とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

なでしこ遠征強化試合はイングランドのスピードに翻弄されるが踏ん張って同点に追い付いた。

 なでしこジャパンのヨーロッパ遠征強化試合の初戦は、イングランドの速いプレスと攻撃に受け身に回る時間もあったが、後半31分、大野のキープから川澄がゴールを決めて何とか同点に追い付いた。
 先週のニュージーランド戦で宮間がイエローカード2枚で退場になり、このゲームは出場停止。そこで熊谷を阪口と並べてボランチに起用。CBには170cmと長身の長船を起用した。左SBは宇津木。右SBには有吉が先発した。
 序盤は両チームともDFラインが高く、きびきびとしたコンパクトなサッカーで始まった。7分、長船のバックパスがGK海堀と合わず、あわやオウンゴールのピンチ。長船は海堀があれほど早く前へ飛び出すとは思っていなかった感じ。二人の連携はこれから。それでも序盤は日本がいい展開を見せて攻めていく。9分、FW大儀見から左に展開、左SH川澄のクロスにFW大野がシュート。12分、宇津木の縦パスを川澄が左に展開、大儀見のクロスに右SH安藤が走り込むが、届かない。
 イングランドはトップ下ウィリアムズが中盤まで下がってゲームを作り、ヤンキーとアルコの両SHがよく動いて攻撃を仕掛けるが、CB岩清水が幅広く動いて長船をカバーし、攻撃でもクサビのパスを入れていた。
 しかし次第に中盤でイングランドの速いプレスに手こずり始める。18分、安藤が中盤で右SHアルコのプレスを受けボールを奪われると、CFホワイトに渡りシュート。さらに19分には有吉から熊谷への横パスを狙われ、アルコがドリブル。シュートを打たれる。
 それでも20分、相手CKから川澄がカウンターで長駆ドリブルして大野にパスを送ると、22分には大儀見のポストプレーから大野がシュートを放つ。さらに23分、川澄のミドルシュートとまたなでしこがペースを取り戻していく。32分のFKは大儀見が狙ったが、GKバーズリーの正面。
 イングランドはアサンテとジル・スコットのCHが強力。そこに若いアルコが広い運動量で絡んで攻撃を仕掛けていく。33分、アサンテの縦パスをホワイトが落とし、アルコがシュート。そして42分、大儀見のところでアルコがプレスをかけてボールを奪うと、ジル・スコットがつないで、ヤンキーのスルーパスにアルコがゴール前に抜け出す。長船の対応が遅れ裏を取られると、そのまま走り込みシュート。イングランドが先制した。アルコの運動量と速さは要注意だ。
 日本は後半初めから右SH安藤に代えて中島を投入。レオネッサでは要所要所でいいプレーを見せる中島だが、このゲームではイングランドに圧され、ほとんど消えていた。安藤もミスがあったが、積極性では安藤に一日の長がある。また後半、芝に慣れないせいか日本にパスミスが多い。イングランドは前半以上に両SHや両CHの前後への動きなど、頻繁にポジションチェンジをして日本の守備を絞り込ませない。12分、右SHアルコのスルーパスにCHアサンテが飛び出しシュート。CH熊谷がつかまえきれない。
 日本は19分、左SB宇津木に代えて上尾野辺を投入。すると23分、上尾野辺のCKから大儀見がヒールで合わせるシュート。だがGKバーズリーの正面。キャッチする。なかなか反撃ができない日本だったが31分、イングランド中盤でのトラップミスを大野が拾うと、そのままドリブルで上がりキープ。右に大儀見が走り引き付ける中、左サイドのスペースに川澄が走り込む。絶妙のパスから川澄がシュートを決めて、ようやく日本が同点に追い付いた。
 その後は36分、中島がポストに当てる強烈なシュートがあり、イングランドも39分、FKからCBブラッドリーがつなぎ、ブロンズがゴールに押し込むシーンがあったが、これはオフサイド。結局最後まで運動量が落ちないゲームの末、1-1のドローでゲームを終えた。
 このゲームでは長船や有吉など、特に守備面で新戦力を試したなでしこ。有吉の右SBは及第点。ただし近賀ほどの爆発力はなし。左SBの宇津木も中盤の選手という感じで爆発力に欠ける。長船のCBは長身が魅力だが、まだまだ熊谷には及ばない。熊谷のCHもまずまずこなしてはいたが、展開力では物足りない。大野のキープ力、川澄の機動力、大儀見の個人能力と攻撃陣はいつもどおりの力を発揮したが、新メンバーという点ではまだまだW杯優勝メンバーとの間に差があるということを明らかにした。
 それでもこのゲームでの経験は生きるはず。特に中島は大した活躍はできなかったが、この経験を生かしてもっと成長してほしい。上尾野辺は落ち着いたプレーでその実力を発揮した。次のドイツ戦でもさらに経験値を上げる戦い方を披露してほしい。そして久し振りに勝利の報を聞きたい。