とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フットボールサミット第8回「本田圭祐という哲学」

 先日のW杯予選ヨルダン戦は本田が欠場して負けてしまった。本田不在時のトップ下は香川か憲剛かで議論になったが、結果は本田の必要性、重要性を理解することとなった。
 本書の刊行は昨年の8月だが、本書を読むと本田の異能さがよくわかる。日本代表にとってはまさに欠かせない存在だ。そして本田を解析する本書のアプローチもまた興味深い。本田の技術や身体性、精神力、経験、さらには心理面などさまざまなアプローチから本田を分析していく。代表チームメイトからの眼、ユースや五輪代表時代の仲間からの眼、ガンバユース時代の指導者である上野山氏、星陵高校時代の河崎監督、藤田俊哉が回想するルーキー時代、さらに心理学者、CM企画担当者など、まさに多様な視点からの記事が満載だ。
 中でも興味深かったのは、本田圭祐が監修するサッカースクール「SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL」を取材した「本田圭祐が子供たちに伝えたいこと」。徹底して手を抜かない本田のスクールへの関わり方からは本田自身の自己管理の姿勢と気持ちが見えてくる。また、「岡田監督と本田圭祐の邂逅」も興味深い。岡田監督はマリノス監督時代から本田のことを観察し、そして最も最適な時に代表に召集し、決定的な役割を与えた。勝負師と蹴球家との運命の出会いを感じる。
 本田は日本を牽引する稀代の蹴球家になるだろうか。その人間味のある実像は既に中田を越えている。

フットボールサミット第8回 本田圭佑という哲学  世界のHONDAになる日

フットボールサミット第8回 本田圭佑という哲学 世界のHONDAになる日

●子供のうちから考えることを身につけさせる。そうすると、自分でこうしたいと思えるようになるんです。思えるってことは、自分の夢を持てると。そうしたら自分の道筋も自分で考えるようになります。だから自主性を持たせることイコール夢を持つことなんです。(P38)
ナショナルチームは、さまざまな個性を持った集団でありながら、それぞれの国なりの均質性がある。ブラジルはブラジルらしく、ドイツはドイツらしい。ただ、より強いチームに進化するには、周囲とは明らかに違うタイプの選手が核になることがある。流麗なブラジルでは、無骨なドゥンガが長い間リーダーだった。闘争的なドイツは、優雅なベッケンバウアーがキャプテンのときに黄金期を築いている。(P54)