とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

核武装より非核連携。スペインが完勝、ユーロ連覇。

 核弾頭バロテッリを装着、グループリーグ3戦目から4-4-2の布陣で連勝を続けるイタリア。対するスペインはゼロトップに復帰。FWはいなくとも全員連携サッカーでユーロ優勝をめざす。
 イタリアはグループリーグ初戦のスペイン戦同様、序盤から高いプレスをかけていく。しかしスペインも技術が高い。押し込まれつつも余裕でかわし、つないでいく。7分、左SBアルバからイニエスタのスルーパスにアルバが走り込みクロス。ダビド・シルバが走り込むが、左SBキエッリーニがクリア。シャビのCKにセルヒオ・ラモスがヘディングシュート。スペインが押し返す。
 10分にはシャビがセスクとのワンツーで走り込みシュート。すると14分、イニエスタのスルーパスにセスク・ファブリガスが抜け出す。キエッリーニがついていくが、深い位置から切れ込んで浮かしたクロス。走り込むD.シルバの頭にピタリと合ってゴール。スペインが早い時間で先制した。
 イタリアが反撃する。ピルロのCKが続く。だがスペインはGKカシージャスを中心に粘り強く守ってイタリアにチャンスを作らせない。そして21分、キエッリーニが肉離れ。バルザレッティに交代を余儀なくされる。
 それでも29分、左SHデロッシのスルーパスにFWカッサーノが左サイドを抜け出して、切り返しからCBピケの股下を抜くシュート。だがGKカシージャスが難なくセーブ。33分、ピルロからカッサーノミドルシュートを放つが、GKカシージャスがナイスセーブ。
 バロテッリに対するプレスが厳しく、ほとんど自由にボールを持つことができない。かと言って、ピルロも押し込まれた中で、いつもの長いスルーパスを狙う余裕はもらえない。他の選手はがんばるが想定範囲内。あっと驚くようなプレーを披露することができない。
 すると逆にスペインがあっと言わせるプレー。41分、ゴールキックから左SBアルバがボールを持つと、シャビに預けてそのまま前線まで全力疾走。DFラインを抜ける直前にスルーパス。そのままアルバに渡りシュート。前半のうちにスペインが追加点を挙げる。イタリアは44分、カッサーノの縦パスを受けてモントリーボミドルシュート。だがGKカシージャスの正面。前半は2-0のスペインリードで終わった。
 後半開始早々からカッサーノディナターレに交代する。同じポジション同士の交代。タイプも似ている。デロッシをCBに下げて3バックにし、3トップにする手はなかったか。しかし投入したばかりのバルザレッティをすぐに交代させるわけにはいかなかったのだろう。
 後半序盤、イタリアが攻めていく。1分、モントリーボのスルーパスに右SBアバーテがクロス。ディナターレのヘディングシュートは枠を外す。スペインもすぐに逆襲。2分、セスクがミドルシュート。3分、セスクが右サイドからドリブルで侵入。あわやゴール前。4分、CKにセルヒオ・ラモスがヘディングシュート。CBボヌッチの手に当たるが、PKは取らない。逆に6分、モントリーボのスルーパスディナターレが抜け出しシュート。だがGKカシージャスが飛び出し、ファインセーブ。どうしてもスペイン守備陣を破れない。
 11分にはモントリーボに代えてモッタを投入。早くも3人目の交代。ピルロを前に上げる作戦だったか。しかしモッタの出場はわずか5分。16分、左太股の肉離れで負傷退場。残り30分近くを残し、リードされているイタリアが一人少ない戦いを余儀なくされる。
 こうなると全く余裕のスペイン。14分にD.シルバに代えてペドロ。30分にはセスクに代えてフェルナンド・トーレスを投入する。すると39分、中盤のパスカットからシャビが長いスルーパス。これにF.トーレスが抜け出してダメ押しゴール。さらに42分にマタを投入すると、43分にはブスケツのスルーパスにF.トーレスが抜け出して、戻しのパスをマタがゴール。モッタ退場で戦意喪失のイタリアに対してスペインが完全にゲームを支配して4-0で終了した。
 後半は思わず眠くなるような勝利までの時間稼ぎの45分。それでも2点を追加しての4-0で勝利。決勝戦とは思えぬほどの完勝でユーロ連覇を飾った。
 今回のユーロは新しい戦術も見られずつまらないという意見も聞こえる。だが、新生イタリアの活躍。ドイツの完璧の中の一瞬のほころび。クリスチアーノ・ロナウドの奮闘と悲劇。そして決勝戦で完璧なチームに仕上げたスペイン。ゲームとしては最高とは言い難いが、スペインの強さは別格ということを世界に示した決勝戦だった。あっという間に終わってしまったという意味では物足りない感もするが、それでもやはり世界の再強豪同士の真剣勝負はいくつかのドラマを生んだし、面白かった。そして次はもうW杯ブラジル大会へ。
 いやその前にオリンピックか。ここはゲームの質よりも勝負重視で勝てばいい。必死のゲームを期待したい。