ。直後の11分、バロテッリの落としをディアマンティがクロス性のシュート。ファーサイドのポストに当たる。
 後半も入ってもイタリア・ペース。8分、左SBバルザレッティのクロスにディアマンティがシュート。10分にはディアマンティのクロスにノチェリーノが抜けて、ヘディングをネットに突き刺す。しかしオフサイド。最後は両チームとも疲れ果てた末、スコアレスのまま延長戦を終えた。
 いよいよ決着を付けるPK戦。イタリアが先行。トップキッカーはバロテッリ。チームメイトのハートが守るゴールに強烈なシュートを突き刺す。イングランドはジェラードが順当に決める。イタリアの2人目はモントリーボ。だが、ポストの左に外してしまう。イングランドの2番手ルーニーは落ち着いて決める。3人目イタリアはピルロ。これがど真ん中にフェイント・シュート。ふわっとしたボールがゴールに転がり込む。クッキアイオと言うのだそうだ。チップキックの意味。遠藤のコロコロPKのよう。この余裕振りがイングランドにはショック、イタリアには自信と落ち着きをもたらした。
 この後、イングランドはA.ヤング、A.コールと二人続けて失敗。イタリアは最後の5人目、ディアマンティが決めて、4-2。イタリアがPK戦を制し、準決勝進出を決めた。
 それにしてもいいゲームだった。両チーム、延長戦では守備的な選手を入れて、負けないゲームを展開。それでもイタリアは最後まで攻撃的だっただけに、PK戦で勝ててよかった。イングランドもよく守ったが、若く真っ直ぐなチームはピルロの老獪な経験の前に最後は力尽きた。これで準決勝はドイツ対イタリア。イタリアの勢いが続くのか。ドイツが立ちはだかるのか。面白いゲームが観られそうだ。