プレミアリーグ第4節、アーセナル対サウサンプトンはCBの予期せぬケガで吉田が途中出場。プレミアリーグ初出場を果たし、途中から観戦の焦点は吉田のプレーぶりに移った。だがゲームはこれまで1勝2分、なかなか得点が取れなかったアーセナルの攻撃力が爆発。6-1の圧勝でサウサンプトンは4連敗を喫することとなった。
しかしこの4試合のゲーム内容はけっして悪くない。このゲームでも序盤はサウサンプトンが積極的にパスをつないでいく。だが3分、ポドルスキーがミドルシュートを放つと、5分にはアルテタを起点に右WGオクスレードチェンバレンのクロスからカソルラがシュート。アーセナルが次第にペースをつかむ。そして11分、中盤でポドルスキーにCMスティーブン・デービスがチェックしてボールを奪うと、ポドルスキーが奪い返してそのままスルーパス。左SBギブスのクロスがCBホーイフェルトに当たり、ゴールに転がり込む。痛恨のオウンゴールでアーセナルが先制した。
アーセナルは右にオクスレードチェンバレン、左にポドルスキーだが、中央のジェルビーニョとも盛んにポジション・チェンジをして、実質ゼロトップにカソルラのトップ下という布陣。特にアーセナルの左サイドからの攻撃に右SBクラインが対応できない。
19分、ジェルビーニョがポドルスキーとのワンツーからシュート。20分、カソルラのCKをGKケルビン・デーボスがクリアすると、CMコクランのクロスにCBメルテザッカーがヘディングシュート。GKケルビン・デービスがナイスセーブ。24分、カソルラとポドルスキーのパス交換からギブスのクロスにCBフェルメーレンが駆け上がってヘディングシュート。25分にはスローインから抜け出したジェルビーニョがミドルシュート。
アーセナルの猛攻を浴び始めた28分、ホーイフェルトの負傷で突如、吉田に交代の声がかかる。そして31分、ゴール前、ポドルスキーのFKが強烈にゴールネットに突き刺さる。吉田も交代出場直後の出来事にさっそく肝を冷やしたのではないか。
さらに35分、アルテタのスルーパス。ジェルビーニョの前に入ろうとして吉田が裏を取られ、ジェルビーニョがフリーで抜け出す。ゴール。痛恨のプレーで失点。さらに37分、ジェルビーニョが左に流し、ギブスのシュートは右SBクラインに当たりゴールへ。吉田出場直後からわずか6分に3失点。厳しいプレミアリーグの洗礼を受けた感じだ。
だがサウサンプトンも45分、右SHパンチョンのクロスをGKシュチェスニーが弾いて、左SBフォックスがシュート。前半のうちに一矢を報いて後半に望みをつないだ。
後半に入り、吉田もだいぶ落ち着き、オクスレードチェンバレンをしっかりと抑える。何度も首を振って味方の位置やプレーを確認する。12分にはCFランバートへ正確なフィード。味方から信頼のパスも回ってくる。時にドリブルで持ち上がり、時にくさびのパス。
だが26分、カソルラが左に流すと、コクランに代わって途中交代のラムジーがクロス。GKと吉田の間を通ってポストへ。はね返りがジェルビーニョの前。悠々5点目。25分にはジェルビーニョが吉田をかわしてオクスレードチェンバレンがシュート。吉田も31分、ドリブルで持ち上がり、クラインにスルーパス。積極的なプレーを見せる。
だが43分、ラムジーからカソルラのスルーパスにフェルメーレンが駆け上がってシュート。GKケルビン・デービスがナイスセーブで弾き返すが、ウォルコットがシュート。決定的な6点目を入れた。吉田はフェルメーレンの上がりに気付いてスライディング。さらにウォルコットのシュートにも飛び込んだが、わずかに間に合わなかった。でもこれだけ動いているのは吉田一人。監督にはこのがんばりを見ていてほしい。
その後ロスタイムにサウサンプトンはパンチョン、アーセナルはオクスレードチェンバレンの惜しいシュートがあったが、どちらも枠を外し、このままタイムアップ。6-1でアーセナルが完勝した。
だが吉田は3点目のジェルビーニョに裏を取られたシーンを除けば、十分そのポテンシャルの高さをチームメンバーに見せ付けた。プレッシャーにも負けない落ち着いたプレーと正確なフィード、積極的な持ち上がり。アーセナルのフェルメーレンが吉田にとってもお手本になるプレーを何度も見せていた。これらをしっかり吸収してさらにレベルアップしてほしい。アーセナルの攻撃、そして吉田のプレー。いいゲームを見せてもらった。