とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

老人力を養う

 昨年、数年早く退職した先輩が赤瀬川原平の「老人力」を引き合いに出して、「これからは老人力を磨こう」と言っていた。検索すると1998年の流行語大賞を受賞しているから、もう15年も前のことだ。当時、赤瀬川原平は60歳だった。還暦を前にして、「老人」という言葉に反応し、しかしまだまだ元気だぞと訴えていたのだと思う。
 考えてみれば退職した先輩も当時はまだ40代だったはずで、老人力を云々するにはどれだけの実感を持っていたのか疑わしいが、私もまた40歳前後で、ほとんど実感はなかった。
 今年度退職する先輩(Yさん)が「50代になると夜眠れなくなることもなくなる」と言っていた。確かに若いころに比べればストレス耐性がついたようには思うが、やはり強いストレスには眠れなくなることもある。先日、Yさんの退職を祝う会で、「30代の頃、不眠症で悩んだ」という話をしていて、50代云々はそれを踏まえた話だったのかと納得した。
 その会の帰り道、同僚から「Yさんは課長だったとき、何もしなかったけど、それがよかった」という話を聞いた。私もYさんと話をしていて、50歳過ぎから、関心のあることには集中力を示すが、そうでないとひどく散漫になることに気付いていた。それもまたYさんの愛すべき魅力でもあったが、若い頃を知っている者からするとやや寂しい感じがしないでもない。
 翻って、自分はどうだろうか。うまく老人力を発揮できているだろうか。
 天然ボケは若いころから変わらないが、うまく忘れたり、他人を気にせずマイペースで行動することはまだまだできていない。特に後者は人前であいさつする際などに武器になるに違いない。私も早く老人力を身につけよう。Yさんの退職を祝う会が終わった後の帰り道、強くそう誓った。