とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フランクフルト対ヴォルフスブルクは乾対長谷部のマッチアップも楽しかったが、最後はサポーターが同点ゴールを決めた。

 EL出場圏内の6位フランクフルトの最終戦。7位ハンブルガーとは勝ち点差2。最低でも引分けたいゲーム。序盤からフランクフルトが積極的に攻めていった。日本人としては左SH乾と右SB長谷部がマッチアップ。二人の対戦が興味深い。
 ところが8分、左SBロドリゲスのCKをCHポラークがドンピシャ・ヘッドを決めて、ヴォルフスブルクが先制する。13分にも長谷部のフィードに右Sビエイリニャが抜け出しシュート。ポストを叩く。
 フランクフルトは乾が右に左によく動いて攻撃をリードするが、他の選手がついていけない。却って混乱し、その挙句にバイタルエリアを空けて、ヴォルフスブルクの反撃を受けている印象。16分、右SBユンクのクロスに乾が抜け出しシュートを放つが、わずかにポストの左。決定的なチャンスを外してしまう。18分には乾がDFの間を切り裂くドリブルを見せると、19分、CBサンブラノのフィードに乾が抜け出し、シュート。しかしGKベナーリオの身体に当てる。
 こうして決定機を外していたら、女神はヴォルフスブルクに微笑んだ。直後の19分、DFからのフィードにCFオリッチが抜け出しクロスを入れると、左SHジエゴが走り込みシュート。あっさりと2点目を入れて突き放す。
 フランクフルトはバイタルエリアが空くのがどうにも気になる。31分には長谷部のスルーパスにビエイリニャが抜け出し、クロスにジエゴがシュート。GKニコロブがセーブ。33分、オリッチから右に展開。長谷部のクロスにトップ下ペリシッチボレーシュートヴォルフスブルク・ペースでゲームは進む。
 ところが35分、フランクフルトのアバウトな放り込みを長谷部がヘディングで返すと、フランクフルトもトップ下マイアーがヘディングで前に送る。これに乾が反応。そのままPA内に進入。裏を取られた長谷部が後ろから迫ると、乾がうまく身体を入れて、長谷部が押し倒す形になりファール。PK。加えて長谷部にレッドカード。なんと! ホームデジションということもあったのかもしれないが、それにしても厳し過ぎる判定。PKはマイアーが落ち着いて決めて、フランクフルトが1点を返した。
 ヴォルフスブルクは38分、ペリシッチを下げてトレシュを右SBに投入。アディショナルタイムにも乾とCHローデとのパス交換を奪われてフランクフルトがピンチを作る。バイタルエリアの守りとCBとの連携がどうにも不安定だ。
 2点差を追い付きたいフランクフルトは後半初めから左SBにジャクバを投入。4分、ジャクバのサイドチェンジから右SBユンクのクロス。だが、GKベナーリオがキャッチ。さらに直後には乾のショートCKからジャクバのクロスにCBアンデルソンがヘディングシュート。だがポストにはね返される。
 その後は一人少ないヴォルフスブルクが速いプレスでフランクフルトの攻撃の芽を摘み、よく守る。逆にフランクフルトはなかなか攻めの形を作らせてもらえず、イライラする展開。運動量もヴォルフスブルクの方が上回り、とても一人多いとは思えない。乾一人が走り回るが、他の選手がついて来ない。
 こうして時間が過ぎ、残り5分を切っていく。43分、乾がエンドライン際からドリブルでゴールに迫るが、シュートはGKベナーリオが落ち着いてセーブ。ところが45分、場内が突然の大歓声に包まれる。7位ハンブルガーが敗戦の報が大型ディスプレイに映し出された。EL出場を決めて喜ぶサポーター。すると、この大歓声の中、DFからのフィードに右SHアイクナーが走り込むと、左SBロドリゲスのヘッドはGKベナーリオの横をすり抜け、ゴールに転がり込む。オウンゴール。大歓声でGKとDFの連携の声がかき消されてしまったか。まさにサポーターが挙げたゴールでフランクフルトが同点に追い付いた。
 ゲームはこれで終了。2-2の引分け。
 長いシーズンが終わった。乾、長谷部ともよく戦った1年だった。特に長谷部はリーグの序盤、ベンチにも入れない日々が続いたが、中盤以降先発に復帰すると、チームの快進撃を支えた。また、乾はまさにフランクフルトの攻撃の核。できればもう少し他の選手との連携が見られればよかったが、1年目としてはよくやった。2部から昇格のチームがEL圏内とは大躍進だ。来シーズンはさらなる飛躍が待っている。だがその前にW杯予選だ。今度は日本代表でその活躍を観てみたい。